- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041056660
作品紹介・あらすじ
会話で気持ちを伝えられない、思うように行動できず叱られる。本当は感覚のまま、自由でいたいだけなのに――。
息苦しさを感じながらも、自分の感性に耳をすませ、言葉を綴ることで自閉の世界の豊かさを伝える著者。
18歳で始めたブログを元に自らの体験や心情の変化を記した本書には、当事者や家族へのメッセージが込められている。
「あるがままを受け入れるのは、ひとりひとりの心です」ロングセラーの単行本を増補して文庫化!
(目次)
第一章 自閉症という僕の個性
◇話したいのに話せない
いらない/オウム返し/使える言葉/声/困難/勝手なこと/言葉のキャッチボール/同じ質問
◇制御不能な身体
クレーン現象/確認/バイバイ/笑い/道/眠い/買い物/寒さ/飲みもの
◇記憶とこだわりと気持ちの折り合い
記憶の混乱/注意されたことを忘れる/診察/メニュー/割れているクッキー/スケジュール/時間をずらす/休日/外食
第二章 振り返って思うこと
◇学び
絵本/ごほうび/勉強/走る/キャッチボール/英語
◇幼稚園・学校
苦しみ/味方/並ぶこと/鏡文字/綱引き/玉入れ/合唱/本番/友達/ふたりの僕
◇家族
お菓子食べるよ/プレゼントを開けない/母の日/パン焼き係さん/悩み/混乱/姉の成人式/幸せだと思う瞬間/告知
第三章 生きやすくなるために
◇わかってほしい
心が揺れる/できない気持ち/失敗/褒めること/理由まで決めつけないで/待つ/ここ/泣くことを受け止める/好きだという気持ちを伝える
◇支援
迷い/選択/危険/叱られる/頭を叩く/具合の悪い時/笑顔/服を噛む/パニック/反応/自然体でいてほしい
第四章 「自閉症だから」じゃない
◇心地いい時間
桜/川/水たまり/テレビ欄/パズル/エレベーターの扉
◇独自の世界観
思考/障害者は純粋か/自問自答/水の中/小さい子/空気を読む/通じる
◇毎日をやり過ごす
空は人の心を映す/最先端の人間/カッパ/ハト/小さな花
短いお話・詩
鳴いたカラス/ガマガエル君の話/ガーコちゃん/神様からのプレゼント/幸せ/いばったトカゲ/雛祭り/やわらかな午後/空の青/ほらね/亀は考える/「ミンミンゼミ」/どん底からの脱却
あとがき…126
感想・レビュー・書評
-
1.7
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こちらの想像でしか思考内容を判断できないので、
本人の思いと違ったコミュニケーションをしてしまっているケースもあると思う。良い意味で見え方が変わりました。 -
自閉症含め障害のある人との関わりって難しい。
支援者や周囲の人の勝手に思い込んだり考えていることと、本人の思っている事と平行線?というでもいうんかな。伝えることって難しい。でも互いの事は理解してほしい気持ちもある。
自分は自閉症者ではないが、軽度の知的障害というハンデがあるけれどコミュニケーションで他の人と上手く撮れない時もあるし態度にでるタイプの人間。
そのくせ自分の思っている事は他者には話さず丸々溜め込んで一気に爆発する厄介なタイプ。自分の事をわかってほしいってのも微かに残す。
やりたくもないけれど、やめられないこだわり行動も周囲の人らに少しでも理解していけたらいいけれど、実際に居合わせたらどう対応したらいいか分からんと思う。
東田さんの場合のこうしてほしいとか、アドバイスも書いてくれているし少しでも自閉症の方にとって負荷のかからないような支援ができていったらいいなと思うな。
詩やショートストーリー、読みやすくて共感できるやつおおかった -
話したいのに話せない、
思ったように反応ができない、
それ故に誤解されてしまう
それは誰でもすごく辛いことだと思いました。
自閉症の人からしたら、
人として会話して、決められた行動ができる人の方がが宇宙人なんだと、目から鱗でした。
お互いの違いを理解して歩み寄れる社会になって欲しいです。 -
心が何度も揺さぶられて、また読み返したいので★5をつけました。
自分の感じ方とまったく違っている部分や、逆に同じ部分があって興味深かったです。わたしにとって笑顔がない人は怖い存在でしたが、笑顔でなくても心では嬉しいと感じている人がいることを知って、気持ちが楽になりました。この方の、別の書籍も読んでみたいです。 -
物語がすごく良い
行動と本心が必ずしも一致しないこととか、私にとっての当たり前がそうじゃなかったり、言葉の意味で混乱させてしまったり、気をつけよ -
読めば読むほど、その真っ直ぐな文章から思考のヒントを得ることができる。自分の視野の狭さと固定観念、支援する側なのだという無意識化の奢りに気付かされる。ものの見方や考え方は無限大であり、人間が本能として求めているものに違いはないのだと思える。診断名や障害の概念学んだからといって、その人自身を置いてけぼりにしていいはずがない。保育者、教職、支援職を目指す人にはとくにお勧めしたい。
-
自閉症の人の想いを知ることができる。
自尊心は誰にでもあって、それは赤ちゃんにもあるって聞いたことがある。
大多数の人ができることが当たり前で、そうでない人はかわいそう。
そんな風に見てしまうことがきっとある。
助けるって、かわいそうに思ったり幼く扱ったりすることじゃないはず。
どうされたら嬉しいのか。それは、言える人と言えない人といるだろうけど、自分に置き換えると少し分かるのかもしれない。 -
忘れたくない部分にマーキングしていたら、何百か所にもなってしまった!
読みやすく、わかりやすく、そして1992年生まれの若い著者の平易な言葉で語られた人生論というか哲学を感じます。
ーーー以下引用ーーーーーーーーーー
●その時(自立できない時)に、僕はこんな風に考えることにしています。治らない障害というものは、時代が僕らに何か望んでいることがあって、僕らをこの世に誕生させたに違いないと。・・・・・。僕たちが、最先端の人間だと認められる日が来るといいなぁ。
※「文庫版あとがき」より
「僕は人生に絶望したあと、自閉症である僕とみんなの違いは何か、繰り返し考えました。その答えが知りたくて、自然と周りにいる人たちの様子を観察し始めたのです。そして僕なりに、普通の人の言動を分析、考察しました。これは、まさに支援者の人たちが、自閉症者にしていることと同じです。」
「僕は自閉症という障害について、自閉症者からの説明ではなく、普通の人の視点から解説することを思いつきました。」
ーーー引用ここまでーーーーーーーーーー
●の引用文のタイトルは「最先端の人間」です。これを読んだとき、ずいぶん前に発達心理学のO先生から聞いた「石豆」の話を思い出しました。「石豆はなぜ出現するのか?いつか必要な時が来る。その時に備えている。」といった内容だったと思います。
またこの人の家族、特にお母様を尊敬します。あのヘレンケラーを育てたサリバン先生にも匹敵するようにも思いました。
「知的障害を伴う自閉症者」の診断を受けている人の中には、実は知的障害のない人もいるのではないだろうか?そんな感想を持ちました。 -
2018年08月26日読了。