天佑なり 下 高橋是清・百年前の日本国債

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041104750

感想・レビュー・書評

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  • 星3.5。

  • 最初は、面白かったか、後半は、間延びしてしまった。老齢になっても蔵相を務め、国難に向かってい姿。

  • 高橋是清のドラマチックな人生と共に、陰ながら彼を支えていた女性たちの描写も面白い。
    明治時代に生きた女性はどなたも強い。

  • 高橋是清伝 後編。
    日本銀行に入行した以降の半生を描く。
    驚いた。高橋是清=国債の人というぼんやりとしたイメージしか持っていなかったが、なんと見事なバンカーが、創成期の日本国を支えてきたことか。
    高橋是清、見事なり。
    明治維新以降、国際社会に登場してきた当時の後進国日本には、金もなければ、信用もない。しかし、国際的バンカーの世界でその存在を認めさせた高橋是清は、自らの信用で、次々と公債の発行を可能とし、日清日露の戦費を調達することにより、日本の勝利、そして、国際社会での存在を高めることに多いに貢献をした。
    その後、大蔵大臣として、何度も国の経済的危機を救い、時には総理大臣として国を支え続けた。
    しかし彼は、何事に当たる時も、誠実なバンカーとして経済的合理性を貫き通した。そして最後は、恐らくその事が軍部若手将校らの不興を買い2.26の凶弾に倒れる。
    見事なり、高橋是清。

  • 最後の「残酷というより卑怯でございます!」が印象的。

  • 本日、二週かけてやっと読了。
    今の時代に類似しており、浜田さんは、平成の是清か?ラストシーンが壮絶で、悲しい。
    未亡人の言葉が印象的
    残酷と申すより、卑怯にございます!
    日本人としての矜恃は、失いたくないものだ。

  • 幸田真音女史が書かれた最新小説(2013.7現在):天佑なり、の下巻です。下巻は高橋是清が日銀総裁、大蔵大臣で大活躍した様子がえがかれています。死ぬ直前まで、日本の将来を思って仕事をし続けた姿は素晴らしいです。

    そんな彼が、226事件で亡くなられたとは本当に日本の財産を失ったようで残念ですね。ただ、犯人の軍関係者から見れば、彼は「目障り」だったのかもしれませんが。立場によって、見え方が変わってしまうのですね。

    以下は気になったポイントです。

    ・渋沢栄一等の実業家は銀本位制、官僚や軍人は金本位制を支持していたが、日本には金の保有量が少なかった、そのとき、日清戦争の賠償金(二億両を8分割+0.3億両=遼東半島分)が得られることになった、明治4年の新貨条例で、1円は純金1500ミリグラムであったのを、銀の価値が半分になったので、純金750ミリグラムにするのが、明治29年の提案であった(p36)

    ・賠償金の2億両=2億円は、現在価値で3200億円と考えられる(p40)

    ・明治32年3.1は、特許条例から特許法と改めて公布された日でもあった、パリ同盟条約に加入することを前提としての改定であったが、明治29-31年にかけて改定された民法との整合性をとるための改定でもあった(p67)

    ・同年(明治32年)7月には治外法権の撤廃、関税自主権も一部改善された、完全に自主権を得るのは明治4年、日米通商航海条約の改定時(p67)

    ・日清戦争による賠償金は、民間を潤わせなかった、賠償金の殆どが軍備拡張、造船・製鉄所の建設等に充当されたので(p71)

    ・三国干渉を受けたころのロシア(明治37年)は、国家予算は当時の日本の30倍、GDPは3倍、人口は3倍の1.25億人、外貨準備高は8倍を超える大国であった、歳入は日本(2.5億)の10倍近くの20億円、兵力は10倍の200万、日露戦争の総額は17億円で当時の歳入の7年間分(p87、98)

    ・陸海軍の両大臣は、統帥による命令を遂行して軍政を行うのみで、統帥上の事案については、軍令機関である参謀総長、軍令部長があたったので、内閣から独立して天皇に直接上奏できた(p192)

    ・大正3年には政府債務は26.5億円で、GDPの3分の2以上、15億円は
    対外債務、これに対する正貨準備高は3.4億円であった、これを救ったのが第一次世界大戦による特需、このお蔭で、イギリスからの輸入に依存していた重工業部門の生産力が強化され、農業国から工業国へ、さらに債務国から世界2位の債権国となった(p196)

    ・関東大震災の火災は、東京市内の総面積の46%,横浜市内の28%、国民総生産の3分の1を超える55億円といわれる未曾有の被害をもたらした(p237)

    ・大正11年6月の対米為替レートは、100円=47.5ドル、年末には 48.5ドルであった(p238)

    ・昭和2年の時点で、鈴木商店に累積していた債務総額は、約4.5億円、国家予算の4分の1、その8割近くが台湾における紙幣発行銀行である台湾銀行であった(p261)

    ・金解禁をするときに、旧平価(100円=49.875ドル)で行ったが、これは円を1割以上も切り上げ=金融引き締めを行うことになった。(p281)

    ・国債発行(赤字国債)と、日銀による直接引受は、やむにやまれない財源ねん出のための奇策、世界でも類を見ないものであったが、それは軍事費調達への道を開くことにもなった(p304)

    2013年7月7日作成

著者プロフィール

1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らす作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目される。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞。主な著書は『日銀券』『あきんど 絹屋半兵衛』『バイアウト 企業買収』『ランウェイ』『スケープゴート』『この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡』『大暴落 ガラ』『ナナフシ』『天稟(てんぴん)』のほか、『マネー・ハッキング』『Hello, CEO.』『あなたの余命教えます ビッグデータの罠』など、時代に先駆けてITの世界をテーマにした作品も多い。

「2022年 『人工知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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