三つ首塔 (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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感想 : 78
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304068

感想・レビュー・書評

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  • 金田一が全く出てこないので推理パートがなくて物足りない。ただ、音禰の逃避行を描いた話としては面白い。行く先々で人が死に、また私が犯人!?みたいな。
    時代だなぁと思う描写は色々あるけど、最初があれでよくそこまで惚れ込んだな。と思ったら、最初はレイプだったのに好きになっちゃう…みたいな話は現代でもTLコミックやらweb小説やらでごまんとありますね。昔から「そんなことあるわけないだろ」と言われながら人気あったんだな。
    鷺の湯での激昂ぶりから伯父様だろうとは思ったが、このシリーズに出る人はどうしてこう破滅的な愛に嵌るんだろうか。笑

  • 両親を亡くし、伯父宅に引き取られた音禰に思いがけない相続の話が舞い込む。その額なんと百億円!しかし、その条件は見知らぬ男・俊作との結婚だった。戸惑いの中で起きる惨劇の数々。その謎を解く鍵は、記憶の底に浮かんだ三つ首塔だった!

    金田一耕助シリーズながら、音禰の回顧録という形で進んでいく。事件の渦中で秘密を抱えてしまう音禰。金田一はその秘密を暴こうとする敵として描かれる。「もじゃもじゃ頭の金田一耕助が安楽椅子にふんぞりかえっている」とか嫌われてるなあと笑ってしまう。音禰自身も事件後に読み直して苦笑いを浮かべてそう(笑)

    否応なく事件に巻き込まれる音禰。遺産を巡る待ったなしの殺し合い!いくつもの顔と名前を持つ謎の男・高頭五郎に手を引かれ、スリリングな逃避行と恋愛を繰り広げる。きっかけがあれで恋にはならんやろ!とは思うけど、まあ二人の間で終わりよければすべてよしかな。

    犯人も終盤までわからず、ハラハラして読めた。いわゆる推理小説ではなく冒険小説として読むとちょうどいい味わい。でも、締めくくりはイイハナシナノカナー?ってなる。金田一の言葉を借りれば「世の中には理外の理というものがあるもんですね」という言葉に尽きる物語。

  • 女子大を出たばかりの若く美しい女性、音禰が語り手。
    ある日、アメリカにいる、曽祖父の弟・玄蔵の使者が音禰の元にやってくる。百億になるという彼の財産を音禰にゆずるというのだ。しかしそれには「高頭俊作」という見知らぬ人物と結婚するという条件があった。ところが、彼女の伯父の還暦パーティーの場で3人が殺される。そのなかの一人がなんと「高頭俊作」であった。
    「三つ首塔」というなんだかおそろしげな名前の塔が出てくるが、ホラー要素はあまりない。それよりも、音禰がいろいろな事件にまきこまれていくうちにだんだん変わっていくのが怖いような。結果良ければすべて良し、でしょうか。相変わらず金田一さんはいいとこどりのような気が。
    目次が優秀すぎて、それだけでなんとなく話がわかっちゃう。

  • どんだけ首がごろごろする話なんだろうと思ってたら、ひたすらヒロインが許嫁とイチャイチャする話だった。

  • 良家の令嬢の所へ突如舞い込んだ
    巨額の遺産相続の話。
    条件として見も知らぬ男と
    夫婦になれというものだった。
    この莫大な遺産を巡り、
    血みどろの惨劇が巻き起こる。



    知っている金田一シリーズとは
    全く異なった印象の作品。
    麗しの令嬢が悪漢に惚れ染まり、
    全く関わりの無かった
    裏社会、人間の闇に直面する。
    数々の死体を目の当たりにし、
    挙句、警察に追われるという
    サスペンス色の強い作品で、
    この娘の視点で描かれる事件は
    非常にスリリングで楽しめた。
    メロドラマの様な物語も嫌いでない。
    ただ、このシリーズらしい怪奇的で、
    凄惨な事件に巻き込まれる
    金田一耕助の活躍を楽しみに
    していたので少し不満は残った。

  • 金田一。遺産。愛。

  • 序盤から中盤までは、かなり重苦しく、場面によってはちょっとした生理的嫌悪感も抱いてしまうような展開。テンポ良く話が進むので、それに助けられて読み進められたけど、これで展開がもうちょっと遅かったりしたら、途中で投げてたかも。

    結局のところは最終章の名前通り、「大団円」としてまとまるけど、そこに至るまでのオチとトリックがちょっとなぁ…という感じ。推理小説でこのオチをやられると、個人的にはちょっと脱力してしまう。

    やっぱり推理小説は、クイーンやクリスティみたいに犯人が辿ったルートを作品内にそれとなく忍ばせてくれて、読みながら一緒に推理できる方が面白いかな。ホームズの発想力や「実はこういうことだった」という種明かしのパターンも、嫌いじゃないんだけど。

  • うーんセクシー。音禰さんセクシー。
    ミステリというよりは、冒険小説のような風味。
    謎解きっぽいものもあまりない。
    各人物の隠された過去とか、問題にされてないアリバイとかが謎のメインになるので。
    最後に出てくる「超自然的な出来事」がまた、アンチミステリっぽさを増幅させている。
    でも面白かったので嫌じゃないです。たまにはこういうのもいいかな。

  • 金田一耕助シリーズ

  • この物語は宮本音禰という少女の一人称で書かています。
    それ故に金田一耕助の出番が少ないです。
    今回の話はいつもの金田一ものとは少し違います。
    ミステリというよりエロ、メロドラマ的な融合が試みられています。
    今までの作品がおどろおどろしく、猟奇的、グロ、ほんの少しのエロスというのに対し、今回の作品は7割がエロのような気がします。
    エログロ比率が逆転した今回の作品ですが、正直に言うと面白かったです。

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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