- Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041290071
感想・レビュー・書評
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2018.8.21
読み切れなかったのでまた読みたい。
山崎烝にここまでスポットが当たることが珍しいと思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
司馬遼太郎が描く新撰組もの短編集。幕末小説は、登場人物と同様、読み手も『佐幕派』と『倒幕派』に分かれる。私自身は倒幕派で、従って佐幕派の人物が描かれる本書の感想は、もう片側の方とは異なるだろう。
本書は新撰組の日常が描かれ、殺戮に明け暮れる集団の何気ない生活は、そのギャップに薄ら寒くなる。世の情勢や使命などよりも、内部の人間関係が優先され、粛正が行われる様は、司馬さんが嫌っていた、敗戦に向かって突き進んでいた頃の軍部に近い。司馬さんが本書を書いた理由は、そこなのではないか。などと想像してみた。 -
すごく久しぶりの司馬遼太郎、しかも新選組なんて。司馬の幕末ものはあらかた読んだ気がしてたけど「血風録」は未読だった。血と男と女の匂いにむせ返るような濃い話が15本。この本読むと、新選組が京都にいた約5年の間、いったい何人殺したのかグラフ化してみたくなる(そのうち新選組内部の者が何割なのかもぜひ確認したい)。→文春オンラインにありました、敵は26人、内部粛清した隊士は40人だそうです、ひゃー。(http://bunshun.jp/articles/-/94)粛清隊士の数にはびびるが、「敵」が思ったより少ないな…。でも「血風録」の中で死んだ者もほとんどが隊士だ。あと刀で切られるのはやっぱり嫌だなと。すっぱり上手な人に切られて即死ならいいけど、傷を負ったり、ましてや切腹の介錯が下手なのは勘弁と思いました。
いろいろな隊士のエピソードが紹介され、全編を通して近藤勇、土方歳三、沖田総司がちらちらと顔を出す。沖田はマスコット的存在、土方が組を差配しているのはわかるが、おっかなくもあり甘くもある近藤がいい味を出しており、魅力的な人物造形がされている。
以下、気になった話。監察の山崎烝はどの新選組ドラマを見ていても気になる存在だがあまり主役のイメージがなく、「池田屋異聞」ではかの池田屋騒動のエピソードで堂々の主役をはっている。赤穂浪士の話にまでさかのぼるのが非常に面白い。沖田総司のエピソード「沖田総司の恋」「菊一文字」はどちらもきりっとした清々しさがあり、醜い人物が出てこなくて(菊一文字のほうは敵方に嫌なやつがいるけど)気持ちがいい。「長州の間者」は最後の場面が印象的。他のエピソードもだが、切られる瞬間の場面がスローモーションのようになって映像が脳内で再生される。この話もだが間者の話は複雑で微妙な心理葛藤が表現されており、スパイものが好きなので特に印象に残る。スパイの最後って切ないよね。まあ中には富山弥兵衛のように優秀な間者もいますが(「弥兵衛奮迅」)、そういうスパイよりも、心が迷う二流スパイの話が好き。多くのエピソードがスパイと裏切り者の話でスリラーを読んだ気になるが、新選組とはいったい何だったんだという気持ちにもなる。 -
新選組の「一個人」にスポットをあてたアンソロジー風の一冊。時系列にこだわらずキャラ一人ひとりを掘り下げる構成で、各話は短いながらも読み応えは抜群。それにしても、幕末という時代の何と物騒なことよ。ほぼ全編に斗争剣戟が吹き荒れる、殺気に満ちたまさに「血風録」であるな。
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初めて新選組の本を読もうと思っている人にオススメです。それぞれの隊士の話が書かれている短編集になっているのですが、隊士の剣の腕前や性格などが、イメージしやすいように話に盛り込まれています。非常に読みやすいので、歴史小説を読んでみようと思っている人にもオススメです。
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借 本棚
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好きな話ベスト3
1.槍は宝蔵院流
斎藤一と谷三十郎の話。斎藤一さんが好きなのです。もともと斎藤一さんには口数少なく隊務を確実にこなし、出世にあまり興味がなくどこか飄々としているというイメージがあるのですが、この話に登場する斎藤さんがまさにそうでした。斎藤さんの話をもっと読みたい。
2.沖田総司の恋
若くして戦いに身を投じた沖田さんにももしかしたらこの話のように普通の若者のような一時があったのかもしれない、いやあってほしい。近藤さんと土方さんに弟のように大事にされる沖田さんが微笑ましかった。
3.四斤山砲
阿部十郎と大林兵庫の話。阿部十郎からみた鳥羽伏見の戦いの描写がとにかく悲しい。歴史の積み重ねがあって今の日本があるわけだけれども、どんどん新撰組が劣勢になっていく様はやっぱり何度見ても悲しくなる。生き残った元新撰組隊士は明治の新時代をどんな風に生きたのだろう。 -
二男購入。
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勤王佐幕の血なまぐさい抗争に明け暮れる維新前夜の京洛にその治安維持を任務として組織された新選組。
騒乱の世をそれぞれの夢と野心を抱いて白刃とともに生きた男たちを鮮烈に描く。