彼のオートバイ、彼女の島 (角川文庫 緑 371-9)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041371091

感想・レビュー・書評

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  • 片岡義男が売っていたのはアメリカナイズされた都会的生活のイメージだったと思う。彼の小説には教訓もないし、芸術性もないけれど、スナック菓子のような劇的な中毒性があって、1冊500円くらいの赤い背表紙の角川文庫に次々と金を出して当時の若者が買っていたのは自分たちをどこかカッコいい想像の世界に連れ出してくれるそのイメージだったのだと思う。あとがきで室謙二が書いているように、「片岡義男のどの小説の主人公も、彼ら彼女らがどういう家庭で育ち、どういう教育を受けたのかを想像するのはむずかしいし、一度本を閉じたら彼ら彼女らがこれからどうなるのかも想像するのはむずかしい。」彼の小説というのは、気取った台詞やカットが先にあり、ストーリーはそれらを使うがために組まれている無理やりさがあって、小説として上手いかというと疑問があるが、それでもその「娯楽小説」が与えるイメージは一級品。特に夏、バイクというのは彼の専売特許であり、単行本のあとがきでは本人も「夏とは単なる季節ではない、それは心の状態なんだ」と言っている。これに関しては何も言うことはない。

  • 学生時代にこの本を読んでしまったせいで、オートバイ業界へ就職。半生、いや3分の1生くらいを捧げることになってしまいました。片岡義男は短編がスラスラ読めて気持ちいいんですが、この本にはその短編のエッセンスが凝縮されている、というか、やっぱり大好きな一冊です。まっ、角川映画は全然別物でしたけど。

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  • 「コダックのポケット・カメラを、彼女は構えていた。」
    「フィルムを巻き上げ、彼女は、浅間山を撮った。」
    「『電話くれろ』『するわ』「夜なら、いる』『OK』」
    40年以上前の、携帯もlineも無い頃の軽快な片岡ワールド。
    この際、映画の方も見直してみるつもり。
    大林宣彦監督、原田貴和子初主演、ロケ地の一部に広島あり。
    なので星一つプラス。

  • 40年ぶり?に映画を見て古茶けた紙の文庫本を読み返しています。
    懐かしくて面白い!

  • 35年ぶりに読んだ。ノスタルジー、W3やCB400フォアが現役の頃を描いているので時代はあと5年から10年は遡る。オートバイが主役になり得た片岡さんの小説を疑似体験したくてよく愛車を駆って旅に出ていたことを思い出した。当時、片岡義男氏の文庫本は角川出版社から赤の背表紙で本屋に並び、装丁は小説の一部を切り取ったような写真で構成されていてデザインも時代と切り離されてとてもモダンなものであった。なんだか新しい時代が提示されている感じが文字の間からビンビン伝わってきた。今読んでも一向に昔の感じがせず、やはり時代とは隔絶した小説だったと思う。

  • バイク乗りの青春物語。気楽な気持ちで読むのが良い。ストーリーではなく雰囲気を楽しむべきもの。

  • 探してやっと見つけた。
    片岡作品は匂いがある。若かりし頃に感じた匂いがそのまま思い出せる作品だ。
    当時が思い出される。
    私の経験したあの時間を思い出させてくれる。
    やっぱりいい本だ。

  • 昔、書店の文庫コーナーに行くと、真っ赤な背表紙の片岡義男の本が目立ってて、表紙の写真も格好良くて、ハマってたなぁ。今で言うジャケ買いよ、ジャケ買い。(笑)
    で、片岡さんの小説って断片的で、唐突に不幸で終わっちゃったりなんかして、唯一、通しで気持ちよく読めたのがこれ。ほんと古くさい絵に描いたような青春小説だと思う。けど、愛読書(!)映画も見たけど、これは最悪だったなー、むりやり小説をなぞろうとしてて、わざとらしかった。

  • 私の父母の育った能美島も瀬戸内海。
    もう、何年行ってないだろう...
    一度だけバイクで行ったな。

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著者プロフィール

1939年東京生まれ。早稲田大学在学中にコラムの執筆や翻訳を始める。74年「白い波の荒野へ」で小説家としてデビュー。翌年には「スローなブギにしてくれ」で第2回野性時代新人文学賞受賞。小説、評論、エッセイ、翻訳などの執筆活動のほかに写真家としても活躍している。『10セントの意識革命』『彼のオートバイ、彼女の島』『日本語の外へ』『万年筆インク紙』『珈琲が呼ぶ』『窓の外を見てください』『いつも来る女の人』『言葉の人生』ほか多数の著書がある。

「2022年 『これでいくほかないのよ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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