梨園の娘 (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 93
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106099

作品紹介・あらすじ

梨園の御曹司にして絶世の美男・藤村霞右衛門に待望の跡継ぎが生まれた。桂と葵、男女の双子だ。大名跡を継ぐ男子としてもてはやされる桂。だが真に父の才能を受け継いでいたのは娘の葵で……。父と子の葛藤の物語!

感想・レビュー・書評

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  • 歌舞伎の名優の子に生まれても、才能があっても、女の子は歌舞伎役者にはなれない‥
    才能のある勝気な女の子の奮闘。

    俳優・藤村霞右衛門(風間京二郎)は、歌舞伎のみならず映画やテレビでも成功した何拍子も揃った大スター。
    突如見合い結婚し、生まれた双子を可愛がるようになる。
    というか、跡継ぎの男の子のほうには厳しく、女の子のほうを溺愛。
    無条件に愛することの出来るのは、娘だけだった‥
    皮肉なことに女の子の葵のほうが、演劇の才能があったのです。

    子役は女でも舞台に立てますが、それが出来なくなる日が来ました。
    納得できない葵に対し、父とその親友?皆川翔十郎(柳沢凱史)らは葵が女優になることにも(身を案じる溺愛のあまり)あくまで反対して、バトルが続きます。
    芸能界でも力のある父親らに望みを叩き潰されながら、それでもいつしか活路を見出していく葵。

    歌舞伎俳優仲間が何人も登場して、特殊な世界のきらびやかさ、厳しさ、濃密さを垣間見せる印象的な展開。
    モデルはあるのか?どこの一家の誰なのか‥?
    と気になりましたが、該当者なし(笑)
    人柄や芸風が違うし、これがモデルというのだったらちょっと失礼でしょう。
    いまどき、女優になることをこんなに反対するかなという気も。
    とはいえ、ポンポン話が進むようなキャラ設定で、ぐいぐい読ませるストーリー。
    むっちゃ面白かったです☆

  • 歌舞伎ものだーと思って何の知識もなしに読み始めたが、はじめの10頁くらいでどうも肌合いがおかしいなと思って、何度もリタイアしようかと迷ったけれど、意地で読みきった。
    後からググってみると、いわゆるボーイズラブ作品の続編だったようです!こちらは男色の要素こそなかったものの、光源氏みたいな美貌の歌舞伎役者が甘い言葉を耳許で囁いたり、いつも優しい従兄が突然荒ぶってドキッとしたり、そこに「なんちゃら流宗家」とか「なんとか家御曹司」といった言葉が華やかに散りばめられて、うっとり…してほしいんだろうな、という感じの本でした。少女漫画的な。妄想小説的な。私は梨園の何を知ってる訳でも何でもないんですが、それは違うだろう感が半端なかった。(違うかどうか知らないけどさ)

    少なくとも私がここ数年好んで読む小説とは根本的に違ったタイプの小説なのだな、というのは途中からはっきり感じていたけれど、同じ日本語の本だというのにこの違いはどこから生じるんだろう?セリフ回し?そこんところを追及したい気持ちもあって最後まで読んでみたものの、今すぐ言語化できそうにはないなあ。

  • 葵ちゃんの演技への夢を、全力で、全身全霊で阻止してくる父親には衝撃的だった。梨園の女の子って生きづらいなぁ。才能を決して活かしてはいけない場所だなんて、皇室か梨園かなんだろうな。

    帯に「芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。その愛と葛藤」ってあるけど、ほんとまさにこれ。異常なまでの溺愛と狂気の葛藤。特殊な世界で生きる怪物たちの生き様を見せつけられた。
    伝統芸能を継承していくって大変だね。頭が下がります。

  • とっても面白かった!ワイドショーなんかで取り上げられる歌舞伎役者の皆さんがなんであんなに華やかで人騒がせで、にやけてるのかよくわかりました(笑)
    でもあのにやけた裏側にはこんな厳しい世界があって、波乱万丈で、なかなか大変そうだ・・。
    そういうおうちに生まれた人たちは、気の毒だなあと思ったこともあるけど、こうやって自分の宿命を受け入れていくんですね。
    300ページくらい、「これ、双子である意味あるのか?そして桂くんいてもいいけど、いなくてもよくない?」と首をかしげながら読み進めていったけど、ごめんなさい!超必要な設定だった!
    この小説の本当の主人公は誰だったんだろう。
    葵ちゃんの派手な活躍はもちろん面白かったけど、地味に桂くんもしっかり成長したし、それを取り巻くおじさんたちもさらに一皮むけた感じだし。
    登場人物全員がイキイキとしてて、くっきり存在感があってよく作りこまれている小説でした。

  • “今源氏”の仇名をもつ絶世の美男俳優・藤村霞右衛門が、長い独身生活に終止符を打った。
    そしてまもなく男女の双子が誕生する。
    兄の桂は跡継ぎとして大切に扱われ、妹の葵も父に溺愛されて天真爛漫に育った。
    ただし性別以外そっくりな双子には、決定的な違いがひとつある。
    父親の溢れんばかりの才能を受け継いだのは、皮肉なことに娘の葵の方だったのだ。
    女と生まれたからには、どうあっても歌舞伎役者にはなれない。
    それは梨園における鉄の掟だ。
    ジレンマに身悶え、それでも自分なりの道を模索する葵。
    だが彼女の前には、愛するがゆえに我が子の夢を全力で潰そうと立ちはだかる父の姿が…。
    芸の鬼に取り憑かれた、梨園の父娘ふたり。
    その愛と葛藤の軌跡!
    (アマゾンより引用)

    この父親、めっちゃ嫌い。
    男としても、父親としても嫌い。
    終盤で、この父親がやり込められるとこ、スカッとしたなぁ

  • 面白かった。
    歌舞伎の世界だ役者の世界だなんだ、って、確かに変わった世界なんだろうけど、その世界や周りの力に負けないで自分の道を切り開こうとする逞しい女の子の物語。葵をひたすら応援したくなる、そんな感じです。

  • 葵ちゃんの役者としての天才的な才能や、自分で見つけた道を真っ直ぐに進む姿が活き活きとして素敵。
    京二郎の異常なくらいの葵への溺愛ぶりもおかしくて微笑ましい。
    娘への愛情を初恋に例えるなんて、なんか切ない気持ちになる。
    父親は皆、そうなのだろうか。
    私達にはよくわからない歌舞伎の世界を雰囲気だけでも堪能できて楽しかった。

  • 歌舞伎俳優 藤村霞右衛門(風間京二郎)の双子の娘・葵が歌舞伎の世界での様々な柵を乗り越えて成長していく物語だが、双子の一方の桂の弱々しさが気になった.同じ歌舞伎俳優の皆川翔十郎(柳沢凱史)や日本舞踊の風間峻が取り巻きとして、葵を盛り立てたり、あるいは蹴落としたりするドタバタが面白い.最後の場面の舞踊発表会で京二郎親子が踊る「連獅子」の開演が迫る中で、失踪した桂を待つ葵が決断するまでの緊張感の描写が素晴らしい.

  • 歌舞伎界の人気役者
    藤村霞右衛門こと京二郎
    そして京二郎の娘として
    梨園の家に生まれた葵の
    父子の物語

    歌舞伎役者としての
    梨園の世界の生き方も独特だけど
    さらに娘をもった
    父親としての暮らしぶりは
    これがものすごく特異な感じ

    葵は歌舞伎が大好きで
    大好きというよりも
    芸がなくては生きていけない
    舞も学び才能もあり華もある
    だけど、女の子というだけで
    芸の道はことごとく潰されてしまう
    その潰され方も
    普通じゃない梨園の世界

    歌舞伎は男の世界
    そこの生まれた女の子は
    愛され可愛がられ
    鳥の籠の中で
    大事に大事に
    人形のように育てられる
    たぶんそれが幸せの形

    でもあきらめない葵の
    波乱万丈に生きていく姿
    とても偏った
    娘への溺愛ぶりをみせる京二郎

    人が狂うのは
    嫌悪や憎しみが理由じゃなくて
    愛情深すぎて生まれる執着こそ
    何よりも複雑で厄介、と

    そう・・
    ほんとうに複雑で厄介で
    我がままで自分の思い通りに
    しようとする
    それも桁外れな感じ
    それができるのが
    権力、財力、地位、家柄など
    なにもかもが揃っていている
    梨園の家だからこそ

    梨園の世界に
    想像がふくらむ

    おもしろかった

  • 20140413
    リアリティがあると逆に怖いので、これくらいのファンタジーっぷりがいいのかな、という印象。
    ともかくも、作者の歌舞伎へ対する愛情を感じた。
    設定も細かくしてあって、物語中で変なとこはなかった、と思う。
    ちょっとめんどくさいけど…
    話の流れは、題名とあらすじで結末までほぼわかるから、サイドストーリーやそこまでどうもってくかが楽しいタイプの話と思って読んでた。で、なんていうか、桂の方が気になってしまった。才能ある方よりもない方がどうやって折り合いつけていくか気になるじゃないですか。とか言って。
    ついでに言えば、歌舞伎の舞台から外されている"女"が主人公なので、歌舞伎の演目や稽古はあんまり出てこないんだよね。わかってたけど。笑

    で、なんか変だなと思いつつ途中で気づいたのだけども、なるほど、これは続編で、前作は『花に舞う鬼』という作品だそうだ。
    本文で暗示されていた何かはそこに書いてあるのだな…と納得。なんのこと?となる部分もあるけれど、本編そのものを楽しむには支障はなかった。

    前作は凱史と蛍一郎と京二郎と瑛がメインの話らしい。
    で、今作品は、その京二郎が結婚してできた娘を巡る話となっているわけで、そうか、皆がことあるごとに言う蛍一郎が前作ではたっぷり出てくるのね…
    読むかどうかはちょっとわからないけど気に留めておこう。

  • どんなに才能があっても
    歌舞伎の世界では
    女は疎外され演じられない。
    たとえ、松た◯子でも…。
    でも、どんなに封じようとしても
    演者の血は濃いんでしょうね。
    人の心、想いや熱情は
    カゴの中には閉じ込められない。

    Let it go ありのままに↓
    http://m.youtube.com/watch?v=QZ1poicuB2s

  • みなさんのレビューで
    はじめて知った。。

    これボーイズラブ小説の
    続編なの・・・。そうなの。。

    うーん出てくる登場人物に
    全然愛情が抱けず・・・。
    だって全員「狂気」の役者なんでしょ。ww
    作者の歌舞伎世界への愛は
    ひしひしと伝わってくるんだけど
    そんなに歌舞伎ってすばらしいの?
    すばらしければ何やってもいいの??
    んで、執拗なまでに葵の邪魔をするし。。
    まるで「愛してればいいんだ」という
    ストーカーの論理を見せつけられている
    ようで不快。。

  •  素晴らしいカブキ振り。
     面白かった!
     素直に笑いながら言える。

  • 本書に織り込まれる過去の出来事がわからぬままだったので、スッキリしない部分もあったが、「花に舞う鬼」の続編だったのか。

  • 面白かった〜。これいいわあ。

  • 歌舞伎界のトップを極めた名家に生まれた娘が、役者を目指す物語。
    初めの数ページこそ「モデルは誰だろう?」みたない野次馬根性で読んでいたけれど、すぐにフィクションとして読めた。
    「梨園の娘」の成長譚と言うよりは『役者』という怪物たちの業を描いた物語。

    ま、それにしても、数年前に歌舞伎の名家一門が総出でCMに出演したことがあって、ひょっとして裏事情が…とか思ったりもしたけれどね(笑)

  • ストーリーは面白いと思うけど、文があまり上手く無いような気がしました。それでも面白い作品だと思います。

  • 東さん初読み。歌舞伎は見たことないし、梨園の世界も知らないことだらけでも、楽しめる作品でした。

  • おもしろかった!
    歌舞伎には全然興味なかったけど、みてみたいと思った!

    役者になることへの執着心とか、役者としての才能とか、なかなか陽の目をみない葵の苦労とか、読んでるうちにガラスの仮面のマヤを思い出した

    ただ、表現がちょっとくどいかなーとも思った

  • 先ず「花に舞う鬼」(文藝春秋)を読みたくなりました。。。

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    「梨園の御曹司にして絶世の美男・藤村霞右衛門に待望の跡継ぎが生まれた。桂と葵、男女の双子だ。大名跡を継ぐ男子としてもてはやされる桂。だが真に父の才能を受け継いでいたのは娘の葵で……。父と子の葛藤の物語!」

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著者プロフィール

東京都在住。テレビ番組制作プロダクション勤務を経て、フリーの放送作家に。ドキュメンタリー番組、情報系番組等を手がける。著作に『梨園の娘』『美男の血』「桜花傾国物語」シリーズなど。

「2018年 『小説 昭和元禄落語心中』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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