- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041437216
感想・レビュー・書評
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収録作品は、表題作「雨はあした晴れるだろう」、「この重きバトンを」、「茨の蔭に」の三つ。
「雨はあした晴れるだろう」
解説での評価はあまり高くない印象を受けるけれども、私は好きな作品。
姉の夫に対する少女の恋愛感情の生々しさがいっそ美しく見えてしまうのが、三浦綾子の力だと思う。
おにいさんに恋焦がれつつ、クラスメイトの直彦君を失いたくないと思う主人公の「狡さ」ともとれる感覚
ひとの「罪」に傷つけられ、嫌悪やら後悔やらでいっぱいになっても、その「罪」を犯したひとも苦しかったのだ、
とくるりと見方を変えて見ることができる人の心の不思議さ、と救い。
少女の日記形式で書かれる文章は読みやすくて、感情移入も出きる。
時折出てくる乱れた感情から来る過激な台詞にいちいちドキリとするのが、どん底のやけっぱちな快感を覚える。
「この重きバトンを」
タイトルかっこいいですよねこれ。
「茨の蔭に」
卑怯で愚かな血筋の中でただひとり素面のように見える主人公の、その辛さ。
社会正義どこにあるんだろう救いはどこにあるんだろう、ないのだろか。私も汚いのだろうか。
そんな風に息苦しくなってくるけれども、それは主人公がひとり素面なためだ。
作中に主人公の真の理解者はいないのだけれども、読んでいる人はきっと主人公自身か、唯一の理解者の視点を持つと思う。
それがやっぱり苦しいのだけれど、その苦しさが尊いもののような気がしてくる。
図書館で借りてきて、この本を読んだ後に古本屋で三浦作品三冊買ってきました。そんな感じでオススメ。 -
著者の文章は読みやすく、描写も生き生きとして、登場人物たちや景色が脳裏に次々に浮かんできます。収録されている全3作品はジュニア向けに書かれたもので、特に読みやすい。今回、読むのは2度目。解説で書かれた三浦夫婦のエピソードに涙涙。やさしい人になりたいわ。
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やや凡庸。しかし、性善説を貫く姿勢は真摯でとても聖(きよ)らかだ。
最後に収録されている『茨の蔭に』は、漱石『こころ』の続編とも、アンチテーゼともいえる作品だと思った。 -
実は三浦綾子の作品を読んだのは初めて。初期の短・中編3本が収載されているんだけど、総じて時代のせいか、それとも自身が敬虔なクリスチャンのせいか、ずいぶんとお行儀のよい小説、主人公や中心的な人物が善良すぎる印象でいたら、どうも若者向けの雑誌が初出のものらしい。それがわかると何となくうなずける。
登場人物が善人は限りなく善良で、悪人は限りなくしょうもなく描かれていてまるでひと昔前のテレビドラマのようにさえ思える。小説はもっと微妙な人の姿を描いてこそだと思う。 -
2014/07/20
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結局周りは変わらない、自分を変えて行くしかないと思った。汚い大人たちに囲まれながらも、主人公景子は哲也の父の言葉で目覚め、自分の人生を歩んで行こうとする姿が立派に思えた。
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父が五十二歳の時に生まれたこと。
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この中に収められている3作品のうち、一番最後に収録されている“茨の陰”がとても好き。
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最後の「茨の陰に」が好き。
全体的に読みやすい。
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何度も読み返したくなる恋愛小説。
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3つの物語が入っているんですけど、お勧めは「茨の陰に」切ない恋物語です。自己犠牲愛で、理不尽なラストなのになぜか好き。最後まで読むと、引用されているヘッセの言葉がすごい心に残ります。純粋な気持ちになりたいときに。