正義のセ 2

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104231

作品紹介・あらすじ

検事になり4年目の凛々子は強姦事件を担当。その頃、同期の順子が不倫騒動から退官することに。さらに父の浮気疑惑も。恋愛、仕事、生き方を深く考えさせられた凛々子は事件に対し結論を出すがミスを犯してしまう。

感想・レビュー・書評

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  • たとえば──読んだ読者が百人中百人とも面白かったという感想を述べる作品など、この世には存在しないだろう。
    人間、感性は人それぞれだし、誰にでも好き嫌いがある。
    読みやすい文章が好きだったり、
    ジェットコースターのようなストーリーが好きだったり、
    伏線をたっぷり張り巡らせた謎解きが好きだったり、
    或いは文章の表現そのものが好みだったり
    と百者百様である。

    私はどちらかというと文章表現に重きを置くほうだ。
    地の文の表現や比喩、或いは登場人物個々の会話の現実感など、自分の感性に相容れないものはなかなかとっつきづらい。
    純文学然としたいたずらに難しい表現も閉口するし、エンタメ色満載のあまりに安易な表現にも辟易する。

    今、私の中でベスト3の作家を挙げろといえば、40年来のファンである樋口有介、次いでは辻村深月、そして朝井リョウになるだろうか。
    (旧くは、平井和正や高木彬光、五木寛之、北壮夫、宮部みゆき(これは今でもだが)なども好きな作家たちだった)
    この三人の新作が出るときは胸がわくわくする。

    それを踏まえ、阿川佐和子氏のこの小説を考えると、いかんせん文章が軽すぎる。
    心理描写も、上っ面をなぞっているだけでかなり浅い。
    ストーリーも平坦で、マンガやドラマを見ているような気分だ。

    正義を志し、女性検事になったはずの凛々子であるが、その正義感があまり伝わって来ない。
    周りの登場人物も、バブル時代の名残に浸りながら、凛々子に想いを寄せる検事の神蔵守など、「本当にこんな軽い検事がいるの?」と疑いたくなるほどちゃらちゃらした大学生程度にしか見えない。
    この小説の肝であるはずの強姦事件も、本来ならもっと切実でシリアスな事柄であり、取調べにしても、より真剣になると思われるのだが、何故か軽さしか残らない。

    そんなわけで途中で読むのをやめようかと思った。
    ところが一転──。
    凛々子が裁定した被疑者が実行犯ではなく、凛々子は冤罪事件に関係することになる。
    しかもその事実が世間に知られるきっかけが、小学校時代に仲の良かった有人との再会という興味深い展開になった。
    つい先ほどまで読むのをやめようとおもっていたのだが、事ここに至っては、この話の続きを読まずにはいられない。
    そこで、続編の三巻をすかさず図書館に予約を入れてしまった。

    くれぐれも言うが、この小説は一巻と二巻の途中までは、ありきたりのストーリーとあまりに平易な文章でそれほど面白いものではない。
    ところが、二巻の終わりから急に展開が変わって興味をそそる。
    私と同じように感じた人も多かったのだろう、一巻、二巻は予約が結構多かったのに、三巻は格段に少ない。
    二巻の途中で挫折した人がかなりいたに違いない。

    文章とキャラクタ造形の甘さは、喉の奥に魚の小骨が突き刺さったようでどうしても好きにはなれないが、結末は興味深い。
    三巻に期待したい。

  • 下町の豆腐屋の娘、凛々子が検事となって成長していく姿を描くストーリー。

    1作目だけ購入し、2・3作目が一気に出て、それは図書館で借りよう、
    と決めてしまったのだけれど、2・3方が面白かったです。
    2・3は話が続いているので、同時に揃えて一気読み体制を
    作ってから、2を読み始めることをオススメします。

    「正義のセ 2」
    今回は、強姦の話なので、凛々子の正義感ハンパない。
    しかし、冤罪?
    そして、昔の同級生に記事書かれて窮地に
    3に続く。

    「正義のセ 3」
    最後の頃、凛々子の実家にて。
    そら豆くんのところでは、感動。よかったね!
    同期の神蔵くん、笑えるけど可哀想過ぎる!
    楽しく読めたけれども、どうもしっくりこないのが、
    凛々子の「正義感」

    法律に携わる人間だからか、自分の周辺の人に対して杓子定規的
    ・そら豆くんと妹の縁談に迷惑がかからないように、そっと家を出て籍も抜こうとする
    ・その為に、気を寄せている同僚・神蔵くんの籍に入れてもらおうとする
    ・舞い上がってる神蔵くんに、説明をしてない。
    ・妹の破談は凛々子のせいではなく、よりを戻せたら、
     神蔵くんとの入籍して欲しいと言った理由も言わぬまま「帰りなさい」

    検察官として、というか まず人として、どうなんでしょう。
    これが正義なんでしょうか。困惑してます。
    深いところは気にしないで読むべき、娯楽小説、と思えばいいでしょうか?

    ★をつける基準として、楽しんだことと、人として… とプラスマイナスして、3つくらい。

  • 1巻とは違った出だしで、なんだかゾワゾワするような内容。のほほんとした雰囲気はどこへやら。結構きつい出来事だった、この2巻は。
    凛々子頑張れ!そして神蔵が男前すぎる!(笑)
    早く3巻を読まなくては。早く読んで早くスッキリ終わりたい!

  • 相変わらず読みやすい文章。最後の方は驚きの展開となり、第3巻が気になる結末となった。

  • 検事になり4年目の凛々子は連続強姦事件を担当。
    許せない犯罪なだけに入念な取り調べをするが、同じ頃に同期の順子がスキャンダルに巻き込まれ検事を辞めることに。
    さらに父・浩市の浮気疑惑で家族は大騒ぎ。
    女性にとっての恋愛、仕事、生き方を深く考えさせられた凛々子は、強姦事件に自信を持って結論を出すのだが…。

  • 第2巻、1巻と違って一つの事件が扱われ、いよいよ本格的にと思ったら3巻に続きます

    評価は3巻読了後に

  • 『正義のセ 2』読了した。テレビ版とは、基本的には同じなんだけど、バージョンが違っていて楽しかった。お父さんの浮気なんて、テレビ版にはなかった記憶がある。そして、マスコミの明日香の話もね。ネタはわかっているけど、解釈が違うのかもしれません。また読もう。

  • 堅めの職業のお仕事ものだけれど、人間ドラマの面が強くて難しい専門性は薄めだから、すいすい読めて負担なく楽しめる。高殿円さんのトッカンシリーズを連想したりしたけれど、それより大分易しい印象。面白かった。三巻に続く、で途中で終わってしまうとは思わなかった。

  • 検事4年目となり仕事にも自信がついてきた凛々子。

    強姦事件を見事にさばき、父の不倫騒動や同期との別れ、
    凛々子に一方的に想いを寄せる神蔵を適当にあしらいつつの日々。

    終わったはずの強姦事件が、実は他に真犯人がいたことがわかり、凛々子は初めて冤罪を出してしまったことになり、検事になって以来最大の壁にぶち当たる。

    子供の頃の親友の明日香と再会し、気を許して話した内容が
    翌日にはまたたくまにマスコミに広がり
    明日香との関係も暗雲にのまれる。

    早く!早く続きの3巻を読みたい!

    神蔵のキャラが良い。

  • 2018/6/22

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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