不道徳教育講座 (角川文庫)

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著者 : 三島由紀夫
  • 角川書店 (1967年11月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041212073

不道徳教育講座 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • これまで作品を通して思い描いていた三島由紀夫像を良い意味で壊されます。

    芸術史上主義で正統派の作風、ボディビルで鍛え上げた肉体、割腹自殺…ストイックな人だと感じていたけれど、ユーモラスな人でもあったんだなぁ。

    花嫁探し中の三島が美智子さま(美智子皇后)とお見合いしていたと知り、さらに驚愕。

  • 昭和33年から『週間明星』で連載された三島氏のエッセイをまとめたもの。
    「女から金を搾取すべし」「『殺っちゃえ』と叫ぶべし」「沢山の悪徳を持て」などなど刺激的な題が並んでいる。

    しかしその実は逆説的レトリック。不道徳を説くほどに、道徳とは何ぞやということを問いかける。

    「人を待たせる立場の人は、勝利者であり成功者だが、必ずしも幸福な人間とはいえない。駅の待ち人たちは、欠乏による幸福という人間の姿を、一等よくあらわしているといえましょう」

  • 10年ぶりの再読。
    好きな石井好子さんとの話など出てきて、面白かった。50年前の現代は、など興味深い。34の時の文章とは驚いた。

    2017.1.3

  • 美輪明宏さんの語る、お洒落でおちゃめな三島由紀夫さんを感じられる本でした。ユーモラスな語り口に油断しているとズバッと確信をつくことを言われたり。油断できない。

  • 『三島由紀夫のレター教室』(筑摩書房)の小気味よい洒落と毒気がたまらなかったので、こちらも読んでみました。
    書名からしてにやりとしてしまいますが、目次の各章の名前を見て、ますますにんまり。
    人の不幸を喜ぶべし、約束を守るなかれ、できるだけ己惚れよ…等々、期待を裏切らぬ不道徳な項目が並びます。

    さらに本文に進んでも、切れ味鋭い三島節が炸裂。
    不道徳のススメの体裁をとってはいるものの、三島流の道徳論・生き方論です。
    清らかな道徳を正道で説かれると「どうも胡散臭いな」と思ってしまうのですが、不道徳面から話されると説得力がある…!

    「いわゆる「よろめき」について」に書かれた男と女の違いに、ものすごく納得してしまいました。
    世にある、体だけの浮気、というものを自分が受け入れ難い理由がようやくわかりました。
    ううん、勉強になるなぁ。

  • 三島由紀夫の本の中では,とても軽妙な語り口で,とても楽しめる1冊だと思う。

  • 「死後に悪口を言うべし」「教師を内心バカにすべし」「大いにウソをつくべし」etc.
    世の良識家たちの度胆を抜く命題を並べたてた“不道徳のススメ”六十九章。
    著者一流のウイットと逆説的レトリックで展開される論の底に、人間の真実を見つめる眼が光る。
    昭和三十三年(1958)「週刊明星」に連載された人間学的エッセイ集。

    時代を感じました-
    当時の風俗・雰囲気がわかって興味深かったです。

    逆説的なハズなのに、勧められてる悪行がそのまま行われてる感のあるのが現代かと…

    解説の著者像が一番面白かったかも-

    所謂“文豪”のものを、教科書に載っていた以外読んだことがなかったので気軽に読めそうなのを選んだけれど…
    小説も読んでみるべきだな-と思いました。

    ところどころ漢字やアルファベットで書いてくれれば良いのにカタカナだったり、完全に死語だったりで“?”てなったわ-
    ディグニティー…威厳 気高さ
    ゴテる…だだをこねる 不平を言う
    ゲルピン…お金に窮していること ゲルトピンチ

  • 三島さんの文章は、何を書いても本当にうますぎる。処女でも、童貞でも、ヌードでも、痴漢でも。

    少女が「私、死にたい。」と言う。
    「今入ってきた蛾が私のコップの水のおもてに鱗粉をちらしたでしょう。その銀色の粉を見ていたら、急に死にたくなったの。」
    「私、この頃腿が太くなった。お友だちとはかってみたら、私のほうが5センチ太かった。このまま行ったらみっともなくなるばかりだ。きれいなうちに死にたい。」
    「今朝気づいたら、私の部屋じゅう、私の指紋がいっぱいついているということが分かった。私のさわるものにみんな指紋がついちゃうんだわ。あぁ、人間って汚い。そう思ったら、一刻も早く死にたいわ。」
    三島さんの手にかかると、死にたい理由はこんなにも不合理な、くだらない、虚無的な美しい理由に変わる。

    それから、私は太宰治が苦手だ。うまく説明できないけど、とにかく苦手なのだ。(でも、だからこそ惹かれる。)その理由が、わかったような気がする。太宰治は、「弱さをすっかり表にだして、弱さを売り物にしている人間」なのだ。「彼は弱さを最大の財産にして、弱い青年子女の同情共感を惹き、はてはその悪影響で「強いほうがわるい」というようなまちがった劣等感まで与え」るのが、太宰治らしい。"人間ってそんなに弱い生き物じゃない"これが私の考えだから、太宰治が苦手なんだな、多分。

  • 三島由紀夫について知りたくて読んでみた
    私の今まで抱えていた矛盾や自分を責める気持ちがこの本を読んだら逆に、これでよいんじゃないか!私は間違ってなかったんだ!と思えるようになりました。むしろ洗脳が解けたようです。
    三島さんはとても真面目な人です。真面目を極めたからこそ、道徳を極めたからこそ不道徳の大切さがわかったんじゃないでしょうか。
    そんな気がしました。不道徳なのは人間の本質、本能ですしね
    この本を読めば道徳的になれますよ(*^。^*)

  • 三島由紀夫と言えば、あたしが昔ジョシコーセーという生き物だった頃に、まるでダンシの中二病のような流行病にかかって挙げ句に、なんとなく背徳的な気持ちになりつつ禁色なんかを読んでは少し背伸びしちゃったキオク、そんな曖昧な作家さんだった。

    あるいはモノクロのぼやっとした映像で、割腹自殺をする直前に叫んでいる姿であったりとか。こう、男性的・禁欲的・背筋の伸びた・論理だった・やや諧謔趣味の?という印象しかなく、この本を手にしたのはまず、タイトルの不誠実さとのギャップの「?」であり、表紙の耽美的かつ退廃的なゆるやかさに惹かれたからだった。(残念ながらアマゾンの書影はこの雰囲気を伝えていないのでこちらに実際の書影をつけたいくらい)

    しかーし。
    なんと。

    面白いんだこの本。

    引用されている諸氏で存命の方が出てくると(あるいは美輪様を思い出しては)、もう、羨ましさに身悶えするほど。いいなぁ、本当にこの人と同じ時代を生きたのか。それだけでため息が出る。


    なんだろう、絢爛豪華な知識とステディな文体と、少し粋なくずしかたと、最後の哲学的に美しい衒学的でさえあるまとめかた(なんとなく論理矛盾も感じるが)。


    特に男女間の機微について、そうして人間の愚かしさについて、語るミシマ氏の筆運びたるやもう、何かが乗り移ったかのように冴えに冴え。

    <引用>
    ・彼女たちは「私」のほうが「私の体」よりも、ずっと高級な、美しい、神聖な存在だと信じているらしい。だから、この高級で清浄で美しい「私」をさておいて、それ以下の「私の体」だけを欲望の対象にする所業は許せないのである。(『痴漢を歓迎すべし』)
    <引用終わり>
    そしてこの後の論理の流れ方とまとめかたが秀逸。

    男性の性欲は主体的だが女性は受け身であるべしと躾けられているため主体の対象としての「物」となることが存在理由である。そこで女性は「なんとか主体性を回復したいと思っているので、自分の肉体だけを愛されることを侮辱と感じる」


    **


    また、『人に尻尾をつかませるべし』では、

    <引用>
    「人間の尻尾というものは、フワフワしていて、猫の尻尾よりもっと柔らかで(中略)、これをつかんだ人を恍惚とさせます。つまりその人に、まちがいなく、好奇心の満足と、感傷と、誇りとを抱かせるのです。これこそ人間社会で、ワイロよりももっと美味な御馳走です。ですから人間は、狐に負けずに、最低九本は尻尾を持っているべきなのである。(中略)しかし、九本目は誰にもつかませてはいけませんよ。八本目までの尻尾がみんな真っ赤な嘘だという大秘密を知っているのは、九本目の尻尾だけなのですから」
    <引用終わり>

    この人本当はすごく優しくてウエットで、熱い人だったんだろうに。もうそんな人に滅多にお目にかかれないけれど、せめて同じ日本に生まれて、彼の言葉を血肉とする環境に育つことができて、本当に良かったな。と、素直に思いましたとさ。


    言葉は美しいね。ちりばめた言葉のひとひらを、掬い取っているその人の、その手を、その心の移ろいを、あたしは本当にこころから、愛してやみません。

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