青山娼館 (角川文庫 こ 3-7)

著者 :
  • 角川グループパブリッシング
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041494172

作品紹介・あらすじ

東京・青山にある高級娼婦の館「マダム・アナイス」。そこは、愛と性に疲れた男女がもう一度、生き直す聖地でもあった。愛娘と親友を次々と亡くした奈月は、絶望の淵で娼婦になろうと決意する――。

感想・レビュー・書評

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  • H21.2.24 読了。

     娼婦を職業に選ぶ女性の情事が書かれているものと思っていたが、違っていた。
     男女の間柄で、友情や愛情を超越したような関係になれるのだろうか?

    ・「情熱は本来、流動的なものよ。」
    ・「ただその存在だけが、むしょうに好きになる、ということも、この世にはある。」

  • 幼い娘とたった一人の親友を相次いで亡くし、高級娼婦になった奈月。

    奈月の悲しみ、憎しみ、怒りや孤独が胸に迫る。

    白檀の香りが本当に匂ってくる小説。

  • この人の本読んだことないな~と思って買った本。
    なんとか読み切りましたが、次の作品買おうとは思いませんでした。

  •  2歳の子どもを亡くし、唯一の友だちも失った主人公が高級娼館で働くことになった話。おもしろかった。
     この年になって、女性作家さんの本がすごくしっくりハマるようになってきた。

     主人公の女性が私の年齢と近いこともあり、子どもを急に失ってしまったことと、今の自分のように体調が悪くなって強制ストップしたことと重ね合わせて読んでみたり。
     主人公の女性は子どもも死や自分の母親への絶望、友だちの自殺などいろんなことを乗り越え、決してどんなことがあっても生きるのをやめなかった。そして、美しい形で堕落をしていった。 私はこの人のようにはなれないしならないけど、魅力的に映ったのは確か。

     最後のほうの娼館マダムの言葉

    「悲しいことっていうのは、案外、簡単に乗り越えられるものよ。そう、とても簡単。時間が洗い流してくれるわ。問題はね、そうではない感情と戦わなくてはならなくなった時」

    「悲しい気持ちというのは、時間がたてば消えてしまうの。悲しみだけじゃない、腹の立つことも不安をかきたてられるようなことも、たいていは時間が消してくれる。不思議なほどよ。でもね、時間がいくら流れても、決して消えてくれない感情おあるわ。複雑で一言で説明しきることなんかできない、自分でもそれが何なのかよくわからずにいるような、そんな感情。私たちは生きている間に、そういう感情を、自分ひとりで抱えていかなくちゃならなくなることがある」

  • 2008年03月03日 20:32

    癒しを求めて高級娼館で働くことを決めた主人公 

    人生の絶望の淵にいる人間の葛藤、心理描写が巧く表現され、読んでいて痛かった

  • 自分の大切な宝者が亡くなってしまった者同士これからどうなっていくのか……

  • 小池さんは、「二重生活」がものすごくワクワクしたのでもう一冊読んでみたけど、これはまぁまぁかな。
    でも、やっぱり独自性はあると思う。
    どうなるんだろう?っていうのは、あったので、悪いお話ではないと思う。ただ、私、やっぱり基本不倫ものは好きじゃないんだなー。。。安易なネタに逃げている気がどうしてもしてしまうし、そんないいものじゃない。

  • 青山にある高級娼館の話。
    えー何だろう。
    特に感想がない。
    まぁこんな恋や愛もありますねって話。

  • 名作映画『吉原炎上』など、身体を売って生きる人の話がなぜか好きだ。本書は文章だけでも伝わる非日常の雰囲気がとても良かった。主人公と川端の関係性は果たして、恋ではなかったのだろうか。

  • 心理描写が秀逸

  • 登録忘れ。本当の愛と代わりとしての愛、あらすじにある生と性の境界線をよく書き切ったなとただただ感じる。

  • けっこういっきによんだかんあり。展開的に変化が大きいわけではないけど、主人公の葛藤というか、考え方というか境遇にはスピード感があった。
    読む前に想像してたのとはちがった(もっと短編的な要素がいくつか入ったものと思ってた)形の小説だった。基本的に不幸な人が多く出てくるなあ。じめじめがた。

  • どんなことがあっても生き抜いた方がいいという伝言だと理解した。
    それ以外に読み方が分からない。

    青山という地名が,高級感を醸し出しているのだろうか。

  • 大切な人を失って、絶望の中から奈月が選んだのは高級娼婦という仕事だった…。
    タイトルから想像するストーリーとはちょっと違っていた。実際は娼館にたどりつくまでを丁寧に描いている。その前半は痛々しい場面が多いのと、奈月にどうしても同調できなくて(母親との関係とか、子どものこととか)読むのがちょっと苦しかった。
    逆に後半は、結局そうなるのか…と軽い失望を覚えてしまった。(ネタばれを避けようとすると訳が分からなくなるが)

  • 新幹線の中で読了。
    気が付いたら読み終わっていた感覚です。
    この作品の中から香る別の時間、空間にもう少しでも長く身を留めておきたくて、最後まで一気に読んでしまいました。

  • 何かチョット切なくも深くもあったかな

  • 図書館の本

    内容(「BOOK」データベースより)
    「恋は御法度よ」会員制娼館のマダム塔子は言った。娘と親友を亡くす不幸のどん底から、高級娼婦という仕事に行き着いた奈月(32)。青山に佇むその旧い館には、白檀の香りと真に拮抗する男女の関係があった。身体をぶつけ合い、生の実感を取り戻す奈月は、やがてマダム塔子の過去を知ることになる―。怒りと悲しみに満ちた人生が交錯し、身体から再生していく日日を描いた全く新しい衝撃作。話題騒然、待望の文庫版。

    やっぱりこの作者の描く男性のことは好きになる。背筋の伸びた、透明感のある男性なんだよね。
    性を売ることで生きていることの確認をする。
    へんな言い草だけど、それが正しいのだと思う。でも痛いけどね。
    傷を付けて血を流し、それを見てああ、生きている!と感じるように性を売る。だから悲壮感がないのだと思う。

    何があっても生き抜く強さ。
    それは強いというのだろうか?

  • ★3.8って感じかなぁ。

    ストーリーは最愛の娘と親友を失った主人公が
    人のぬくもりを求めて親友が働いていた超高級娼館で働くお話。

    主人公、奈月の
    「全ての偶然は必然」
    っていう考え方はとても好き。
    ドライな物事の捉え方も、強さも好き。

    小池真理子らしい、小池真理子による、小説という感じ。

    他人の体温がどん底の心を救ってくれる(ような気がする)っていうのは
    よく分かる。
    主人公は誰にも分かってもらえないだろうって繰り返し主張していたけど、たぶん、そんなことない。

    別世界を覗き見たような
    でも本当はすごく近くにどこにでもころがっているような
    そんな不思議なお話。

    ただ、小池真理子を読むと、
    歳を重ねることや、女であることが誇らしく思えるから不思議。

  • ぐいぐい引き込まれるような面白さがあるわけではないのですが、気がつくと別世界にいるような気分にさせられる不思議な本でした。

  • 5月22日読了。青山の裏通りでなぞめいたマダムが経営する、会員制の高級娼館。娘を亡くし、友人を亡くした主人公はいつした娼館のメンバーとなり、そして・・・。作中でも言及されるが、昼食時にあのボールペンのエピソードはキツい・・・。タイトルや導入部から想像するような、村上龍的倒錯描写は控えめ・というかほのめかされるだけで全然ない。傷を負った者同士が理解しあうには・愛しあうにはどうすればよいか?つらいことがあったときに自分のうちにこもるのではなく、人と関わろうとすること・それ自体がその人の強さ、なのかな。うーむ大人のラブストーリー。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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