白鳥の王子ヤマトタケル 大和の巻 (角川文庫 く 1-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041268575

感想・レビュー・書評

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  • 大和王朝の王子でありながら、権力よりも自由を求めて生きようとする若き英雄、倭男具那。重臣たちの人望を集めながらも、その勇猛さゆえに、父王、兄王子から疎まれ、王権を奪取しようとする士族たちに命を狙われる。台頭した大和王朝と、それに反発する士族たちの争いが繰り広げられる激動の四世紀末、数奇な宿命を背負い、ヤマトタケルの青春は幕を開けた―。血を分けた兄との確執と兄弟愛、刺客との壮絶な闘い、日本最古の英雄を描く壮大な歴史ロマン。

  • 『大和の巻』、『西戦の巻・上下』、『東征の巻・上下』、『終焉の巻』のシリーズ全六巻。
    景行天皇の皇子、ヤマトタケルの生涯を描く。

  • 久々に読み直したけれど、やっぱりおもしろかった。
    出る杭は打たれる、じゃないけれど、ヤマトタケル自身は王になる野望もないし、逆に王となる人を支えたいと思っているのに、周りはそうは思わない。頭もよく、腕も立ち、何より人に好かれる、そこがある人たちにとってはしゃくに障る、気にくわない。この本では、まだまだ序の口で、ヤマトタケルはこれからどんどん辛い目にあう。あー、かわいそうなヤマトタケル。
    続編が数冊出ているので、読みたい。

  • ちょこちょこUPしてますが、やっと40冊!
    黒岩氏だけでもまだ10冊近くレビュー残ってるし…。
    歴史物だけの紹介で1年が過ぎていきそうな予感です。

    さて、今日の紹介は黒岩重吾氏の歴史小説の中でも最長の作品、ヤマトタケルの物語です。
    本書は「大和の巻」「西戦の巻・上下」「東征の巻・上下」「終焉の巻」全6巻構成となっています。
    長い!
    でも私は、面白くて一気に読みました!

    言うまでもなく、ヤマトタケルは半分想像上の人物と言われています。
    大和政権が各地を平定していく過程の、様々な王子や将軍による英雄伝が、ヤマトタケルと言う人物に集約され、ひとつの物語になったと言われてるらしいです。

    本書、黒岩版のヤマトタケル英雄伝は、いわゆる「記紀」で語られている荒唐無稽なおとぎ話ではなく、一本の筋が通った人間ロマンになっています。
    もちろん神秘的な部分もありますが、あくまで現実と言う認識で、有耶無耶にはせずに描かれています。その現実と非現実の匙加減がまた巧妙なこと請け合いなのです。

    有名な兄殺し、女装劇、焼津の草薙の剣の逸話がどうなっているのか、ぜひ読んで頂きたいです。
    「記紀」の本筋とはちょっと違う、一味も二味も風味増しされた、新しいヤマトタケル観が味わえる小説だと思いますよ。
    もちろん本筋を知らなくても、楽しめると思います。

    個人的には宮簀姫がすごい事なってるやん!って驚きました。
    そう来たかと…。魔性の女ですね゚д゚;
    あとは黒岩氏のこれも得意技(笑)、王子を補佐する人物たちがあまりに魅力的すぎます!
    ヤマトタケルの話と並行して描かれる彼らの物語も、ものっすごく濃いぃです。
    特に猪喰。惚れてまうやろー。
    宮戸彦や七掬脛みたいなお調子者キャラも好きですが、私はいつも、猪喰みたいな「影」のキャラに味を感じてしまいます。
    オダギリジョーか松山ケンイチあたりで映像化してほしいわー!
    オグナは塚本高史あたりが良いかなとか妄想。

    歴史ものとしても、戦記ものとしても、人間ロマンとしてもおすすめの一冊です。

  • 4世紀末。倭男具那の話。双子の弟で小碓またはヤマトタケルとも呼ばれる。兄は大碓。景行天皇の子供。男具那が大きくなり,その武勇と人望から,自分は王になりたいとは思わないのに,回りの王候補である異母兄弟(実際には異母)に命を狙われていく。
    男具那の母は吉備印南の出身で男具那が幼少のころ他界しており,本書は大和の巻ということで,自分の出生の秘密を追って吉備の国の母の墓に行き秘密を解き明かすまでの話。
    はじめは男具那の兄の大碓と仲がうまくいっていないが,話が進むに従い,大碓の人を愛するという人間性が現れはじめ,男具那もそんな兄に気持ちを許していく。
    基本的には戦の要素はあまりなく,固い絆で結ばれている男具那主従が見えない敵と戦いながら話は進む。
    ちょっとした推理小説っぽい。もう少し時代背景やその時代の人々の暮らしが見えるとなお面白いと思う。

  • 全6巻。

    古代史いろいろ書いてる人。
    やっぱりルーツは知りたくなりますよね。

    まあ。
    古代だから。
    資料もほとんど残ってないだろうし。
    多少はファンタジーな感じにもなりますわ。

    ファンタジーは嫌だけど、
    これは許容範囲。
    ある程度人間、ヤマトタケル。
    この人の著書の中で一番好き。

    この人の他の著書もそうなんだけど、
    少し変な文体。
    小説っぽくないと言うか。
    ぶっきらぼう。
    画面転換に前置きがなかったりする。
    あれってなる。
    でもなんか引き込まれるのよね。
    ちょいちょい。
    自分の蔵書の中で異色な存在感。

  • 膨大な量ではあったが、
    黒岩ヤマトタケルに魅せられて
    時には寝る間も惜しんで一気に完読。

    ヤマトタケルを囲む従者の存在がとてもいい。

    筆者想像の人物である丹羽猪喰に惚れてしまった(笑)

    筆者の解釈ではあるが
    これこそが事実だったように思えてならない。

    というか、こうであってほしい。
    そう思わずにはいられないほどとても引きこまれる作品だった。
    自分のこの嵌り具合からして、
    おそらく今後何度も読み返すんだろうなぁ^^;

  • 神話
    ヤマトタケル

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著者プロフィール

1924-2003年。大阪市生まれ。同志社大学法学部卒。在学中に学徒動員で満洲に出征、ソ満国境で敗戦を迎える。日本へ帰国後、様々な職業を転々としたあと、59年に「近代説話」の同人となる。60年に『背徳のメス』で直木賞を受賞、金や権力に捉われた人間を描く社会派作家として活躍する。また古代史への関心も深く、80年には歴史小説の『天の川の太陽』で吉川英治文学賞を受賞する。84年からは直木賞の選考委員も務めた。91年紫綬褒章受章、92年菊池寛賞受賞。他の著書に『飛田ホテル』(ちくま文庫)。

「2018年 『西成山王ホテル』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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