恋愛とは何か: 初めて人を愛する日のために (角川文庫 緑 245-5)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 207
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041245057

感想・レビュー・書評

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  • 簡単に体を許しちゃいけないけど、体を求めてしまう男性はそういう性なので軽蔑しないであげてください。肉欲は決して不潔なものではありません。っていうのはこんなに昔から…50年近く昔から変わらず男性が唱えてきたんやなあと思った。
    愛と情熱は似て否なるものやねんて。
    全部納得はいくけど、よく聞く話やなあとは思うけどそれが1972年に書かれたものやとおもうとすごい。
    私が大学生とかのときに読みたかったかも。

  • 遠藤周作といえばどちらかというと硬派な作家のイメージだったから、エッセイ、しかも恋愛についての指南書を書いているなんてびっくりしました。昭和47年初版ということは、40年以上前の本なワケで(というような古い表記も何のそのです、お嬢さん)、現代とは情勢がだいぶ違っている部分もありますが、それでも「ハァ、なるほど」と思える部分もチラホラ。

    「虚栄心が強い」ことと「見栄を張る」ことの違い、なんていうのは作家さんならではの話な気がして面白い。男は見栄を張るけれど、虚栄心が強いのはイカンね。

    「安定は恋愛を殺し、不安は恋愛を生かす」というのも、確かにねと思いました。恋愛や恋の情熱なんてのは動物でももてるもの。「あの人は私を好きかしら、不安だわ」なんて思えば思うほど簡単に盛り上がれちゃう。
    でも安定して、相手のことを思える様になった時に、「倦怠」や「慣れ」を乗り越えて、昔のように燃え上がりはしないけど「トロ火」にゆっくり育むのが「愛」なんだって。
    うん、それはちょっと素敵だなと思いました。

  • ■『恋愛とは何か』 遠藤周作著 角川文庫

    【前編1 創造原理/前編2 堕落論】
     遠藤周作の恋愛論。人間性に関わる本は、こと男女の愛に関わるものはほとんど堕落論に分類されてしまいますね。ただ夫婦の愛として家庭に関わるものであれば、創造目的にも関係してくるので、これは両方ということで収めておきます。
     『沈黙』で有名なカトリック作家の遠藤周作ですが、作品の幅は広いです。そして多作ですね。芥川賞の受賞歴がありますが、ユーモア小説も多数発表していますし、ミステリー、宗教、エッセーから評論まで、懐の深い人です。個人的に信仰において大きな理解を与えてくれたのが遠藤です。日本の作家の中で一番影響を受けましたし、作品を一番多く読んでいるのも、遠藤のものです。触れていない人はぜひ、日本人として、宗教人として、読んでください。

     私のことはあんまりどうでもいいのに長くなりますが、この本の内容です。『恋愛とは何か』というタイトルなので、我々が普段、愛とか恋とか呼んでいるものを分析しています。遠藤は「愛」と「恋」は違うといいます。まず、恋とは燃え上がる情熱であるといいます。異性に対する情熱であるから、大きな刺激になります。そして環境が厳しいほどに燃え上がるのが恋です。遠距離恋愛、周囲の反対、身分的な差など、二人の思いを妨げようとする環境があるほどに燃え上がるのが恋だというのです。しかしこれを愛と勘違いしてはいけないと遠藤はいいます。恋は情熱であるから絶えず変化を求めます。だから環境が停滞したり、二人の関係がマンネリ化すると、情熱も冷めるんです。だから、熱烈な恋愛を遂げた二人がいざ結婚をすると、一気に情熱が覚め、特別冷酷な目で相手を見つめるようになってしまう。恋では結婚はできないというのです。
     一方、愛とは二人の関係の中だけで育まれるモノなので、逆境や変化は必要ないといいます。変化の極端に少ない穏やかな流れと調和が愛の状態なのです。結婚生活に必要なものは、恋ではなく愛です。相手と一つになり、二人の調和の中に永遠を感じるようなモノなくして、一生を添い遂げることは不可能です。恋愛だけで結婚した夫婦が、その思いが変化しないままいくと、逆境と刺激を求めて別のところに恋愛を求めるようになるのが常だということです。だから我々は「恋」から「愛」に昇華させなければいけない。こんなところが要旨だと思います。

     ちょっと時代的にすぎた感のある表現が多いですが(お嬢さんとかなんとか)、そのメッセージは色あせないものがあると思います。現代においては貞操観念なんか早く捨てちまえ、というような風潮ですから、ちょっと待ってお嬢さん、自分自身を見つめてご覧なさい、と誰かが言ってくれるのは嬉しいです。愛と恋の関係なんかは、私たちが読んでも「なるほど」と思わせる部分があります。その他にも「性」についての男女の感覚の違いや、遠藤自身の夫婦の体験談など、色々と重たくなくじっくりと読むことができます。

  • 情熱を持って書かれたであろう恋愛指南書。スイーツな啓発本は破り捨てこちらを読めば目からウロコが出ます。重要&本当に素晴らしい。人には教えたくない本。

  • 時代は過ぎた感がありますが、人間心理は普遍的ですね。頷くものがたくさんありました。
     「恋愛と愛は違う」という部分は共感。恋愛は情熱の延長、逆境こそ燃え上がる炎。愛は変わらない安定に幸福を感じるもの。ためになりました。

    2010/11/3

  • 遠藤周作先生は、私のもっとも愛すべき作家です。今の私の価値観やものの考え方におおいに影響を与えています。ここ最近恋愛に悩んだので手に取りました。私の求める答えはここにあったようです。この本を読まれる方は、ぜひ遠藤先生のほかの作品も数多く読まれることをお勧めします。というのも、遠藤先生のお話はわかりやすいようで奥深く、本作品だけではおざなりなものと感じぜずにはいられないかもしれないからです。つまり、恋愛ってむつかしいんです。

  • 大正生まれの著者の、やや昔の恋愛観といったところ。しかし現在に通ずるものも多く、一部なるほどと思える記述もある。

  • 慶応の仏文学者遠藤周作が恋愛について講義します。72年初版です。今読んでも面白い。表紙カバー裏には、わかりやすく鋭く、男女間の心理のあやを解明した、全男女必読の愛のバイブルである。とかいあります。

  • 1998年3月26日読了。

  • 遠藤周作ってカタいご本を書かれるので、
    カタい恋愛指南書かと思いきや…
    のっけから性欲、肉欲の話(笑)

    下世話な話するなぁ…と思ったが、
    それはつまり、
    「恋愛するときは、恋愛における知識を持つことが重要」
    ということだと、読了後感じました。

    ただ、正面きってぶつかり合うだけが恋愛ではないと。
    それだけではいけない、足りない部分があるのだと。

    愛と情熱は別物。
    情熱が落ち着いたあと、どれだけ(ふたりで)愛を育むことができるか。

    結局のところ、情熱はひとりでも持てるけど、
    愛はひとりじゃ作れないんだよね。
    勉強させていただきました。

    愛を育む…もう死語かも知れないが、
    「作る」でも、「生み出す」でもないからねぇ。

  • 「サウンド文学館・パルナス
    1 純愛の美しさへの疑問
    2 情熱を強調しすぎた過ち
    3 陶酔しすぎた悲劇
    4 恋愛に陶酔しない女性
    5 情熱と愛」
    朗読:山本學

    遠藤周作の読書感想文[恋愛小説編]
    結論:繋がった縁を大切にすること。

  • 再読したけどいい本だわこれは。

  • (メモ:中等部3年のときに読了。)

  • 時代が違う、の一言にかぎる部分もあるが、
    遠藤周作ならではの人間への深い洞察も混在した一冊。
    期待せずに斜めよみして、ちょっとぐっとくる部分を抜粋する程度がちょうどいい。

  • 遠藤周作らしからぬ。というかキリスト信者なので、もっと隣人愛とかに触れる内容かと思いきや、肉欲について書いて終了。
    まぁ、高校生ぐらいが読めばよいんじゃないか。

  • 遠藤周作シリーズです。

    時代の流れを感じる、昔に書かれたエッセイ。

    哲学や自己啓発本などは(内的なもの)
    大きな時代の変化を感じさせないものが多いけど、
    軽い恋愛観や世間の反応(外部要素が強いもの)の変化は大きいなあと感じた。

    そしてまた著者の女性に対する考え方や眼に疑問を感じた。

  • 遠藤周作先生がこのような本を書いていたとはビックリである。何十年も前の本だけど、けっこう現代でも使えそうなことが書かれていて参考(?)になったかも。しかし結局は遠藤先生も昭和の男だな〜と思える箇所もあり、何となく複雑な気持ちでした(笑)

  • 周ちゃんをおもうとけっこうわらける

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著者プロフィール

1923年東京に生まれる。母・郁は音楽家。12歳でカトリックの洗礼を受ける。慶應義塾大学仏文科卒。50~53年戦後最初のフランスへの留学生となる。55年「白い人」で芥川賞を、58年『海と毒薬』で毎日出版文化賞を、66年『沈黙』で谷崎潤一郎賞受賞。『沈黙』は、海外翻訳も多数。79年『キリストの誕生』で読売文学賞を、80年『侍』で野間文芸賞を受賞。著書多数。


「2016年 『『沈黙』をめぐる短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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