ひとりで夜読むな (角川ホラー文庫 800-7)

著者 :
制作 : 中島 河太郎 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 88
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041434048

作品紹介・あらすじ

大正から昭和にかけて、もっともハイセンスで知的な雑誌であったばかりか、数数の才能を生み出し、日本における探偵小説・ホラー小説の黎明期を支えた「新青年」より、選りすぐりの怪奇小説を集めたベストセレクション。江戸川乱歩「芋虫」、小栗虫太郎「紅毛傾城」、夢野久作「鉄槌」など、13編を傑作を収録。極上モダン・ホラーの恐怖が、時代を超えて、今、甦る。

感想・レビュー・書評

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  • 昔の作品なので、アイディアが古い。
    「ヤトラカン・サミ博士の椅子」牧逸馬
    「死屍(しかばね)を食う男」葉山嘉樹
    「紅毛傾城」小栗虫太郎
    ◎「可哀想な姉」渡辺温→筋はたいしたことないが、話の雰囲気が良い
    「鉄鎚(かなづち)」夢野久作→やっぱ面白い。
    「痴人の復讐」小酒井不木→落ちが微妙。昔ならありえたのかも。
    「柘榴病」瀬下耽→既読。柘榴病というのが良い。
    「告げ口心臓」米田三星
    「聖悪魔」渡辺啓助→軽妙な文章。
    「本牧のヴィナス」妹尾アキ夫
    「エル・ベチョオ」星田三平
    「マトモッソ渓谷」橘外男
    「芋虫」江戸川乱歩→さすが大御所。ちょっとキモイ。

  • 暑くて寝苦しい夜にこんな一冊はどうだろうか。
    大正から昭和にかけて執筆された
    怪奇小説集を集めたベストセレクションだ。

    もっとも13篇もの短編の中で
    私の知っている作家や作品はほとんどなく、
    お目当ての江戸川乱歩のみだったので、
    それを中心に書いてみた。

    ● 「芋虫」 江戸川乱歩作
    傷痍軍人として帰国した夫に献身的に使える妻の苦悩を綴ったものだ。
    砲弾の破片をもろにうけた夫は
    手足がふっとび耳は聞こえず口もきけず、
    胴体だけの異様な姿となっていた。
    それでも傷だらけの頭部の中でも眼だけは正常で、
    口に鉛筆をくわえてカタカナは書けた。
    かろうじて生きているだけの夫との生活は、
    妻にはだんだんと重荷になってきていた。
    妻の心中を察した夫のとった行動とは・・・・。

    夫を憐れと思いながらも、
    介護にあけくれる毎日は妻の心を疲れさせていった。
    その葛藤が、夫の怪我をするまでの回想とともに
    暑苦しいほど濃厚に書かれていて、
    ぐいぐいと引き込まれて読んでしまった。

    人間はなんと精神的にも弱い生き物だろう。
    その中でも夫が最後にとった行動は、妻への愛の証だったのだろうか。
    どんな姿になっても、
    人を思いやる心を持っていた夫はやはり人間だった。
    なんだか、切ないが・・・。

    あらためて読んでみると、
    夫の憐れな姿の描写は、ゾクッとくる。
    やはり、江戸川乱歩は素晴らしい。

  • 「新青年」に掲載されたホラー、及びそれに近い味の作品を集めたアンソロジー。文章や背景、作品自体に時代を感じさせられるが、それらは同時に、現代のホラーにはない味わいをも感じさせる。

    江戸川乱歩、夢野久作といった有名作家から、現在では殆ど名前の知られていない作家のものまで13編を収録。この時代と作家については巻末の解説にて詳説されているので、こちらもぜひ一読されたい。

    何も「土着ホラー」だけがジャパネスク・ホラーではない。大正及び昭和時代の、紛れもない「日本のホラー」なのである。

  • これは橘外男の「逗子物語」が秀逸。
    純和風な物悲しいお話ですが、最後が救われるようなシーンで涙が止まらなくて。
    にしても子供と怪談って似合いますね。

  • 似た系統の著者が集まっています。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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