少女地獄 (角川文庫)

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著者 : 夢野久作
  • KADOKAWA (1976年11月29日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041366059

少女地獄 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 短編集。『少女地獄』が読みたくて。
    可憐で看護師として天才的な手腕を見せる少女・姫草ユリ子。「無鉄砲とも無茶苦茶とも形容の出来ない一種の虚構の天才である彼女」は嘘を嘘で重ね、言い逃れのできないところまで突き進んでいきます。

    医師で語り手の白杵もその妻も、彼女に惑わされ混乱させられた言わば被害者です。しかし妻をはじめ周囲は彼女の不思議な魅力に魅せられ、怒りを見せるどころか許し世話を焼こうとします。

    ユリ子のまるで悪気のない「純真無垢」な振る舞いと「天才的虚構」に読者も翻弄されます。最後まで読み、たしか冒頭で既にユリ子は……と思い出しつつも、何故か腑に落ちません。知らない土地で、小悪魔的微笑を醸しながら天真爛漫に逞しく生きる彼女をつい想像してしまいます。

  • さて嘘とはどういうものか。少女地獄にはびこるのは嘘、虚構、欺瞞。果たして嘘つきは、嘘をつくことができるのだろうか。嘘をつくためには嘘が嘘であるという点が真実でなければ嘘になりえない。
    そんな嘘をつきとおす正直者たちが紡ぐ3つ物語。この3つが何の脈絡なしに並んでいるとしたら、なぜ地獄になるのか。ひとつの嘘という真実がこの3つを貫いているのだ。火星の女は姫草ユリ子の手紙を届ける者として、素性を偽るバスの男運転手として、姫草ユリ子は殿宮アイ子として、友成トミ子として転生する、まるでそれは地獄のよう。どこにもない虚構の世界だから、どこにでも生まれえる。地獄とは無限の転生のことなのだと思う。
    『童貞』『けむりを吐かぬ煙突』はグロテスクなもので煙に巻いているが、純真であることや理想というものは、最も穢れていることに等しいということのアイディアスケッチのように感じられる。清浄と汚濁とはコインの裏表である。どちらも単一には存在しえない。それをたまたま、男女という性別に背負わせている。男女の埋めがたい断絶ではなくて、この清浄と汚濁が等しく互いを維持しているということを性別に役割として振る舞わせている。彼らが背負った役目こそが、埋めがたい断絶なのだ。
    『女坑主』は恐らく外向けというか何かテーマが与えられて書いたもののように感じられる。語りも構図も夢野にしては単純で、実に何の含みもなくめぐらされた陰謀が展開していく。彼の場合、大衆小説を書いて売る気になれば多分どうにでもなったのだろう。小説家として売れることより、考えることに生まれついてしまっているから、彼の生み出す世界は独自にことばとして息づいている。

  • 15.05.06
    青空文庫なので、「童貞」は読めてない。
    好きなんだよなあ、この作風、言葉選び、テンポ、ストーリー。夢野久作の作品はどの女性も特徴的で、危うくて、怖くて、でも可愛らしさがあって、悲しくて、すごく魅力的なんだなあ。

    少女地獄(「何でも無い」「殺人リレー」「火星の女」)、「けむりを吐かぬ煙」、「女坑主」どれも好き。
    飛び抜けて好きなのは「火星の女」かなあ。映像化して欲しいくらい。切実で息苦しくて悲しい話。
    少女地獄はすべて書簡式なのも好き。夢野久作の作品だとよくあるけど、語りかけてる書き方、すごく好き。普通より綺麗に感じる。

  • なんでもない。
    虚言癖?
    比べものにならないけど、わたしにもあるかもしれない。
    他の人にはないのかな?
    あれ、わたし今なんでこんなペラペラと本当のことのように話したの?って瞬間。ないのかな。それならなんか、この話も自分自身も怖い!

  • タイトルからして、毒々しくて艶かしい。夢野久作作品、初挑戦。

    少女地獄の中でも、人気が高い「何んでも無い」がやっぱり良かったー。病的なまでに嘘を吐いて生きる娘。最初は読んでて腹が立ったけど、よく考えたら寂しい人だし、憎み切れなくなる。あっ、しまった!私、同情してる!(同情させられてる…?)
    こんな巧く嘘が言える人は中々いないんじゃないかな。しかも名演技!
    す、すごい…。
    どうしようもない嘘つきだとバレると追い出されて、結局は一人ぼっちになる。彼女の嘘に悪意が感じられない。ただ生きようとすると、なぜかこうなっている…これはどうしようもないことで、彼女は可哀相な人だと思ってる私がいる。いやでも、実際こんな人が近くにいたら嫌だなぁ。
    ユリ子は、彼女は生きてると思う。

    火星の女は最後がいい。復讐心に満ちた女が、その運動神経抜群な体を吊るしたり、飛んだり、走ったり。あれ、これアクション小説?ってなるスピード感。

  • 自分の居場所を作るために吐く嘘が、逆に自分の居場所を失くしていくという矛盾。
    それを回りくどく哀れに描かれて面白かった。

    火星の女は、自己満足に終始し、思ったより復讐できてないように感じた。

    全ての話において、死んでしまえば後は関係ないという無責任さに、人間らしさを感じずにはいられない。

  • 夢野久作にハマって「ドグラ・マグラ」「瓶詰めの地獄」と読み3作め。

    この作者の世界観が大好きです。女性達も魅力的。
    楽しく読み進めましたが「瓶詰めの地獄」の方が好みでした。

  • やっっっと読み終わった。
    古い言葉は知らないものが多いから、辞書を用意して調べたくなるけど、物語の世界に入っていると中々それが出来なくて難しい。本を勉強にはしたくないし。しかし知識を積めば物事はもっと楽しくなるし。

  • 夢野作品の底知れない気味の悪さや猟奇さ、だけどそこらに散りばめられた愉快な感じが堪らない。あのリズム感や語呂の良さは癖になる…!

    手紙として打ち明けられる事件の真相や告白。やっぱり「なんでもない」が1番好きな話です!姫草ユリ子ちゃんは何度読んでも憎めない子。臼杵先生にもあまり責めている感じがなく、今でも心のどこかで可愛がっているような気がします。

    今まで電子で読んでいたけれど、紙ならではの手触りや文字の印刷が擦れているところが、何だか良い雰囲気を出しています。

  • 書簡体の形式をとった作品が目立つ、短編集的な作品。大正~昭和期の文体が好きな自分としては全体的に楽しんで読むことができた。
    登場する少女(女性)達の持つ性癖、宿命が示す結末がどれも耽美的であったり、残酷さを合わせている。

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