少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056035

作品紹介・あらすじ

やがてこの町から消える少女なずなを巡る典道とその仲間の少年たち。花火大会のあの日、彼らには何があったのか。少年から青年になる時期の繊細で瑞々しい時期の友情と初恋の物語。映像化されなかった幻のエピソードを復刻し、再構成し、劇場アニメ版にあわせて書き下ろされた、ファン待望の小説。テレビドラマ版『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』のOAから、24年の歳月を経てよみがえる、原点ともいえる物語。岩井版の『銀河鉄道の物語』。本書の本編のあとに書き下ろされた「短い小説のための長いあとがき」には、本作品を、始まりの部分がら深く楽しむための創作秘話が書かれている。

感想・レビュー・書評

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  • 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」はモストフェイバリット。
    アニメ映画は惜しいと思った。
    「短い小説のための長いあとがき」が読みたくて買ったが、意外と本文も楽しめた。
    映画版との違い、というか気になったのは、
    ・「銀河鉄道の夜」への言及。
    ・なずなと二段ベッドで、というシチュエーション。(をいをい!)
    ・なずなの鬼母が結婚式前日にかけおちを考えていたという挿話。(「卒業」未遂。娘による真似。)
    ・自転車で二人乗り、海岸で貝拾い、大きな真珠玉。(アニメ映画への目くばせ。)
    ・なずなが転校……肩の荷が下りたような安堵感。(わかるぅ! でも知らなかったからこその抒情だったと思うので、この改変は大きい。)
    ・花火大会以後険悪になり、高2で純一から聞いた、少年たちの灯台行き。稔の火傷。(下へつながる。)
    ・例のプールシーン。大泣きする感受性が失われて大人になるのだとしたら、あの夏はそのはじまりだった。(子供目線そのままではなく、その後も緩やかに含んでいる描写。)
    ・「願い事言ったら、叶うかなと思ったけど、もったいないから使わなかったよ」(アニメ映画への目くばせだが、もはや奥菜恵の声で脳内再生されるので、この一言の追加は嬉しい。)

  • アニメ化のおかげで岩井俊二監督の映画版に出会えた世代。奥菜恵がホントにかわいい。小さい頃にはドラマ「ふたり」を毎週たのしみに観ていたことを思い出した。
    なずなが言う「今度会えるの二学期だね。……楽しみだね」の破壊力。これは、典道がナズナはもういなくなってしまうということを知らないと思うからこそではないか。
    小学生男子のあの頭のなかゲームとマンガとうまい棒みたいな感じがリアルに描かれていて、初恋とよぶにはぼんやりとした親しみの置きどころがわからない感じが懐かしい。

  • ドラマ版のストーリーと、その前のボツネタを一つにまとめたお話
    アニメ映画のノベライズと同時に企画されたようだ
    ってか、あとがきでアニメ化したときのエピソードが語られていて、大根仁とのやり取りにお互いの愛を感じる

    それにしても岩井俊二は子供の頃の話を作らせたら、心を抉られるようなクリティカルな作品を作るからなぁ
    熱烈なファンがいるのがよくわかる

  • 最後に書いてあるナズナの意味にはっとした。これも1種の伏線なのか?
    好きだーって叫ぶところにグッときた。こんな青春過ごしてみたい人生だった。

  • 本作こそがある意味で原作であり、もう一つの軌跡。少し大人になった典道のあの夏の日の回想。僕らはまだ子供だった。自分の気持ちの説明もできず、理性も芽生えていない。うまく表現できない感情を持ったまま、言葉を放つ。友達とは変なノリの連続で、急に叫び出す。そんな中、なずなとの出会いは永遠の記憶となった。なずなも同じ。「不思議な玉」を見れば思い出す。だから渡した。典道に覚えていてほしくて。そして典道との「かけおち」がなくなるなんてもったいないから。だからこそ、定められた運命の中であの日はかけがえのないものになった。

    岩井俊二さんのあとがき、典道らがあの頃なにを思っていたのか(特に第十章とか)、映像だけではわからない部分が知れて色々とスッキリした部分もあり、読んで良かったと思う。最後に「なずな」の意味も知り、あぁ……切ないよ。。。
    ドラマ版は見てないが、映画版とアニメ版、そしてこの小説版で一つの作品のようだ。

  • この作品の経緯が未だ理解できず笑
    あらすじの著者版『銀河鉄道の夜』というのもよくわからなかった。

    アニメ映画しか見てないからですかね?アニメ映画の方が銀河鉄道の夜らしさはあった気がするけど。。

  • 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のテレビ(映画)版(岩井版)が大好きでそれの描かれていなかった話を含めたストーリーが本当に良かったです。
    アニメ映画版の内容の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のノベライズより「少年たちは花火を横から見たかった」の方が好み
    テレビ(映画)版(岩井版)と比べると、アニメ映画版の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は正直嫌いです。無駄なSF要素を入れて変にしてる。

  • 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?の映画を見たので、あらすじは理解したうえで読んだ。懐かしい初恋のような幼い恋心に共感するし、なずなの大人びたミステリー感漂う雰囲気と典道の少年感の対比がたまらない。甘酸っぱいような、せつないような、短いけれど、話がスッキリまとまっていて満足。

  • 美容室で髪を切ってもらう間に。
    いいねー、初恋のほろ苦さと少年たちの無邪気さおバカさが描かれている。男の子っていいなー、主人公が男だからこその爽やかさ。

  • 978-4-04-105603-5 157p
    2019.7.5 7版
    △アニメ→アニメ版の小説 で、ドラマがあると知ったがまだ見ない状態で読んだが
    やはり、消化不良な内容。
    著者の後書きにだいたいの内容説明はあるがなんだかなあと思う

  • 借りて読まなかったら一生手にしなかった本。
    文章は滑らかで読みやすい。

  • 「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」の元とも言えるドラマの原作だと思われる。アニメ映画のノベライズより、断然 分かりやすい。なずなと典道たちの夏休みの1日が蘇る、甘く切ない青春ものだと素直に思える作品だった。

  • 「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」のスピンオフ。

    岩井俊二さんが好きな人は是非読むべき。
    "小学生が駆け落ち"という組み合わせがとてもスパイスが効いていると思った。

  • 第二次成長期が男子にも現れ始める小学6年生。今までのような馬鹿騒ぎにどこか違和感を感じ始め、自意識の芽生えを感じる少年たち。「少年たちは花火を横から見たかった」は、今まさに多感な時期を迎えようとしている少年たちの記憶の物語である。人間は、あの時こうしていれば今とは違う人生を歩めたのに、と後悔する生き物である。しかし過去に遡って起きてしまった事象をねじ曲げるなどできない。だから我々は他の誰でもない我々の人生を歩み続けるしかない。この小説はそういった諦めの心境、苦い後悔、そして記憶の海に漂う美しい思い出を描ききった作品である。初恋とはなんと甘美な果実であろうか。

  • 「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」の作者が書いた本です。私は昔の「打ち上げ花火下から見るか横から見るか」を知らないのですが、アニメ映画のノベライズを読んでみて、この「少年たちは花火を横から見たかった」の方が内容が理解しやすいと感じたのですが、相変わらず作者が何を言いたいのかが全く分かりませんでした。(申し訳ないです)
    しかし、アニメ映画のノベライズの「打ち上げ花火(略)」よりも、詳しい感情の描写が入っていて小説の雰囲気を想像しやすく、良かったです。

  • 童心にかえったように思える作品でした。
    私的には好きな本の1つに入る。
    また読もう、

  • 花火大会、少年達の思い出、友情と初恋。
    つい、同じ年頃の息子を置き換えて読んでしまったけど、少6にしてはませていると感じてしまう。
    この手の小説はもう響かないかな…

  • 青春。青春。青春。

  • 去年夏公開の劇場アニメ「打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?」の元になったテレビドラマ版を、岩井俊二監督自身がノベライズ化。
    こちらを知っていてもいなくても、アニメ版を観るのに支障はないと思うが、作品の成り立ちを考える時、頭に入っていると、興味深いんではないかと思う。
    文章が端正で美しい、青年期の入り口に立つ少年達の、ひと夏の物語。

  • 下から見るか?を読んだばかりなのが裏目に出たか…。雰囲気が好みじゃない。岩井さんの映像見たら印象変わるかも。

  • アニメ映画の原作版を読んでいたので、展開については予想がついていたが、映画とは描写が異なるので面白く読めた。

  • アニメがファンタジーなのに対し、
    原作の本作はリアリティー小説。
    工夫があって、面白かった。(自分が行かなかった灯台遠足は、中学、高校になって、聞いた話として描いてあったり。)
    それと、母親の違いが面白かった。
    アニメはヤンママをちょっと上品にした感じの若いお母さんなんだけれど、
    原作は、野性的と言うか、田舎でのびのび育った感じのお母さん。なずなと「一緒にお風呂入っちゃいなさいよ。」と言うところが面白かった。(いや、ま、それだけではナインですが(^^ゞ

  • 映画のノベライズ版を先に読んでいたために、読み進むに連れて先回して予測しまったせいで、ワクワクがちょっと減ってしまたかな。心のより深いところまで入っているので、感情移入はしやすい。結末がモヤモヤっとしていて物語としてはちょっと消化不良。でも現実ってそういうものかもしれないね。

  • 1993年のドラマ版「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を原作者の岩井俊二が24年後の2017年にノベライズした作品。
    原点となったドラマは「if」というテレビ企画の中で進められた物で制約も多かった。その制約を無くして書き直すとしたら・・・そうして1993年のドラマ版や2017年のアニメ版とも異なるこの「打ち上げ花火」の物語ができた。

    ドラマ版の前日談として、なずなと典道が典道の部屋で一晩過ごしたり、なずなが朝の海でもしも玉を拾ったりする部分が追加されている。もしも玉はアニメ版に登場したアイテムだが、こちらではなずなはもしも玉を使うことがない=運命を受け入れる大人、として描かれている。

    また、1993年のドラマ版は「銀河鉄道の夜」がベースになっているが、このノベライズではさらに直接的な表現で「銀河鉄道の夜」が出て来る点も注目ポイント。
    小学6年の課外授業のプラネタリウムで銀河の説明を聞いて「銀河鉄道の夜」と指摘するなずな。
    駅から引き返すバスの中で、雲に映る花火の反映を見て「なんか銀河鉄道に乗ってるみたい」と言うなずな。
    なずなと典道がプールで仰向けになって浮かびながら話す夏の大三角形アルタイル、デネブ、ベガは銀河鉄道の夜に出てくる三角標だ。
    監督の構想にあった「銀河鉄道の夜」の幻想的な世界が、この物語とオーバーラップする。

    気付いた点を羅列しただけの文章になってしまったが、このノベライズのおかげで1993年のドラマの世界がより味わい深いものとなるはずであり、1993年のドラマのファンにとっては喜ばしい一冊となっていると思う。

  • 2017.9.16

    アニメから、本作。次にアニメの脚本を読もうとおもう。

    大根さんが加えた部分、消した部分、もろもろを、考えて行くと。ならほど、と、あとあとがきもふまえていろいろ繋がった気がする

  • 『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の放送からもう24年も経つのか。
    『if もしも』もその前番組の『大人は判ってくれない』も大好きだったけれど、この映像は異色でテレビに釘付けになって観たのを今でもはっきり覚えてる。
    最後に流れた「Forever Friends」の余韻が花火が消えていくイメージと相まって、次の日にCD化されないのかを問い合わせるためにフジテレビとフォーライフレコードに電話したもんなぁ。
    高校生の迷惑な電話にどちらも丁寧に応えてくださった。
    何年か経って『Undo』と同時上映でスクリーンで観た時も全然色褪せていなかった。

    だからこそ、この小説を読んでいても全部、奥菜恵や山崎裕太など映像の中の役者さん達がそのまま頭の中で物語を紡いでいってくれた。
    表紙の主人公二人、見てるだけで泣けてくる。

    ドラマ版とは微妙なパラレルワールド。
    だから多少の違いがあって「あのシーンはカットされちゃったのか」とか思うところもありながら、やっぱり良いストーリーだなと再確認。
    前日談、後日談とドラマで描かれていない部分もあって、嬉しくなっちゃう作品。

    しかし、この帯のコピー酷いな…。
    テーマそこか?
    かけおちなのか?
    しかも夜じゃないし。
    これ、新作映画のコピーじゃなくてこの本の煽りだよね?

    映画観ていないからわからないが、『打ち上げ花火…』の映画化なのだとしたら、アニメじゃ無いよなぁ。
    アニメにしちゃったら何でもアリになるからタイムリープが魔法みたいになっちゃうもん。
    やっぱりどうせリメイクするなら実写がいいなぁ。
    でも、最初の壁は超えられないだろうけれど。

  • ドラマ見たことなかったな。
    読んだ限りでは誰にも感情移入できなかったな。
    何回か読んだら変わるかな。

  • 打ち上げ花火、
    下から見るか?
    横から見るか?
    と読み比べるみると
    あれ、この重要なアイテムの
    使い方があれ、違っている
    ということにびっくり

    けど、物語としては
    色んな視点で花火を見る
    ひと夏の思いでみたいな
    感じでよかった~

    短い小説のための
    長いあとがき
    なかなか面白かったです。

    なんか
    secret base ~君がくれたもの~
    の曲を久々に聞きたくなったね

  • 同じ夏は帰ってこない。

    我々のアレを具現化しているのであるから、設定からのめり込んだアレの原作者自らのノベライズ…?

    私は大好きです。

  • 岩井俊二は僕達の世代にとって特別な映画監督です。おしゃれな雰囲気で透明感のある女の子達、見ているだけで特別な気持ちにしてくれました。本作はその出世作「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を本人が小説化した作品。打ち上げ花火を横から見たらどんな形にみえるか?小学生の男の子たちの素朴な疑問と同級生の美少女への淡い恋心がみずみずしく描かれています。花火、夏祭り、浴衣、プール、スーパーファミコンなど時代を彩るテーマが沢山。この小説版を読んで当時の日々とドキドキを思いだしました。ただ、その頃より感動が少なかったのは、美しい映像がなかったからなのか。それとも僕がおっさんになったからなのか。近々、アニメ映画化されるのに伴い、昔の映像を見る機会があると思いますので無垢な心を思い出してもう一度見たいと思います…。

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著者プロフィール

映像作家。1963年1月24日仙台市生まれ。横浜国立大学卒業。主な作品に映画『Love Letter』『スワロウテイル』『四月物語』『リリイ・シュシュのすべて』『花とアリス』『ヴァンパイア』『花とアリス殺人事件』『リップヴァンウィンクルの花嫁』など。ドキュメンタリーに『市川崑物語』『少年たちは花火を横から見たかった』など。「花は咲く」の作詞も手がける。

「2017年 『少年たちは花火を横から見たかった 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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