- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041059463
感想・レビュー・書評
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虫の殺し屋シリーズ第3弾。マリアビートルを読む前にこちらを読んでしまいました。でも面白かった。主人公の、凄腕の殺し屋で仕事っぷりはカッコいいのに家では妻に頭の上がらないヘタレ、というギャップがとても微笑ましい。でもカマキリの斧は確かに甘くない。相変わらずお見事で華麗な伏線の数々に惚れ惚れ。気持ちの良い読後感です。伊坂さんの描く悪党はいつも魅力的で、人は必ずしも善悪に分けられる存在ではないのだなあと実感します。早くマリアビートルを読まなくては。
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家庭を持ったヒットマン。
誰も傷つけずリセットする為にはどうしたらいいのか。
後半 哀しくなるシーンもあるけどラスト
用意周到 クールな兜の医者に対する強い怒りが伝わる!
面白かったです。
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家族を守り抜くお父さんの物語。
前半は兜の日常って感じで、ゆっくり読み進めました。
そこまで大きな山があるわけでもなく、このまま話が終わるのか…?と不安になったけど、後半は一気に読んでしまった。
家での兜は殺し屋の雰囲気皆無で、奥さんに怯えて過ごす様子が淡々と描かれているのはクスッと笑える。
でも一方で、悲しいとかの感情が一般の人とは違うのが切なくて、そんな兜が家族に対してはブレない強い想いがあるのが少し泣けました。
読んだ後、ほっこりする作品でした。
非道だけど、間違いなく兜はいいお父さんだと思った。 -
「グラスホッパー」「マリアビートル」に続くシリーズ最新作。
今回も面白くて最後まで一気に読んでしまいました。
やっぱり伊坂幸太郎はいい!! -
超一流の殺し屋である「兜」は、実生活では妻に頭のあがらないという、ある意味こちらも超一流の恐妻家。ともあれ愛する妻と一人息子としての生活を送るうちに、殺し屋からの引退を考えるのだけれど、そう簡単には事は運ばず――
殺し屋シリーズときけば物騒だけれど、作者ならではの軽妙な語りとユニークなキャラクターで殺伐としすぎず有り得なさすぎない絶妙なラインを保った小説としてライトに楽しめます。
けれど、合間合間に挟まれてくる非情なことをしている自分と、普通の家庭を築いている自分との乖離に悩み、だんだんと己の行く末を狭めていく彼の姿に、だんだんと切なさを覚えてきます。
詳しく彼の過去を語ってお涙頂戴を誘うというありきたりな手は使わず、ちょっとした会話やエピソードから浮き立ってくる、何気ない日常のかけがえのなさの描きかたが巧いだけに、後半の展開には本当に辛く切ない気持ちが昂るばかりでした。
起こったことは哀しいけれど、真実を知らなくとも、父と息子に築かれた絆はずっとずっとこの先も残りつづけていくんだろう、という希望と、夫妻のあいだにあった確かに深い愛情を知ることができて、ほっとして本を閉じることができました。
これは他の作品でもそうなのですが、展開そのものに容赦がなくとも、後味を悪くさせない気配りが利いている作者だなあ、などと今回も思ったのでした。 -
魚肉ソーセージ、裏メッセージ、スズメバチ、
だんだんグッと引き込まれた。
結婚って、、、妻って、、こんな風なんだなあっと思うと、なんか妙に実感があり、ぼくには、忍耐がまったく足りてないなあと思う。
「感情って相殺されないんですよね」
結婚とか、彼女とか、そういうの、いいなあ。って、いまは思う。慎重に決断しよう。それこそ、善は待てよって言うし。
「わたし、子供の頃、友達とか少なかったから分かる気がする」
「だから、大事な人ができると、ちょっとしたことでも相手が離れていくんじゃないか、って怖くなるんだよね」
「管理なんてのはな、限界があるんだよ。全部なんて、チェックできやしないし、こっちの神経がもたない。自分に見えてる部分でさえ、いっぱいいっぱいなのに、見えない部分まで気にしはじめたら、とてもじゃないが」
たとえ、なんて思われてようと、俺は、おまえたちを見守っている。そっちからは俺は見えないだろうし、俺の声も聞こえないだろうが、
最後の方は、号泣だった。ぼくは、いつもこう。いつも、こうなっちゃう。まだ可能性はあるんだろうか、いいお父さんに。なりたいな。いい加減、諦めて、方向転換するのが、大人になるってことなんだろうな。伊坂幸太郎さん、大好きだ。ありがとうって、読後感にしばらく浸っていたい。
どんな結末になろうとも、自分がした選択に未練も後悔もない。ただ、正しかったんだと、いまは心からそう思う。 -
図書館にて。
子育てに時間をとられしばらく小説が読めなかった間に大好きな伊坂幸太郎も何冊も新作を出していて、もはやどれを読んでないかわからないけどこれは読んでいないようだ、と手に取った1冊。
何これ反則。
相変わらずの洒脱な会話、構成。
ラストシーンにそれを持ってくるのか、もうこれはセンスというかプロだなと思う。
最近よく面白い小説の要素として上げられる伏線回収、この言い方あざとくてわざとらしくて嫌いなんだけど、この人の書く小説はもはや伏線ではなく流れ、出来事はつながってるのね、このことがこうなったのかと逆のルートをたどっているような感覚。
ありがとう、また読めた。
小説っていいなあ。 -
伊坂作品は久々だが、読み始めてすぐ
「あー、これこれ」
非日常な設定。かみあっているようなかみあっていないような、クスっとしてしまう会話。
それから、いろんな伏線が次々と回収され、最後に力技(それあり?と思うところもありながらも強引な感じはしない)で納得するところ…。
4話でそうなるとは、とは予想がつかなかったが、最後は胸熱くなる場面もあり、この話好きだなあと思った。