切り裂きジャックの告白

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著者 : 中山七里
  • 角川書店 (2013年4月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104408

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切り裂きジャックの告白の感想・レビュー・書評

  • (2015/8/24読了)
    中山七里さんの長編は初めて。しかも、チェックしていたのは「七色の毒」。「七色の毒」は犬養隼人シリーズで、その第一弾がこちらの本ということで、先に読んでみることにしました。
    内容も何も知らずに読み始めたので、突然のグロい描写に、少し気分が悪くなり…(食事中に読み始めたのも失敗だった)
    小説を読んでいるというより、サスペンスドラマを観ている感じ。でもそれにしては話の展開が遅い。中盤からのペアを組んだ古手川とのテンポの良い掛け合いで、やっと動き出した感に。
    ドラマチックなラストもまるでサスペンスドラマで的。内容は残虐だけど、予想できる話の流れに、ハラハラ感がなかったのが残念です。

    (内容)
    東京・深川警察署の目の前で、臓器をすべてくり抜かれた若い女性の無残な死体が発見される。戸惑う捜査本部を嘲笑うかのように、「ジャック」と名乗る犯人からテレビ局に声明文が送りつけられた。マスコミが扇情的に報道し世間が動揺するなか、第二、第三の事件が発生。やがて被害者は同じドナーから臓器提供を受けていたという共通点が明らかになる。同時にそのドナーの母親が行方不明になっていた―。警視庁捜査一課の犬養隼人は、自身も臓器移植を控える娘を抱え、刑事と父親の狭間で揺れながら犯人を追い詰めていくが…。果たして「ジャック」は誰なのか?その狙いは何か?憎悪と愛情が交錯するとき、予測不能の結末が明らかになる。

  • 臓器移植の根本
    切り裂きジャックといえば、ロンドン中を恐怖に陥れた稀代の殺人鬼である。
    それに並ぶ、いや、それををさらに上回る殺人鬼が現れた。

    臓器を綺麗に持ち去られた遺体。
    空っぽの腹の中というものはどれだけ恐ろしいものだろう。

    犯人は一体何のために臓器を全て切り取ったのか。
    食すため?愛でるため?
    だとしたらなんとおぞましいことか!

    物語は臓器移植の話へと進んでいく。
    つまり、この冷静で猟奇的な犯人は、「生きている」人間から臓器を移植されたものに対する憎しみなのか?
    それをよしとする社会への制裁なのか?

    私自身は献血が趣味で、16歳(献血可能年齢)から行き始めた。
    自分の血は皮膚の温度よりずっと高い。
    生きていることに、誰かの役に立つことに感謝と喜びを感じる(やや歪んだ自己愛だ)。
    そしてその流れでドナー登録をしようとも考えた。
    死んで焼くだけではこの健康な体がもったいないではないか、と思ったからだ。
    けれども家族はそれに反対した。
    まだ温かい体に、メスを入れて、臓器をとって、そんな状態の私の遺体など見たくない、それが理由だった。
    当時は反発したが、親になった今となればその気持ちも理解できるのだ。
    成功例だけが報道され、議論も日常の報道では見ることはほぼない。
    それでいいのだろうか。
    臓器提供の是非ではなく、もっと根本から考えなければならないはずなのに。

    物語は、エピローグで吹かれるトランペットが、一抹の希望のように美しく響く。
    それは、決して最後の審判の音ではなく......。

  • ドナー登録の有無については考えさせられる。脳死してしまったら、移植しても良い、だれかの命になって生き続けられる。というのは納得の考えだが、もし家族の立場で生命維持装置を外す場面を目にするならば。。
    考えると、やはり自分の意志だけでなくきちっと話し合いの場を持ってカードを持ち歩くことが本当に必要かを真剣に悩まなければならない。今って、健康保険書にも意思の有無を問われてるのありますよね??

    ミステリーとしては、肩透かし。チームバチスタシリーズ読んでるみたいな気がした。

  • おもしろかったのはおもしろかったのですが、よくも悪くも「普通」な印象でした。
    終盤辺りまではとてもわくわくしたのですが、終盤があっさりなのと動機の弱さ故か読み終わってみるとなんだか物足りない…。
    古手川と犬養のコンビはよかったです。

    ここで大きく取り上げられているのは、脳死についての問題です。
    脳死から臓器移植についてひととおりが描かれており、改めて人の生死とは何かを考えさせられます。
    しかしこれを最後まできれいに生かしきれていなかった点が残念に思います。

    エピローグはよかったです。

  • 脳死と臓器移植の問題は、難しいです・・・そちらに気を取られて、思いがいろんなところに飛んでしまい、一気に読み進めるのが困難でした。
    とはいえ、それらを意図せず、この小説の中で読むことができたのは有益でした。
    猟奇的な連続殺人事件というストーリーで、終盤の攻防に息詰まる思いで、ここからラストまでは一気読みかと期待して読み進めたのですが、個人的には理解しがたい動機で、犯人も透けて見えていたので、なんだかなぁという感じで・・・でも、エピローグがね、よかったんですよ。希望の光というかね。小説は、こうでなくちゃね!と、いうわけで迷いましたが、好みの問題で、厳しめの評価ということで。

  • 殺害現場や死体の描写がリアルで、匂いが本から漂って来そう。臓器移植についての諸問題も考えさせられた。
    そのぶん、動機が弱いというか、予告状を出したり、世間を騒がせる猟奇的殺人を行うだけの説得力がなくてちょっと残念。でも面白かった。

  • 古手川くんが出過ぎwww
    カエルの後、ヒポクラテスの前かなーと漠然と。
    そしていい上司(お手本)に恵まれている。
    犬養さん。七色の毒に出てきた刑事さんだ、もと俳優志望だったんじゃなかったっけ?子供がいたんだっけ…

    ヒポクラテス2作既読だったためか後半なんとなーく犯人の目星がつき、さらにもう一転あるね?あるとするなら…とかなんとなく予想することができてしまった。

    前半。
    せっかく臓器移植してもらった命を大事に使っていない人がいる。生きるに値しない。
    あぁそういう人もいるわけか。それは確かにそうかもしれないな。せっかくみんなに寄付もらったりして繋いでもらった命なのに…

    後半。
    普通の人が怒られない息抜きを、なぜ移植された人がすると叩かれるのか。人の善意は重い。期待を裏切ったと判断された時当然のように叩かれる。

    うーーーーむ。。。。
    本人がいいならいいじゃないか程度にしか思っていなかったけど…ドナー本人は同意さえしておけば死んでしまうわけだから、周囲の人の側に難しい問題があるのかなぁ。
    なんか「生きたくても生きられない人もいるのに死ぬなんて〜云々」、「産みたくても産めない人も〜(以下略」みたいな感じだな。


    それと至極当たり前のことに気付かされた。

    臓器を取り出す時、肉体は生きてる=生きたまま解剖する ってことではないかと。
    そうか。臓器移植てそういうことなんだと思った。

  • 善意ほど怖いものはない、ってゆーのはなんかよくわかる。

    むしろ、普通に殺した方がバレなかったんじゃないの?

    2017.5.19

  • 中山七里といえばどんでん返し。途中ドナーのお母さんが怪しくなりましたがそんなはずはない、と思いながら読み進めました。そして先生の逮捕。あら、あっさりと思ったら、最後に!でも動機がイマイチで、衝撃が今ひとつでした。でも読みやすくて、古手川さんと犬養さんのコンビはいいですね。

  • 『作家刑事毒島』にも登場する刑事・犬養さんが主役。
    こちらのシリーズの方が先ですね。
    臓器移植をテーマとした社会派ミステリー。

    ありとあらゆる臓器が摘出された状態の死体が発見される。
    TV局には犯人と思われる人物からの声明文や臓器の一部が送られ、これからの犯行も匂わせる。
    2人目、3人目と同じような状態で殺されていく被害者たち。一見、無差別殺人のように思えるが、調べていくと被害者は同じドナーから移植手術を受けたレシピエントだとわかり…。

    臓器移植手術を受けたからといってみんながみんな健康になるとは限らない。合う合わないがあって、病気になる前のような生活に戻ることは難しい人もいる。だけど、少しでも道を踏み外したり自堕落な生活をすれば、前までは応援してくれていた人たちに手のひらを返したように徹底的に非難を浴びせられる。2人目の被害者の母親が話してくれたことは結構胸に突き刺さった。確かに被害者自身も褒められた生方をしていなかったんだけど。真っ当に生きなければならないというプレッシャーに打ち勝つ日が来ないとも限らないし、変われるきっかけがどこかにあったかもしれない。
    犯人が殺していく理由には臓器移植に対してなにか訴えたいものがあるはず。

    そう思って読んでいたし、そういう話がもっと見たかった。
    だけど犯人の動機が、あれれれれ…そっち…??という感じでちょっと消化不良でした。確かに意外ではあったんですけどねー…。

  • 4.0 臓器移植と連続殺人。考えさせられます。

  • 「あなたはどんな理由で、脳が死んだからといってその人自身が死んだと言えるんですか。どんな段階で人の死を宣告できるんですか。それを決めるのは人間じゃありませんよ」
    (P.263)

  • シリーズ物。古手川はこれからも出てくるのかな?

  • 何が良いかと言えば、犬養と古手川のタッグが良い。お互い自分の役割をきちんと理解している。特に古手川が格好良すぎる。臓器移植をすれば助かる命がある。それは分かっているが、日本ではまだ臓器移植に対する意識は低い。大切な家族が死んでしまった悲しみの中で、いきなり臓器を下さいと言われたら、私でも躊躇するだろう。これ以上傷つけたくないと拒否してしまうかもしれない。私のドナーカードは未だに未記入である。なかなか難しい問題提起だった。そしてこんなラストシーンは全く予想していなかったので涙が止まらなかった。

  • この作者は社会問題を扱うことが多い気がする、脳死による臓器移植をテーマに扱っています。
    3人の男女が次々と絞殺され内臓をまるごと抜き取られるという残忍な事件が発生する、いつものどんでん返しも最後にあるがこれはどんでん返し無しでも納得いったと思う。
    エピローグはああいう感じの締めは好きなのでよかった。
    犬養刑事のシリーズとしての一作目らしい、いつものように作者の他のシリーズから古手川刑事が登場していい味をだします、チラッとですが法医学の光崎教授もでてきます(まだ栂野真琴はいないようですが)
    読み終わって、自分の免許証の意思表示をしていない臓器提供意思表示欄を眺めて色々と考えさせられました。

  • 図書館で借りた本。
    警察署の目の前の公園の池のほとりで見つかった、若い女性の他殺体。その体からは臓器がきれいに切り取られ、持ち去られていた。その手口はあまりにもきれいで、医療関係者か精肉業者か・・・?そのうちに第二の被害者が発見され、犯行声明も届き、世の中は切り裂きジャックの再来と、恐怖を感じていた。

  • 自分の都合で3人も。そんなこといいわけなじゃないか?
    犯罪とは身勝手なものなのかもしれないけど、これはないわ。
    変なところで夫の気持ちを知ったり。そんなことなら、普段から伝えておいてくれい。

  • カエル男に出てきた古手川刑事とタッグを組む犬養刑事。臓器摘出というまた残忍な犯行。臓器移植、脳死という賛否ある問題にからんで、二転三転していく。ただ非道な行為の動機がそれかー、と思った。

  • 古手川和也登場でありながら、犬飼隼人シリーズの幕開けである今作品。

    臓器移植に関するテーマと、切り裂きジャックがうまい具合に絡んできて、読み手もあらゆる“読み”をするも、なかなか分からない!

    時系列で言うところの、『連続殺人鬼カエル男』の後のお話になるため、古手川さん、色々成長してます。班長の言葉も出てきていたり、日々、古手川和也が成長しているのを感じさせるお話。

    今回の締めは少しほっこり。もしかしたら、最後の最後に!!!と心配というか、期待というか、ザワザワしたりしましたが、すとんと落ちて、うん、さみしい反面、安心した締めくくりでした。

    今後のシリーズ展開を楽しみにしています。

  • 2014.10

  • ぎりぎり面白そうな印象は受けてたんだけど、意外性ありきな犯人設定と、心情の流れが辻褄合わせっぽく感じられてしまった。
    あと、父親として怒れてしまう犬養さんには、やっぱり違和感しかないなぁ。

  • 途中まで読んで少し後悔。というのは『連続殺人鬼カエル男』と立て続けに読んだせいで中山氏の良く使う言葉の傾向が見えてしまったから。殺人現場のシーンで「あれ、この言葉遣い・・・」と思うことが多かったかも。内容としては相変わらず面白かった。こだわりのどんでん返しも炸裂してたけど、そこまで無理にひっくり返す必要も無かったかも??中山氏の作品はあちこちに色んなシリーズの人物が出てくるそうなので、これからも適度に間を空けて読もう。

  • 案外ドラマを見たままだったので驚きました。カエル男を読んだはずなのに忘れてしまっているので、読みなおそうと思います。

  •  被害者の臓器を全て抜き取る連続殺人事件、その犯人を犬養・古手川の刑事コンビが追及する、犬養隼人シリーズの第一弾小説。
     個人的には中山七里の文章が好きだ。美しくももたつかない流麗な表現。著者の頭の良さが滲んでいる。もちろん中山七里と言えば「どんでん返し」だが、そこは著者の本を数冊手に取れば、大体先が読めてしまう。第2、第3の犯人が登場するのだが、そこは予想の範囲内だ。本作の問題はそこではない。
     私は本作を読みながら、怒りを覚えた。本作の中心として据えられているテーマは「臓器移植」。「臓器移植」の賛否問題は、提供者とレシピエント、その両家族、そして医療と宗教の相容れない価値観の間で、静かにひっそりと、しかし厳然と立ち聳えている重大な問題である。作中に取り上げられているように、多くの議論がし尽くされぬまま、「命のバトン」という聞こえの良いフレーズを抱き合わせていつの間にか認められている。何をもって「死」と成すのか、「脳死」が「死」ではないとすれば、臓器移植は生きた人間の身体から臓器を取り出し「殺す」ことになるのではないか。そもそも自然の摂理に逆らって他人の臓器を身体に入れること自体がどうなのか。これらの考えは全て、本作の中で臓器移植慎重派・反対派が展開したものである。
     私が怒りを覚えたのは著者にではない。上記のような意見を展開する登場人物たちに対してだ。臓器移植により命を繋ぎ未来を得た者が、また大切な人が救われ悲しみの底に沈まずに今日を笑顔で生きる家族や友人がいることは動かしようのない事実である。臓器移植の慎重派・反対派の人々は、自分の大切な家族がレシピエントの立場に立たされても同じことが言えるのか。本作を読みながら、私は自分の臓器から熱が込み上げてくるのを感じた。臓器移植を再考すべき「問題」として取り出してくれた著者には感謝すべきなのかもしれない。
     それにしても小説とはいえこんな危うい、一歩間違えれば臓器移植により救われた全ての人々を冒涜するような内容を扱ったことには驚かされた。小説の結末より断然驚かされた。
     残念なことは、著者お得意のどんでん返しの末が、「臓器移植」とは別のテーマが動機となっていたこと。ひとつのテーマを深く掘り下げ、著者の個人的な終着地を見てみたい私としては、どんでん返しが大きな小説の目的となってしまっていることに一抹の不満が残ってしまった。

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切り裂きジャックの告白の作品紹介

臓器をくり抜かれた若い女性の遺体が発見される。その直後「切り裂きジャック」と名乗る犯人からの声明文がテレビ局に届く。果たして「ジャック」の狙いは何か? 警視庁捜査一課の犬養隼人が捜査に乗り出すが……。

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