耳なし芳一からの手紙 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 238
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041607237

作品紹介・あらすじ

下関からの新幹線に乗りこんだ男が死んだ。差出人”耳なし芳一”からの謎の手紙「火の山で逢おう」を残して。偶然居あわせたルポライター浅見光彦がこの謎に迫る! 珠玉の旅情ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • 【概略】
     差出人は「耳なし芳一」、「火の山で逢おう」という言葉が書かれた手紙、そんな手紙を持っていた男性が新幹線の車中で死を遂げた。ダイイングメッセージは「あの女にやられた」というもの。車中に居合わせた浅見光彦は、やはり車中に居合わせ嫌疑をかけられた漫画家(志望)・池宮果奈と自称ヤクザの高山とともに謎解きに挑むこととなる。

    2024年01月03日 読了
    【書評】
     大好きな浅見光彦シリーズ、そして「耳なし芳一」、さらには舞台が下関・赤間神宮・壇ノ浦・平家物語・七卿ときた日にゃ(2024年1月4日から始まる九州遠征の前に)読了だ!・・・と、読み始め、あっという間に読み終えてしまった。内田康夫さんは、本当に読みやすい。
     ミステリーだからネタバレしないように書き進めることにする。下関に絡んだ描写は沢山ある(下関そのものは重要な意味がある)のだけれども、小泉八雲の「耳なし芳一」そのものとの関連は、薄い。背景としては、太平洋戦争終戦の際、朝鮮半島から必死の思いで逃げ帰った軍属の方達、一般の方達の話が根底にある。そこに「耳なし芳一」「七卿落ち(幕末の八月十八日の政変を期に三条実美をはじめとする七卿が京都から落ちのびたこと)」が見事に織り成された形になっているのだよね。平家物語から幕末へ。歴史が多層な形でミステリーに活用されるという。
     表現の端々に内田康夫さんの戦争に関する想いが見てとれる。「かつて、戦争という犯罪に、親たちは多くの息子たちを送り出したこともあるのですよ」といったセリフを登場人物が述べているのだよね。理論上、戦争は(戦争を行うという決断は誰かがどこかでするのだけども)国家が成す行為であるため、犯罪とはならなくて。でもその戦争という枠の中で起こる細々とした事象は当然ながら個人が起こしていて。理論と感情がこれほど折り合わないものはないのが戦争で。本書内でも主人公の浅見光彦がその心境を表してたね。
     今回はいつもの常連、浅見光彦のご母堂・雪江やお手伝いの須美子の他、漫画家になるべく下関から上京をする途中に事件に巻き込まれた池宮果奈、そして自称ヤクザの高山のキャラクターが凄く立っててストーリーの進行にリズムをつけてくれてる。
     内田康夫さんは既に他界されていて。ということはもう新たな浅見光彦作品は世に出ないということ。とても寂しいね。

  • #2671-433


  • 終戦直後の混乱時には、計り知れない事が、その後の人生に大きく左右する~。

  • 下関から新幹線に乗りこんだ男が「あの女にやられた」と叫び、突然の死を遂げた。あとに残されたのは「火の山で逢おう」という謎めいた手紙。そして差出人は“耳なし芳一”となっていた。偶然車中に居あわせたルポライター浅見光彦は、嫌疑をかけられた漫画家志望の家出娘池宮果奈、と自称ヤクザの高山に救いの手を差し伸べたばかりに事件にかかわることになってしまった。「あの女」とは誰なのか、“耳なし芳一”が企む過去からの復讐とは―。絶好調“浅見光彦シリーズ”舞台は長州下関へ―。

  • 浅見光彦の公式第44事件
    公式第1事件の「後鳥羽伝説殺人事件」にレビュー

  • 個人的には浅見シリーズの中でも特にお気に入りの作品。内容がというより登場人物、特に池宮里奈と高山のキャラややり取りが面白い。

  • 下関などを舞台とした作品です。

  • いつものように浅見ファンに借りた本。先日下関の「赤間神宮」に行ったばかりなのである意味興味深く読んだ。話は内田さんの小説によくある戦争が関連したものだった。

  • 河豚をフクっていうのかーなど。

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著者プロフィール

1934年東京都北区生まれ。1980年に自費出版した『死者の木霊』で衝撃的デビュー。主人公の信濃のコロンボこと竹村警部が活躍する作品に加え、1982年に刊行された『後鳥羽伝説殺人事件』で初登場した浅見光彦を主人公にしたミステリー作品は大ベストセラーに。映像化作品も多数。2018年逝去。

「2022年 『箸墓幻想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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