グアムの探偵 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 473
感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041076446

作品紹介・あらすじ

こんなに面白い小説を あなたはまだ知らない
シチュエーション、キャラクター、謎解き。すべてが画期的な知的エンターテインメント誕生!
全5話の傑作ミステリ短編集!

各話の読みどころ(村上貴史氏の文庫解説より)
第一話「ソリッド・シチュエーション」
意外な犯人を読者に納得させるための伏線が丁寧に張られている点も嬉しい。別の趣旨だと思って読んだ文章のなかに、重要な事実が隠されていたりするのである。思わず読み返したくなる一篇だ。

第二話「未明のバリガダハイツ」
終盤第七章で示される一人の人物の“余韻”が、なんとも味わい深い。伏線に導かれた急展開のスリルとはまた異なる魅力、いうなれば、情の魅力も、この短篇には備わっているのである。

第三話「グアムに蝉はいない」
それぞれの依頼をイーストマウンテン・リサーチ社が順々に処理していくような展開なのだが、両者の繋がりがなかなかに衝撃的だ。読者が勝ったと思った瞬間に負けている――そんな衝撃を味わうのである。

第四話「ヨハネ・パウロニ世は踊らず」
私立探偵による調査をストレートに描いた点を魅力とする一篇である。そんな調査行において着目したいのが、ある証拠品の扱いである。その証拠品にゲンゾーが着目した理由に読者は終盤で驚き、同時に納得させられるのである。こうした“何故?”で読者を惹きつける手腕に、著者のセンスを痛感する。

第五話「アガニアショッピングセンター」
愚直に調査を進める彼等の活躍と、その果てに示される意外な真相、そしてその真相の苦み、緻密に組み立てられた最終話に相応しい一篇である。

感想・レビュー・書評

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  • 『探偵の探偵』を読んでいたから舞台がグアムで男性探偵が主人公だということで違った意味でも楽しめた。短編になっていて読みやすい。グアムという島特有の雰囲気が体感できたような感覚もあった。3代の探偵親子はそれぞれが魅力的でシリーズは読まなくてはと思った。

  • 三世代グアム在住の日系人探偵。読んでて、グアムのしきたり・文化の紹介が多く、ふーんそうなだと知識が深まるけれど、どうも登場人物の魅力とかいまいちか、どうもピリッとこないかなと。読み終えるとこれはシリーズで読むといいかと思ったりもした、じわじわと昆布のように楽しめるものかもしれない。でもまあ、何も無理してグアムを舞台にしなくてもという感じで、いまひとつ。

  • 松岡圭祐の新シリーズ!

    題名の如く舞台はグアムで主人公たちの職業は探偵!

    五編からなる短編で、グアムに居を構えるイーストマウンテンリサーチ社に依頼を持ちかける相談者と解決に努める親子三代の探偵達!

    グアムはアメリカの準州で探偵の権限も日本とは比較にならないほどに良い!という事です警察と協力の下!?拳銃片手に依頼をこなしていく!

    サスペンスの切り口やミステリーの要素もあり!最近のグアムの情勢だとか日本も含めての社会問題にもやんわり触れている。
    グアムの風習が小出しに出されるのにも思わずヘェ〜ボタンを押したくなる!

    さらに続刊が直ぐに出るらしい!!
    そちらも楽しみ!

  • 空き時間にさくっと読める、軽い感じがいい。一話完結の連ドラみたい。

  • 日系アメリカ人ゲンゾー、その息子のハーフであるデニス、そしてクォーターのレイ。グアムの三世代探偵の活躍を描く。
    探偵といっても政府公認、刑事事件に関与も可能、拳銃の携帯も許可されている。

    誘拐された女子大学生
    新婚妻につきまとうかつての同級生
    引き篭もった海軍士官
    日本人が経営する店の強盗
    移住してきた家族の息子の行方

    大型ショッピングモール、ホテルロード、シャトルバス。青い海と温暖な気候、観光客の賑わい。
    その影にも人の生活があり、事件がある。
    子育てのルール、スラム、米軍基地。
    日本の常識が当てはまらないことも多々あり、そこも、魅力。
    移住って憧れるけど、きちんと学んで行かないと怖い。
    そしてSNSのいろんな面の怖さ。

    それにしても、あー、旅行行きたい。

  • グアムで探偵業を営む親子3代の物語。
    グアムでは警察と同じくらい捜査権を与えられている探偵業と言うことで、今まで読んだことのない新ジャンルで、なかなか面白かった。
    祖父・ゲンゾー、父・デニス、その息子・レイの関係性がなかなか面白い。軽いタッチの会話からのハードボイルド。全てが一話完結になっていて、かなり読みやすい。
    作者のライトなシリーズは多々あれど、ハードボイルド要素があり、なおかつトリックが一筋縄ではいかないのが、これまた面白い。
    「水鏡推理」シリーズが終わり、しばらく歴史ものが続いていた中で、またこの路線に戻り、すぐに手を取ることはしなかったのだけれど、このSTAY HOMEを機会に3作まとめて購入したので、この後も楽しみ。

  • グアムの探偵が事件を解決します。それだけ。

  • グアムの探偵事務所の話。日系人親子三代で、日本人の依頼が多い。日本語がわかるだけではなく、文化の違いの理解があるのが心強い。雑学満載なのがこの著者らしくて、単なる謎解き以外も楽しめる。

  • グアムを舞台に日系人の祖父、父、孫の探偵たちが、事務所に持ち込まれたり、孫であるレイが巻き込まれたりした事件を解き明かしていく短編集。日本とは違い探偵も一部の捜査権限が与えられているグアムという舞台ならではの話が多く、グアムという場所が活かされている。一見無関係に思える描写もキチンと伏線になっているのが見所。

  • 短編のグアムの探偵小説が5話収録されています。
    いずれのお話もめまぐるしい展開と意外な方向へ転がる話に読む手が止まりません。

    短編のタイトルは次の通りです。
    1話 ソリッド・シチュエーション
    2話 未明のバリガダハイツ
    3話 グアムに蝉はいない
    4話 ヨハネ・パウロ二世は踊らず
    5話 アガニアショッピングセンター

    なぜグアムの探偵とグアムがタイトルについているのか気になりましたが、なるほど探偵という職業に対する権限がアメリカならではなことに驚きました。

    5話の話は、それぞれ独立した短編ですが、できれば最初から順を追って読んだ方が、登場人物の家族構成や性格が最終話に向かって理解が深まり、小説の面白みが増すと感じました。

    タイトルを見るとどんな話なのかなー?と色々と想像力を膨らませることができますが、読み終わるとなるほどだからこのタイトルなんだ!と腑に落ちます。

    グアムという土地柄、気候、お国柄が小説に良く生かされていました。
    安近短で行ける海外旅行先ですが、やはり海外。
    安全で治安がいいというのは、観光で宣伝されている面だけなのだと小説を読んで驚いた箇所でもあります。

    松岡圭祐さんの本は読むと新しい発見や知識がつくので毎回楽しみにしています。

    2巻、3巻と続きを読むのが楽しみです。

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著者プロフィール

1968年、愛知県生まれ。デビュー作『催眠』がミリオンセラーに。大藪春彦賞候補作「千里眼」シリーズは累計628万部超。「万能鑑定士Q」シリーズは2014年に映画化、ブックウォーカー大賞2014文芸賞を受賞。『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』は19年に全米翻訳出版。NYヴァーティカル社編集者ヤニ・メンザスは「世界に誇るべき才能」と評する。その他の作品に『ミッキーマウスの憂鬱』、『ジェームズ・ボンドは来ない』、『黄砂の籠城』、『ヒトラーの試写室』、「グアムの探偵」「高校事変」シリーズなど。

「2023年 『高校事変 16』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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