奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 249
感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061374

感想・レビュー・書評

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  • 題や表紙から最初感じたエンタメホラーな印象より、登場人物の心情に寄り添った、ホラーらしくもありホラーらしくもない話で、面白かったです。
    主人公コンビの掛け合いがくすりと面白いし、ホラーなシーンもぞくりと背筋に来るものがあって、楽しめました。細かくはどれもネタバレになってしまうのですが、怪奇(幽霊?)現象の解釈や文字・音に関するネタが物語を深くさせていて、怖いだけじゃない物語の結末が印象的。

    難点は、私の記憶力が悪いのか、時間の都合でぶつぎりで読んだのが悪いのか、主人公コンビの珍苗字の読みが最後まで覚えられずに…。2人の能力に意味があるのかなと考えながら読んでいたのですが、本筋とはあまり関係がなかったのね。
    次があるなら、そこも絡んでくるのかな。
    そんな所を含めても続きを読んでみたい作品でした。

  • 怖がりなホラー作家の主人公と鬼畜編集者の2人が、「究極のホラー小説」を求めてネタを探しに心霊スポットを巡っていく話。

    この主人公のホラー作家・熊野(ゆや)さんは、霊が「みえ」て、感じられる人。
    彼の担当編集者の善知鳥(うとう)さんは、霊がみえないけど霊に「強い」人。
    収録されている二編のうち、『幽霊のコンテクスト』はホラースポットを巡りながら小説のネタを探していくうちに、出会った霊たちのある共通点に気付き、その謎を解明していく話で、『逆さ霊の怪』では2人の出会いが描かれた話。
    二編とも、非現実的な「霊」との怪奇現象が起こるのですが、その「霊」の概念が(個人的に)覆される話でもありました。この小説内で語られる「霊」は、ただの「霊」ではないです。
    そしてただのホラー小説じゃないです。かなりコメディ色が強い。
    超絶ビビリな私でも読了できたので、怖がりな方も大丈夫なホラー小説だと思います。

    特に熊野さんが、怖がりなのに頑張って霊たちの言葉を理解しようとする姿がとても健気。自分を怖がらせた霊なのに「あの子」とか「あのこたち」って言うのが可愛い…そして優しい。
    一方の善知鳥さんは、初っ端から人にも霊にも容赦ないところが笑えました。(時々熊野さんがあまりにも可哀想に思える所も)

    私は2人の出会いを描いた『逆さ霊の怪』の方が好き。
    熊野さんが幽霊を恐れる理由とか描写があり、善知鳥さんの鬼畜度がこちらの方が高くて恐かった。
    そして何より「霊」の正体に驚きました。
    そういうのもあるのか…!と。

    ホラーだけどコメディ、少し切ないけど読了後は少し温かい、正反対だけど相性の良い2人組小説でした。

  • 幽霊を見ることができるホラー作家と幽霊が怖がる編集者のバディもの。

    熊野さんの無理です!いやです!無理です!な態度に最初はイラァッとしたけど確かに彼が体験した恐怖を考えれば無理ですになるのも頷けるなあ・・と
    善知鳥さんがいれば怖いものなしじゃないかな

    幽霊のコンテクストは物書きさんならグッとくるものがあると思う
    ただ・・なんであんな事態になったのか。世に発表されなかった未練?

    熊野さんと善知鳥さんの出会いを書いた逆さの霊の怪もグッとくる。特に善知鳥さんが編集者を目指したきっかけ

著者プロフィール

◆著者
木犀あこ(もくせい・あこ)
1983年徳島県生まれ。奈良女子大学文学部卒。2017年『奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い』で第24回日本ホラー小説大賞優秀賞を受賞しデビュー。著書に『美食亭グストーの特別料理』(KADOKAWA)、『ホテル・ウィンチェスターと444人の亡霊』(講談社)などがある。

「2023年 『世界一くだらない謎を解く探偵のまったり事件簿』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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