ポケットに名言を (角川文庫クラシックス て 1-3)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041315118

感想・レビュー・書評

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  • 寺山修司さんと言えば、私には「天井桟敷」しか浮かばないのですが、彼が思う名言を集めた本。そこには外国の古き人や太宰治など少し古めかしい人が並ぶのですが、反面映画の中での名セリフであったり、歌謡曲であったり、言葉のおもしろさの付き合いは広範囲にわたる。
    この,ごった煮的言葉の羅列が、どこか最終的には寺山修司節になってくる。

    例えば、やくざのスラングなんぞも紹介。
    ・時計・ケイチャン、短銃・ハジキ、大言・ラッパ、主・ロク、馬鹿者・ラり、ペテポウ、アッタモン、泥酔・キスグレ、喧嘩・ゴロ、うどん・そば・ナガジャリ、恋す・ラル、悪事・ワリゴト、巡査・クリ叉はヒネ、質屋・グニヤ、捨つ・チャりフル、貧乏・ヒンクヤ、禿・カリス、酒・キス、巻煙草・モヤ、富豪・ヒンマガリ、・・・・そやけど、こんなん覚えてどうすんの。

    最後に私自身の言葉として選んでる、寺山修司さん自身の短歌を

    マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや
    ふるさとの訛りなくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし
    煙草くさき国語教師が言うときに明日という話は最もかなし
    草の笛吹くを切なく聞きており告白以前の愛とは何ぞ
    北へはしる鉄路に立てば胸いずるトロイカもすぐわれを捨てゆく
    一粒の向日葵の種子まきしのみに荒野をわれの処女地と呼びき(荒野について)
    胸痛めばわが谷緑ふかからむスケッチブック閉じて眠れど

  • その言葉、文章、名言といつ出会うか。
    読み方、捉え方、噛み締め方は、日々刻々と変わり、自分自身も変わっていく。
    時として、名言を、あたかも全てが素晴らしいもののように、感じようとしてきたのかもしれない。
    ストンと心に落ちてくるものは、きっとその時の自分に合っているのだろうし、分からないものは分からないで仕方ない。いつか分かるかもしれない。
    再読を繰り返し、毎回違う想いを抱くことを楽しみたいと思う。
    ポケットに入れるように持ち歩きたい一冊。

  • 名言集は嫌いだけどこれはよかった。好きだった。
    「どこでもいいから遠くへ行きたい。遠くへ行けるのは、天才だけだ。」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「名言集は嫌いだけど」
      それは、寺山修司の感度の勝利だね。。。
      「名言集は嫌いだけど」
      それは、寺山修司の感度の勝利だね。。。
      2013/08/07
  • 寺山修司の著書というよりは、寺山修司編集、解説といったところか。

  • 映画やら名著やらから寺山お気に入りの言葉達を集めた名言集。
    まさしく古今東西から集めた名言の中で燦然と輝くブルース・リー。<頭で考えるな。肌で掴め>はやっぱりキャッチーだなぁ。

  • ''ことばはナイフであり、時に薬である。
    ことばは比喩であり実体ではない。''

    ことばについて久々に考えた。
    ことばについて考えることは思考について考えることであり、世界について考えることであり、人生について、人について、概念について考えることだ。

    何を「名言」とするかはその人の価値観や歴史、生きざまが表れる気がする。だから「名言」ってのは人によって変わるのだ。
    過去の経験によって作り上げられた心の琴線は人それぞれだから。

    寺山氏の引用した名言たちも「なるほど」と思うもの、「よくわからない」もの、「綺麗だ」と思うもの、「気にくわないな」と思うもの、様々あって面白かった。
    それにしてもとりわけ「恋愛」についてのことばは、過去から多く語られてきた題材であることも関係するのだろうけれど、面白いほど普遍性を持つのだなあ。
    としみじみ思った。メロドラマが廃らないわけである。笑

    わたしも名言を探し、そして出会った名言を心にそっとしまって生きていきたい。

    ''結婚は夫によって、または妻によって造り出されるものではなく、逆に夫と妻とが結婚によって造られるのだ。''
    マックス・ピカート

    ''臆病は残酷性の母である''
    モンテーニュ

    ''ふるさとは遠きにありて想ふもの
    そしてかなしく歌ふもの
    かへるところにあるまじや''
    室生犀星

    ''美しくない真実は、ただの「事実」にすぎないだろう。''
    寺山修司
    (2016.8.14)

  • 本だけではなく、歌謡曲や映画からも出典があるのが興味深いと思った。
    ただ、幸若舞の一説を織田信長の名言として載せるのはいいんだろうか……?

  • 『行動することの快楽は必ず約束した以上のものを支払う。』
    他20個好きな言葉がありました。満足。

  • 再読。古い表紙のほうを持ってます。
    それぞれのカテゴリーごとにつけられた、「私のノート」がすてきです。

  • (2012.07.28読了)(1998.08.10購入)
    【夏の文庫フェアを読む・その②】
    *本の紹介より*
    この名言、まるで私のためにあるみたい!
    演劇、映画、短歌、詩、評論など幅広いジャンルで活躍した寺山修司が、「人生」「恋」「幸福」といったテーマ別に集めた名言を収録。映画のセリフから、サルトル、マルクス、織田信長、「新約聖書」まで、寺山ならではの自由な感性で選んだ型破りな名言集。「名言集」だからと言って難しく考えずに、気軽に手に取ってみよう。人生の役に立つ、共感できる、あなたにぴったりのフレーズが見つかるはず!

    どっかで聞いたようなフレーズが結構入っています。歌謡曲の歌詞だったりするので、当然といえば当然なのですが。でもいまの人には、新鮮だったりするかもしれません。

    【目次】
    1 言葉を友人に持とう
    2 暗闇の宝さがし
    3 好きな詩の一節
    4 名言
      人生/孤独/恋/幸福/快楽/冒険と死/朝/文明/望郷と友情/忘却/真実/
      地上的な、苦痛な/善と悪/革命/
    5 無名言
    6 時速100キロでしゃべりまくろう
    改訂新版のためのあとがき

    ●木の言葉(41頁)
    木とは人間の兄弟で、動かないのです。木の話す言葉では、人殺しのことを樵夫といい、死体を運ぶ人のことを炭焼きといい、蚤をキツツキといいます。
    ●狭き門(99頁)
    狭き門より入れ。滅びにいたる門は大きく、その路は広く、これより入る者は多し。生命にいたる門は狭く、その路は細く、これを見出すものは少なし。
    ●目覚まし(103頁)
    あるひとがききました。
    何もかけずに寝るのか? と。(一寸ながし目で私をみつめて)
    目覚ましをかけて寝るわ
    ●悪魔(116頁)
    悪魔というものが実際に存在せず、ただ人間がつくったものだとすれば悪魔は人間そっくりに創られているにちがいない。
    ●世界の終わり(146頁)
    もし世界の終わりが明日だとしても私は今日林檎の種子をまくだろう。

    ☆寺山修司の本(既読)
    「人生なればこそ」寺山修司著、大和書房、1967.10.01
    「家出のすすめ」寺山修司著、角川文庫、1972.03.25
    「幸福論」寺山修司著、角川文庫、1973.01.30
    「さかさま世界史 英雄伝」寺山修司著、角川文庫、1974.05.20
    「書を捨てよ、町へ出よう」寺山修司著、角川文庫、1975.03.10
    「寺山修司少女詩集」寺山修司著、角川文庫、1981.01.20
    「誰か故郷を想はざる」寺山修司著、三笠書房、1984.03.15
    「さらば箱船」寺山修司著、新書館、1984.08.25
    「母の蛍」寺山はつ著、新書館、1985.02.15
    「不思議な国のムッシュウ」九條今日子著、主婦と生活社、1985.04.20
    (2012年7月30日・記)

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著者プロフィール

寺山修司(てらやま・しゅうじ):1935年、青森県生まれ。54年「チェホフ祭」で短歌研究新人賞特選を受賞、脚光を浴びる。早稲田大学教育学部在学中にネフローゼを発病、4年間の療養生活を送ったのちに劇団、演劇実験室「天井棧敷」結成。劇作家・演出家として活動するかたわら、映画監督、詩、小説、批評、歌謡、競馬評論など、国内外で様々な分野の才能を発揮した。83年5月、旺盛な仕事のさなかに逝去。

「2023年 『さみしいときは青青青青青青青』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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