雪と珊瑚と

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
3.97
  • (244)
  • (335)
  • (195)
  • (30)
  • (4)
本棚登録 : 2077
感想 : 392
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041101438

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 母子家庭でカフェレストラン作って頑張る話。だいぶ若くして子供できちゃって結婚してすぐに離婚して働こうにも子供がいるから働けないし……って困って歩いてたところ『子供預かります』の張り紙を見て切羽詰ってた主人公はその家に頼んでみることに。元修道女の色々なことに詳しい世間離れしたくららさん(62歳)にお支えられ、店の経営を通じて様々な人たちと出会い、孤軍奮闘していたつもりになっていた誰にも頼らずに生きていかなければならないと思い込んでいる主人公がひととのつながりを感じ、成長していく。
    かなり当たりだったなと思う。どういう点かというと、おいしそうなものがたくさん出てきたところとか。食べ物が出てくる小説はうちの中では基本あたりだもんで。アトピーとかアレルギーとかに対応する料理とかを試行錯誤するところとか、なるほどなあって純粋に思った。あと「(聖フランシスコが)一貫して弟子に禁じていたことがあったの。それは、自分が祈っているとき、覗き見をしたらいけないということ。私は、それは、もしかしたら、ものすごく大切な事なんじゃないかと思うの。祈りだけは、他者と共有できない。祈りは、個人が個人であることの根本にあるもの」っていう一文がよかった。願望とかそういうのじゃなくて、祈りっていうのは確かにそうあるべきものなのかなって思った。その人の良心とか考え方とか、そういう厳密な心の尺度になるものが含まれているのが祈りなのかなっとか思ったり。誰かのための居場所を作りたいなんておごった考えだって最後にそういう考えに至ったところもなんかきた。他人主義なんだって人も突き詰めれば自分も思うところがあるから他人に考えを任せちゃってるだけだし、自分の考えを確立させていくことは難しいし辛いけどやらなきゃなあとか思ったり。たりたり。あと単純に雪ちゃんの成長過程で泣けた。最後のごはんおいしいねって言うシーンとか涙なしでは語れなかった。ごちそうさまでした。

  • 良かったんやけど、
    雪のかわいさと珊瑚の悩みみたいなんはすごい共感できるんやけど、
    こだわりのカフェをするっていうのいる??
    てゆうか簡単に実現しすぎじゃない?
    ゴハンにたいするこだわりもたいしてなかったのに
    いきなり専門的に主体的にカフェなんてできる?
    むー。他の人に頼りまくるのはキャラクターの性格やから良いとしてもするするいきすぎて拍子抜け。
    いろんなことを一つの話に詰め込んだ感があって、
    中途半端に入りきれずに終わりました。
    むー。残念。好きやから残念て感じー。

  • 数年越しに、久々に読み始めて、ついに読破!
    この物語のもつ雰囲気が好き。くららさんみたいになりたい。
    珊瑚に初めて出会ったのは同世代くらいだったのだろうけど、今や十も離れてしまって、でも今の方が感覚的に理解できることが多くて、珊瑚がどれだけ大人かわかる。
    終盤にかけてどんどん心の中に入っていくのでちょっとつらい。この続きが気になるお話。

  • リアルさはないと思うが、誠実に生きようとする珊瑚さんの描き方が心にしみる。彼女らと共に生きようとしているクララさん達が本当に好き。マカンマランとはまた一味違う、癒しの食べ物系の話しも好みだった。

  • 暖かい人たちに囲まれながら、そうでない人もたくさんいて
    どちらも誰かにとっては別の側面を見せることが当然のようにイメージできて
    すぐ隣にいてもおかしくないような人たちばかりでそれがとても魅力的

    主人公の語彙力が育ちに対してありすぎるんじゃないか?笑
    と思う場面もいくつかあったけどまあそれはいいでしょう

    ほんのりと暖かな気持ちになれるけど決して押し付けがましくない
    出てくるお店みたいな感じ
    好きな本

  • 優しくて綺麗で本当に素敵な本だった

  • 生きているって、なんてパワフルで生生しくて素晴しいのだろう。
    人には、好きな人と、どうしても好きになれない、理解出来ない、直接的な言い方をすれば嫌いな人がいる。
    それらを全て受け入れる必要もないと思う。けれど、ちゃんと自分でそのまっさらではない部分を理解しておかないといけないと思う。

    食べることは、やっぱり生きることで、人をまっすぐに、良いエネルギーを作り出してくれる。生命力がたっぷりの瑞々しい野菜を食べるとなおさら。

    雪ちゃんの、最後に話した言葉、涙が出てしまった。暖かくて幸せで。

    それにしても、梨木果歩さん、私にとって、分かりやすくて暖かい、久しぶりのヒットでした。
    吉本ばななさんに似た、とても真面目でどっしりしていて、浮ついてなくて、だけどキラキラな、素敵な作品でした。

  • シングルマザーの珊瑚が自分のお店を持って…とちょっとうまく行き過ぎ?と思う所はあったけど、子供の描写がリアルで!

    2歳の子を持つ私からみて、雪にについて書かれた内容がリアル過ぎて感度してしまいました(笑)

    レシピ本があったら読みたいなぁ。

    2017.8.21読了

  • 赤ちゃんを抱えた若い母親が女手一つで様々な人から助けられながらカフェを開いていく物語。
    途中、出来すぎのように人の善意に支えられながら、トントン拍子に開業へ向けて話は進んでいくが、同時に自身の生い立ちにまつわる人からの同情や施しに対する葛藤、他者からのむき出しの敵意も丁寧に描いている。
    食材や調理法に関する細かい描写や、お店や文章自体に漂う雰囲気はまあまあ好き。
    2017/07

  • 本当に丁寧に、ていねいに書かれた本だなあ、としみじみ感じる。最近お料理本ってすごく多いけど、基本となる物語部分がもっとずっとしっかりしてて一線を画すと思う。無理に全てに収集を付けない終わり方も好き。冬虫夏草みたいな感じでいつか続きのお話が読めたらいいな、と思った。

全392件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ 梨木香歩作品集』『丹生都比売 梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『f植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梨木香歩の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×