恋人以上 (角川文庫 み 8-10)

著者 :
  • KADOKAWA
3.38
  • (1)
  • (4)
  • (11)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 44
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041562109

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 男女の関係は、友達とか恋人とか、決まりきった言葉に当てはめられない。
    その人たちごとに、それぞれの関係がある。

    友達でも恋人でもない関係は一番どきどきするぜいたくなつながりだ。

  • 読始:2010.05.27
    読了:2010.05.27



    短編3作収録
    「恋人以上」
    「ラストシーンにかけて」
    「エンドレス・ラブ」

    珍しく収録作品全ていいなと思った。ただ読了後のあな清涼感は私の月並みな言葉では表現できない

    3つの恋が描かれ、表題に限らず『恋人以上』の関係の男女が登場する
    「恋人以上」とは短絡的に結婚を前提とした男女を意味するものでは決してない

    友人⇒恋人⇒恋人以上⇒夫婦

    そんな位置付けではないということ
    英語でかくなら the best girl゛friend" といったところか

    結婚を恋愛のゴール(新たな始まり)とするならば必ずしもハッピーエンドとは言えないかもしれない

    だが 幸せ の定義はなんだろうか?
    少なくとも作中の男女は ハッピーエンドではないにしろ幸せな選択をしている
    自分にとっても相手にとっても

    読後残る安堵、やるせなさ、哀しみ、切なさ、清々しさ…いろいろ混ざった一言で表現できない感情もそのせいかもしれない

    「ラストシーンにかけて」のラストは目頭が熱くなったTT

    最後に どこか私の心を刺激した箇所を引用してレビューを終わろうと思う



    ////////////////
    ////以下ネタバレ含む////
    ////////////////





    ■恋人以上■

    「なんだか全然、心が通じ合ってないみたいでさ、休みの日なんか二人きりでいてもすごく寂しいんだ。わかる?俺の言いたいこと」
    「うん、わかるわよ、二人ぽっちって気分なんでしょう」
    「そうなんだ。これはたんに恋人ごっこをしているだけじゃないかなって思ってしまうんだ」


    こんなにも長く大学時代と変わりなく一樹と友人としてやってこれたのは、お互いがまったく違う性格でありながら、そのくせこうありたいと願う生き方はどこか同じものを求めているせいだ、と私は思っていた。


    もし私とあなたが最初から恋人同士だったら相手のことをそのままわかりあうよりもお互いを縛りあって見張りあうような関係になったと思うの


    セクシーな静けさ



    ■ラストシーンにかけて■

    「彼女が出て行った後、僕は何もすることはなくなったようでぼんやりとしていた。そのときになって僕はびっくりしたよ。自分がそんなに彼女に依存していたのかってね。だって僕はそのときまで、僕は彼女なしでやっていけるけど、彼女はそうできないって信じていたんだから。でもじつは僕の方が彼女なしでやっていけなかったんだ」


    「もし、私が恐がっていることがあるとしたらそれはあなたを失うことじゃないわ。そうではなくて、それは二人の間にある熱がすっかり冷えてしまうこと。そうなったとき、たとえ、あなたが私の同情のために一緒にいてくれるとしても私、きっと嬉しくはないわ」


    「そのかわり、この私にもそれを認めてちょうだい。いつか私もあなたから離れて自由にさせてと言うときがあると思うわ。そのときには何も言わないで行かせてね」


    「どうして恋人だと、うまくやれないのかな」
    「たぶん、ジェラシーのせい、つまり、別れてしまうのではという不安のせいじゃないかなしら」
    「別れることが恐くなくなればいいのかな」
    「たぶんね、出会いと別れることももっと大切に演じて楽しめればいいんだわ」



    ■エンドレス・ラブ■

    「ええ、だから私と彼は一緒に暮らしているというより、寄り添っているいった方があたっているみたい」


    あのとき、私は夫のことをとても愛してはいたけど、でも生活は私が望んでいたものとはおよそかけ離れていたわ、と晃子は思う。
    愛しているのだから何だって出来るはずだわ。彼と一緒にいることが出来、そして彼さえ幸福だと感じてくれれば、私の自由や意思、なんてたいした問題じゃないわ、と堅く信じていた。
    でもある日、晃子は気がついたのだった。
    夫もまた、私をとても愛しているつもりなのに、とても不幸なのだと。


    「大切なのは結論をだすことじゃなくて自分が関わっている状況から逃げ出さないでよりよく生きることなんだと思うよ」


    いつだって一人に戻れる。そう思ってやってきたはずだが、こうやって一人になってみると、深い悲しみの中にいることを認めないわけにはいかなかった。

  • 都合がいいなぁと思うけど、なんかこういうのあるよなぁっていう恋愛の微妙なライン。
    親しい人におすすめされたけど、結局理解できなかった。

  • 「恋人以上」「ラストシーンにかけて」「エンドレス・ラブ」の短編集。
    恋の始まりは方は様々あるが、終わり方は、結婚か破局かの2パターンになりがち。
    そのどちらでもなく、友情より親密で、恋人より自由な、「恋人以上」の関係。

    こんな関係・・・私の理想だけど、どこかで我慢していたり寂しい思いもするのでは???と思いながら読みつつ、ここに登場する男の人たちは、なんて素敵なの♪と憧れてしまった。。。
    「正直に言えば、僕だってときどき、自分やそしてあなたの気持ちが見えなくなるときがある。でも、もう一時の心の熱さや暗さに任せて壊したりしたくないんだ。そうではなく、ゆっくりでいいから、あなたも僕も諦める必要のない、無理のない形を捜していきたいんだ」と知樹は言った。

    一緒に住んでいながらも、2人の間にはこれといった取り決めがなく、お互いがお互いの自由を尊重している関係。。。

    結婚する前にこの小説を読んでおけば、結婚観は変わっていたかも?

全4件中 1 - 4件を表示

水上洋子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×