さいごの毛布 (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
3.64
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本棚登録 : 559
感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041106495

作品紹介・あらすじ

年老いた犬を飼い主の代わりに看取る老犬ホームに勤めることになった智美。なにやら事情がありそうなオーナーと同僚、ホームの存続を脅かす事件の数々――。愛犬の終の棲家の平穏を守ることはできるのか?

感想・レビュー・書評

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  • ★3.5

    年老いた犬を飼い主の代わりに看取る老犬ホームに勤めることになった智美。
    なにやら事情がありそうなオーナーと同僚、
    ホームの存続を脅かす事件の数々――。
    愛犬の終の棲家の平穏を守ることはできるのか?


    幼い頃から自分に自信が持てず、引っ込み思案。
    家族とも折り合いが悪く就職活動も失敗続きだった智美は、友人の紹介で、
    事情があって飼い主とは暮らせなくなった犬を有料で預かる老犬ホームに勤めることになる。
    最後まで看取ってあげることの出来ない様々な事情を抱えた飼い主と犬達。
    亡くなってしまった人、闘病中の人…どうしても仕方なく預ける人がいる一方、
    身勝手な事情で若い犬を預ける飼い主や、
    子供に死を見せたくないと老犬を預ける親。
    共に成長して生と死を身をもって教えてくれるペットという存在は、
    最後まで命を見届けてこそ情操教育になるんじゃないの٩(๑`^´๑)۶

    動物を飼うときは、その命の最後まで責任を持たなければ
    いけないという事の自覚がない人が多い事が辛すぎる。

    ここに預けられている犬達、淋しい思いをしているけど
    恵まれている…幸せだともいえます。
    捨てられたり保健所に連れて行かれる犬達もいる。
    老犬ホーム・老猫ホーム必要です。

    智美はホームで働く事により、苦手だった人付き合いや
    疎遠になっている家族との関係を改めて考え直し始めた。
    そんな姿は良かったです。


    犬は昨日を愛する生き物
    今日も昨日と一緒であればいいと思っている。
    特別な事は何も必要としていない。
    昨日と一緒の家族、昨日と一緒のごはん、昨日と一緒の散歩。
    この言葉、泣けました。

  • 人と上手く付き合うことのできない主人公が、友人の勧めでとある老犬ホームで働く事になる。
    様々な事情を抱えた犬たち。こちらから見たら、人間は自分勝手だと思う事でも、仕事だと割り切って犬だけでなく依頼者の気持ちも受け入れなければいけない仕事。大変そうだなぁ。それでも毎日を一生懸命生きている、昨日と同じ日々を求めている犬たちが健気で、本当に可愛く思えた。人と人、人とペット、どちらも共に生きるって大変だ。

  • 近藤史恵のさいごの毛布を読みました。
    近藤史恵と言えば自転車のレースの小説というイメージです。
    主人公は人との付き合いがうまくできない主人公が、仕事をやめて困っているところに、友達から住み込みの老犬ホームの話がありました。
    飼い主の都合で飼えなくなった犬を預かります。
    確かに、色々な理由で飼うことが出来なくなることはありそうです。
    なかなか面白かったです。

  • さいごの毛布
    近藤史恵

    ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼

    犬でも猫でも、飼うならちゃんと寿命まで飼ってほしいと思うのが第4者の当たり前の感情だよね。
    子供に、動物の死ぬところを見せたくないっていう親ってなんなんだろう。

    犬にとっては飼い主が亡くなったんだろうが、捨てて行ったんだろうが、どうしてもの事情で飼えなくなったとしても、もう会えないなら一緒のこと。

    主人公の感情なのか、文章が淡々として冷たい感じがした。人生がつまんなそうだなっていうのが、雰囲気で分かってしまう。自分と犬の人生(犬生)を重ねて、可哀想と思ってるのもひしひしと伝わる。「可哀想と思うのは傍観者」って言葉、他人だから無関係だからいちいちそう思えることに、妙に納得してしまった。

    動物を飼うための心得というか、勉強になったと思う。昔実家で猫ちゃん飼ってたけど、最後は事故だったので急でとても淋しかった。でもそれだけ家族の一員だったって、大事に飼ってて最後に死んでしまったからこそ学べたことっていっぱいある。

    2022/10/22 読了(図書館)

  • 近藤史恵さん作品。読後感が心配でしたが、とてもいいお話で、読んでよかったです。
    老犬ホームかぁ。
    時代が進むにつれ、どんどん選択肢も増えていきますね。
    読んでいる途中、何度も我が家の愛犬をハグして、ワンコに鬱陶しがられましたσ(^-^;)

  • 表紙の絵とタイトルから「これ人前で読んだらアカンやつ(T-T)」と覚悟して読んだけれど、大丈夫だった(^^;)老犬ホームの話だから、胸がギュッとなるところもあったけれど、ホームで働く人間の方が大丈夫なのかよ!?(゜゜;)と心配になった(-_-;)ワンコも人もどうなるのか、もう少しだけ先の話を読みたかったなぁ(^^)

  • 極端な人見知りで、何をやっても上手く行かない智美が知人の紹介で行きついた先が老犬ホーム・ブランケット。
    慈善事業ではなく、家で飼うのが難しくなった犬たちをきちんと料金をいただいて面倒を見る。そんな老犬ホームで働くのは元高校教師の店長と、訳アリの動物看護士の二人のみ。
    その中で智美は悩みながらも、自分の居場所を見つけていく。
    老犬ホームに預けられる犬=「不幸」とつい思いがちで、損得関係なく、手を差し伸べそうになる。
    しかし、その考えがとても自分勝手であることに、主人公の智美と共に気づかされていく。
    決して緩やかな話ではなく、結構重めの個人の事情なども出て来るし、それをいい話に収めることなく、それでもラストにはちょっとうるっとさせてくれる良作。

  • 人にはそれぞれ自分に合った居場所が必ずどこかにある。
    そう思えた。
    老犬センターと人付き合いのニガテな智美。
    人相手ではなく、主にイヌ相手の仕事だったから変な緊張が溶けていったのかもしれない。
    イヌにもこれほど個性というものがあるのか(飼ったことがないのでわからない)、そりゃ生き物だから当たり前かぁ。
    人の気持ちを察して寄り添ってきてくれたりなんかしたら涙が出そう。

  •  オーナーと2人の従業員が10数頭の犬を世話する老犬ホームの話。老人ホームには、家族と離れるという寂しさもあるけど老後を楽しく安心して暮らすという面も。飼えなくなった犬を世話する施設は、愛犬が飼い主と離れるということ。近藤史恵「さいごの毛布」、2014.3発行。オーナーの藤本麻耶子、従業員の安原碧、梨田智美。「ブランケット」が老犬ホームの名前。飼い主のいろんな事情で飼い主と離れなくてはならない犬たち。その犬たちを世話する人にも複雑な人間関係が。読み応えのある物語です。ほのぼのとしたラストがいいです!

  • さいごのブランケット、と言う施設があれば、救われる犬と人がいるのかも…

    多頭飼育する無責任な施設のニュースは時々目にしますが、健全なビジネスとして成り立つここに出てくるような施設があれば…と思ったりしました。

    家族と自分の立ち位置、人間関係や自分が感じる事と、他人をジャッジすると事は別とか、中々に深いお話。

    犬達がかわいくてあっという間に読めたのですが、独りよがりな主人公にあまり共感できずの星3でした。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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