私の途中下車人生 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041598139

作品紹介・あらすじ

日本を代表する紀行作家・宮脇俊三が、その生い立ちから作家デビュー後の鉄道人生を静かに語る。金曜夜に北海道へ出かけ、月曜朝には出社していた会社員時代、待ち時間との闘いだった『時刻表2万キロ』への道程、鉄道に乗ること自体が目的だと理解してもらえない海外取材の悩み-。少しずつ原稿を書き進み「旅行していると、病気をしない」と語る、宮脇俊三の魅力あふれる人生と鉄道への尽きぬ想いにふれる。

感想・レビュー・書評

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  • 生い立ちから会社員時代、作家になるまでの語り下ろし。
    お父さんが政治家だったんだ。
    最後の方で鉄道好きにお勧めの本がいくつか紹介されてたので読んでみよう。

  • 宮脇氏の語り下ろし作品、とは思わずに購入。一、二章はこれまで読んできた鉄道紀行文のおさらいのようだったが、第三章の中央公論社のころから、初めて目にする氏の話が俄然おもしろくなってきた。外国の鉄道紀行はあえて購入していないが、これを読むと読んでみたくなる。読者へのメッセージとして「忠告ですか? とくにありませんが、趣味と仕事とは私のようにいっしょにせず、はっきり分けておいたほうが体のためにはいいのではないでしょうか。」という本書の結びの段落が印象的。

  • 宮脇俊三氏の、生い立ちから作家デビュー後までの半生記。インタビューの体裁を取ってはいますが、語り口はいつもの宮脇さんの文体そのままであり、本人の手がかなり入っているものと推測されます。
     
    「時刻表昭和史」を筆頭に他の著作やコラム等とかぶる記述が多く、新鮮味の薄い部分もありますが、他作でほとんど語られない中央公論時代の逸話は貴重です。
     
    それにしてもタイトルの如く、御大の人生あちこち寄り道ばかりです。にもかかわらず編集者としても作家としても大成したのは、ご本人の類稀なる能力のなせる業か、はたまた強運なのか。
     
    作家・宮脇俊三の成り立ちを垣間見る事ができる、ファン必携の1冊。まあ、ファン以外は買わない作品だとは思いますが…(笑)

  • 遠くへ行くばかりが旅ではない、そのとおりだが実際にやってるからこそ深い言葉だ

  • 著者が本当に電車が好きことがよく伝わってくる。中央公論社の重役を辞めたあと専業作家に。人生を楽しんでいる

  • 15/10/24、神保町・澤口書店で購入(古書)。

  • 幼少時に「ねえやの背中で山手線を見て」たときから鉄道に目覚め戦時中に「花火のような焼夷弾」を潜り抜け「戦後は熱海で文化活動」をして「中央公論社」へ入社、そしていよいよ「国鉄全線完乗へ」更に欧州、アメリカ、フィリピンなど世界的規模で乗り続けた筆者の一代記。

  • 鉄道紀行作家、宮脇俊三氏か語ったもの。氏の幼少期から、作家になったあとまでのことを、インタビュアーが聞き取って書いています。

    氏が鉄道をこよなく愛したことが良くわかります。

  • 『私の途中下車人生』は、宮脇俊三氏の著作で私が唯一入手してゐないものでした(絵本除く)。1986(昭和61)年に講談社から発売されたのですが、その後絶版となり、文庫化もされず、角川書店の『宮脇俊三鉄道紀行全集』にも収録されず(全集ではないぢやん)、なかば幻の作品となつてゐたのです。
    それが今年になつて、角川文庫の1冊として復活したのであります。それでやうやく手に入れることができました。

    本書は他の著作と違ひ、聞き手に対して宮脇氏が語る形式であります。語り下ろしなどと呼ぶやうです。
    宮脇俊三さんが自分の事を綴る文章は今までにもありましたが、かういふ編年体といふか時系列で語る自伝は、他にないでせう。『時刻表昭和史』は終戦の時点で終つてゐるし。従つて終戦から、中央公論社を退社するあたりまでの事情は、一番詳しい書物といふことになります。

    宮脇氏は戦後、東大を卒業したのちに中央公論社へ入社、定年前に紀行作家への華麗なる転身― といふ印象なので、途中下車人生ではなく、順風満帆そのものの人生ではないかと思ひながら読み始めたのですが、私の知らぬ事実が次々に明らかになり、なるほど看板に偽りはないと考へ直しました。
    東大の西洋史学科を卒業してゐますが、それ以前に地質学科に入学してゐたとか、「中央公論」「婦人公論」編集長時代には、実績を残せず閑職にまはされたとか。
    それでもやはり中公時代は、華やかな活躍の方が印象に残ります。北杜夫『どくとるマンボウ航海記』をベストセラーにし、『世界の歴史』シリーズを大成功させ、中公新書を創刊したのは、誰あらう宮脇さんなのであります。中公新書のラインナップに歴史関係の本が多いのも、宮脇俊三さんの影響であります。

    本書を読みながら、まるで目の前で宮脇さんが例のぼそぼそした口調で、低く聞き取りにくい声で語つてゐるかのやうな錯覚に陥る書物であります。愉快な1冊。

    http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-141.html

  • インタビュー形式で宮脇俊三の人生を綴っている。題名から鉄道だけの話を想像していたが予想に反して、生い立ちから、学生時代、中央公論社時代と戦前生まれのサラリーマンの昭和史と言う趣きが強く、鉄道とは関係ない部分の話も多い。戦中の焼夷弾の逸話、出版社のストライキなど、苦労話が決して自慢話に聞こえてこない辺りに作者の人柄がよく出ている。鉄道話で言えば日本人は時間にルーズだが、レールが少ないので時刻表が正確という説が一番印象的だった。

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著者プロフィール

宮脇俊三
一九二六年埼玉県生まれ。四五年、東京帝国大学理学部地質学科に入学。五一年、東京大学文学部西洋史学科卒業、中央公論社入社。『中央公論』『婦人公論』編集長などを歴任。七八年、中央公論社を退職、『時刻表2万キロ』で作家デビュー。八五年、『殺意の風景』で第十三回泉鏡花文学賞受賞。九九年、第四十七回菊池寛賞受賞。二〇〇三年、死去。戒名は「鉄道院周遊俊妙居士」。

「2023年 『時刻表昭和史 完全版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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