幻燈辻馬車 上 山田風太郎ベストコレクション (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041356616

作品紹介・あらすじ

明治15年。年々文明開化の華やかさを増す東京を行く1台の古ぼけた辻馬車があった。それを駆るは元会津同心の干潟干兵衛。孫娘のお雛を馭者台の横に乗せて走る姿が話題を呼び、日々さまざまな人物が去来していく。ある日2人は車会党の恨みを買い、壮士らに取り囲まれてしまう。危機に晒されたお雛が「父!」と助けを叫ぶと、なんと無人の辻馬車が音もなく動き出した!そして現れたのは…?山風明治ロマネスクの最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • 明治15年頃の東京。馭者台に小さな孫娘をのせて走る一輌の辻馬車があった―――

    ■馭者の名は干潟干兵衛、元会津範士。戊辰戦争で妻を、西南戦争で息子を亡くした悲しい過去を持つ。辻馬車にいつもいっしょにいるお雛は息子・蔵太郎の忘れ形見。客を拾いながら干兵衛は、死に際の蔵太郎に聞かされたお雛の母であるお鳥という名の女の消息を探っている。
    ■お雛が危険な目にあった時、お雛は「お父(トト)」を呼び出す。すると蔵太郎が幽霊となって現れお雛を救いだす。
    ■干兵衛に自由党の壮士たちが纏いつく。「自由民権」を標榜する彼らは干兵衛にとって好感をもてる一方、理想のためには殺人もいとわず、干兵衛やお雛にとってきわめて剣呑な存在となる。
    ■山形・福島県令である三島通庸が帰京してくる。薩摩出身の三島は福島で圧制を敷いて民を虐げつづけており、自由党壮士の間でにわかに三島暗殺の機運が高まる。
    ■自由党壮士たちは当局により危険なテロリストと目されており、すでにその中にはスパイがもぐりこんでいる。それも多方面からのスパイが……。

    ―――自由党壮士たちの闘争を背景に東京の往来を親子馬車がひた走る。多くの人たちの人生を巻きこみながら。

  • 江戸末期・明治時代の有名人が、会津武士漂落の末の辻馬車とすれ違う。伊藤博文、嘉納治五郎・姿三四郎、円朝、三島県令。幻想。

  • @ledsun リコメンド。
    感想は下巻が終わったら。とりあえず、想像してた話とは違って非常に読みやすい、と書いておこう。

  • 明治を描いた秀作。感想は下巻にて。

  • 2012年9月に上巻のみ一読。
    初読ではえげつない部分に肝を冷やしたが、再読するとほんとうにおもしろい。
    ストーリーを忘れた頃に、読み返してみたい。

  • 二頭だて箱馬車、少女と幽霊付き

    【内容】
    明治初期、自由民権運動盛んなりし頃、老人と少女が御者台に乗った馬車の出会う、様々な事件。有名人も多数登場。
    一貫したストーリーもあるが、オムニバスふうでもあります。

    【感想】
    なんかなし、おもろい話です。
    幽霊は出るけど、メインではなく、老御者(といっても50歳前のようですが)の目を通して、この当時の熱気・混沌を見ていくという感じでしょうか?
    実際の明治時代がどんなだかはもちろん知りませんが、なんとなくその雰囲気を感じられるような?

    (2013年01月01日読了)

  • 明治ものも面白い!ちょんまげ姿の武士と、軍服をきた軍人が入り乱れる明治維新の頃は、考えてみれば、確かに混沌としてて、魑魅魍魎の世界かも。

  • 『人の世に情けはあるが、運命に容赦はない』

    奇才・山田風太郎の明治物。

    文明開化の明治15年に東京を行く1台の古ぼけた辻馬車。
    それを駆るのは元会津同心の干潟干兵衛。
    孫娘のお雛を乗せて走る辻馬車にはさまざまな人物が去来するが…

    この馬車には一つの不思議が。
    お雛が危機にさらされたとき、お雛が「とと!」と助けを呼ぶと…

    忍法帖のような超能力はでてきませんが(笑)
    歴史とファンタジーを融合させる力はさすがの一言。

    明治初期の様々な著名人の運命がこの辻馬車を中心に絡まっていくので
    あ、この人があの有名な!ってところも面白いです(笑)

  • 読みたかった本が再販されて良かったです。川上音二郎ってなんか聞いたことあるけど誰だっけ?と思ってたら大河ドラマにもなった人でしたかー。

  • 舞台は西南戦争後の明治の東京。主人公は、会津出身の元侍で、辻馬車で生計を立てている。彼が出会う人々との様々な出来事がテンポよく描かれる。馬車の馭者台の横には、孫娘のチョコンと座っていて、危機のおりに彼女が「トト!」と叫ぶと、西南戦争で戦死したお父さんが現れて救ってくれるという奇想天外な設定だ。物語には、その時代に実在した人物が次々と登場する。たとえば、三遊亭円朝、坪内逍遥、大山巌、松旭斎天一、姿三四郎、嘉納治五郎、中江兆民、花魁花紫、伊藤博文、斎藤歓之助、山川健次郎、山川捨松、田山花袋など、豪華絢爛。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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