幽霊男 金田一耕助ファイル10 (角川文庫 よ 5-10 金田一耕助ファイル 10)

著者 :
  • KADOKAWA
3.18
  • (12)
  • (35)
  • (126)
  • (22)
  • (1)
本棚登録 : 675
感想 : 46
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041304143

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 数か月ぶりに読む金田一はやっぱり面白かった。今回は東京と伊豆。金田一の登場が今までにないパターンで新鮮に感じた。
    猟奇マニアたちが出てくる気持ち悪い話だけど自分の日常と余りにもかけ離れている分、気分転換の読書にはうってつけだと思う。自己投影とか全くしないから、嫌な内容も引きずることもないし。

  • いろんな人物の思惑が錯綜するため、出来事がかなり複雑になっているけど、最後には綺麗に繋がるのは流石。
    ヌードモデルが次々ショッキングな遺体で発見されるという展開も横溝先生らしくて良い。
    それにしても、今回は金田一史上、最低最悪の犯人ではなかろうか…

  • 金田一耕助もの。作中の時間軸は有名な「犬神家」などよりはもう少し進んだ時代で、文明的な機械や施設もできてきており、いわゆる経済発展のさなかでこういった作品が書かれていたのだな、という感慨はある。

    ヌード写真の女性モデルを専門に扱ういかがわしい写真館(こういうのが商売として成り立っていたということ自体、非常に昭和的)に、恐ろしい容貌の男がふらりと立ち寄ったのが物語の発端。幽霊男と名乗ったその男は、モデルを用立ててまたふらりとどこかへ。指名されたモデルは幽霊男に拉致されてしまい、行方が知れなくなってしまう。女性は後日、都内のホテルで殺害された状態で見つかるが、幽霊男の行方は杳として知れず。衝撃的なこの事件からしばらく経ち、幽霊男は次の悲劇の幕を開ける…といったストーリー。

    場面が現代に近いからか、あるいは(相変わらず)金田一耕助がピリっとしないからか、あまりグイグイとのめり込んで読み進められる作品ではないのだが、使われているトリックは複雑であり、途中から第二、第三の謎の人物が出てくるなど、読者を惑わせる仕掛けにも事欠かない。多分にご都合主義的なところもなくはないが、これは金田一シリーズではある意味、当たり前というところでもあり、それほど気にはならない。

    絶対に読むべき名作、とまでは言わないが、金田一が好きなら読んで損はない。

  • 血みどろで陰惨で猥雑。何回も「あれ?こいつじゃないの?」ってなって楽しかった。
    ただのボーイが金田一と分かるシーンは爽快だし意外。あんなことするんだ。
    犯人がただの残忍なサディストで終わらないところも嫌な気分にさせられて好き。警部、もっと言ってやってください。

  • 年末ギリギリに読み終えました。さすがに金田一耕助シリーズの長編だけに、二転三転の展開で、最後まで犯人が誰なのか?分からず、トリックや事件の背景もよく練られていましたね。特に、この作品は少しの読み飛ばしも大事な場面を見逃すことになるので、些細な部分まで気を配って読む必要がある作品でした!

  • 打って変わって、コチラは文句なし。横溝先生絶好調。

    トリックの整合性なぞ、この人に突っ込んでも意味ナシ。

    珍しく都会を舞台に書いておられますが、「恐怖」は一切目減りしておりません。

  • 「佐川幽霊男君を御紹介申し上げ候」 見た目は短編集ですが、中身はちょっとした長編です。横溝作品には珍しい厚さ。

  • 横溝正史お得意の怪奇な話…エログロな連続殺人事件もの。

  • こんなタイトルで子供向けかと思いきや、なかなかすごい内容。
    映画にしたらめっちゃ映えそうだと思わせられた。
    死体を飾り立ててるところとか、羊たちの沈黙みたいに。
    犯人が結構わかりやすいというか、なんとなく「コイツやな」と勘でわかってしまったけれど、あの手この手で趣向を凝らしてあるので面白かった。
    最後の方で、すごく好きな文章があって
    以下引用~
    ~警部はまるで毒虫にでもさされたようにとびのいて、
    「そのけだものをはやくむこうへつれていけ……」
    と、嫌悪にみちた声でどなった。
    警部も今まで、これほど卑劣で、きたならしい犯人にお眼にかかったことはない。~
    このくだりが、たまらない爽快感を味わえました。
    この遠慮会釈のない書き方!
    たまりませんなあ、もっと言ってやって!!
    等々力警部の露骨な嫌悪が最高にイイ!
    自分は安全なところから、しかもくだらない嫉妬から殺人に目覚める優越感にみちた犯人が自滅するところが見所のひとつだと思います。

  • 金田一耕助

著者プロフィール

1902 年5 月25 日、兵庫県生まれ。本名・正史(まさし)。
1921 年に「恐ろしき四月馬鹿」でデビュー。大阪薬学専門学
校卒業後は実家で薬剤師として働いていたが、江戸川乱歩の
呼びかけに応じて上京、博文館へ入社して編集者となる。32
年より専業作家となり、一時的な休筆期間はあるものの、晩
年まで旺盛な執筆活動を展開した。48 年、金田一耕助探偵譚
の第一作「本陣殺人事件」(46)で第1 回探偵作家クラブ賞長
編賞を受賞。1981 年12 月28 日、結腸ガンのため国立病院医
療センターで死去。

「2022年 『赤屋敷殺人事件』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横溝正史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×