堕落論 (角川文庫)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (327ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041100202

感想・レビュー・書評

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  • 好きなんだけど、多分自分にもこういうとこがあって、読むと堕落の道に走りそうだから読まないで、しかし棄てられないでいる本

  • 個人的には堕落論よりもデカダン文学論・教祖の文学・不良少年とキリストの方が面白かった。他はあまりしっくりこなかったが、無頼さがひしひし感じられた。

  • 焼け跡から。読みやすいし、おもしろい。勇気がわいてくる。

  • 天秤のよう

  • 人間は堕落するものだ、と言うと後ろ向きなようだが、実の所、その真実を踏まえてから考えていこうという前向きな本。
    武士道が日本人の本質のように語られることがあるが、そうではなく、武士は力があるので寧ろサボりたいというのが本音であり、それを制する為の武士道、という考えのほうがリアリティがある。武士道は本質的ではない。すなわち人は堕落の部分を見つめ、自分なりの武士道を見つけるべきだ・・・といった感じ。

  •  終戦間もない頃に書かれた『堕落論』は太宰治の『斜陽』などとともに戦禍の後の焼け野原に残された人々のハートをがっちり掴んだとされている。

    ・気になった部分
     日本人はもともと強い憎悪を感じることが少なく、仇討ちに燃えた武士は多くなかった(むしろ水に流すことが多かった)

    ・「生きて虜囚の辱めを受けず」という言葉は日本国民を戦地に赴かせるためのイデオロギーである

    ・義士も聖人も人間である以上、堕落から免れることはできない。堕落こそが人間を救う
     
    ・藤原氏のように、天皇を政治的に利用して冒涜するものが最も天皇を崇拝してきた

    ・価値観や利害の対立は、どれほど社会が進化しようと変わらない。対立の中にこそ人間の真実の生活がある


     全体として「大和魂」とか「仇討ち」とか「忠義」といった言葉にこびり付いた手垢が剥がれ落ちていく爽快感と共に「義士」や「聖人」といった世俗的な評判の空しさを感じる。

     天皇であろうと、聖人君子であろうと、庶民であろうと人間は人間である。ありのままの自分と向かい合ってこその人生なのだと思った。この文章からはそんな力強さも感じられた。

  • 実質というキーワードが響いた。

  • 再読。虚飾で自分を守ろうとすることの愚かさに気付かされた。

  • 2010/12/18 読了。
    初めは少し古い文体に戸惑ったが、慣れてくると大して気にならなかった。

  • 堕落論や続堕落論で書かれていることは非常に本質的だと思った。日本人の所謂ムラ的なるものの、建前性がよくわかる。天皇に関する考察も共感できて、現代の政治でも未だに見られる権力の二重構造状態である。
    日本人の未発達な自我が、こういったエゴイズムや建前を生むのではないか。

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著者プロフィール

(さかぐち・あんご)1906~1955
新潟県生まれ。東洋大学印度倫理学科卒。1931年、同人誌「言葉」に発表した「風博士」が牧野信一に絶賛され注目を集める。太平洋戦争中は執筆量が減るが、1946年に戦後の世相をシニカルに分析した評論「堕落論」と創作「白痴」を発表、“無頼派作家”として一躍時代の寵児となる。純文学だけでなく『不連続殺人事件』や『明治開化安吾捕物帖』などのミステリーも執筆。信長を近代合理主義者とする嚆矢となった『信長』、伝奇小説としても秀逸な「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」など時代・歴史小説の名作も少なくない。

「2022年 『小説集 徳川家康』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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