- Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041607565
作品紹介・あらすじ
八幡神社巡りの謎を追う中で浮かび上がってきた戦争の傷痕と老人の閉ざされた半世紀。一方高知県庁に赴任した美由紀の婚約者の身辺にも不可解な事件が。真相は一層混乱を極め、浅見光彦はさらなる悲劇の渦中へ。
感想・レビュー・書評
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こんなに話を広げてどう終わらせるのか?と思ってましたが、いや、こんな終わり方もあるのね。という感じで終わりました。
光彦さんのミスはちょっと許されることでは無いなぁと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【概略】
秋田県での殺人事件に加え、小内美由紀のフィアンセの赴任先・高知でも不可解な出来事がフィアンセに起きる。その全てに共通する軸は「八幡」。浅見光彦の調査により、事件の背景には「サッカーくじ」が。「サッカーくじ」を通じて「愛国心とは?」を考えさせられる文芸要素の色濃く出た殺人事件、本巻にて完結。
時期不詳 読了
2020年11月30日 読了
【書評】
浅見光彦シリーズって、推理小説というよりも文芸作品・・・というと怒られそうだけど(笑)または現代の水戸黄門・・・は違うか。でも予定調和を楽しめるかどうかってところ、大きいよね。前線で戦う刑事さん達から胡散臭く思われる、場合によっては拘留されかける、実家に電話してもらう、お兄さんの存在が判明する、前線の刑事さんが受話器持ちながら背筋ピシッ&平身低頭・平謝り、捜査協力が始まる、みたいなね。もう一つ、犯人を特定するヒントがかなり急に舞い降りるイメージ。
でも、面白いのだよねぇ。何が面白いのだろう。個人的には寺社仏閣を訪れるのが好き(=歴史が好き)なので舞台となる土地やその土地に存在する民話や歴史などに浅見光彦が触れていく流れに自分を乗っけることができるからかな?読んでみた本の場所、訪れたいと思ってしまうからね。
今回の「はちまん」は、八幡大明神というところから戦後、望んだ形でない着地をしてしまった8名の男性の思いが50年を経て動き始めることから「愛国心とは?」ということに対しての考えが述べられている。殊更に(指導の材料として)「愛国心」を押し付けるのも怖いと思うけれども、殊更に「愛国心」を語ることすら許さない、「愛国心」=「悪の象徴」とシャットダウンしてしまう風潮も、自分にとってはどうかと思うのだよねぇ。結局は、どちらも思考停止に陥ってしまっていると思うし、このデジタルの時代・インターネットの時代ですら、生物としてニンゲンがその根付いている土地を含めた空間に対してもつ愛着を愛国心とすること自体、悪いことじゃないと思うしね。「軍」や「思想」を連想させる愛国心は忌み嫌われる感じで、「スポーツ」や「産業」の分野において「ニッポン」という言葉で化粧されている「愛国心」は許容されているという。ま、何事もさじ加減だよね、きっと。
(もはやこの言葉すら違和感になりつつある)「仮想空間」での生活比率がどんどん上がっていくこの時代、でも人は「生き物」という要素は捨てることができない。なんらかの存在を肌で感じることの集合体が思想であり愛国心であると思うのだけど、これからどうなっていくのだろうね。
20年程前に出版されたこの本を読んで、そんな風に思ってしまった。 -
倉敷などを舞台とした作品です。
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ヒロインの婚約者、疑惑の事故死。浅見が調査し、カップルの意外な繋がりが判明する。
戦後50年の、哀しい人間関係が明らかになって行く。
終わり方はご都合主義との、レビューもあったが、この終わり方でも良かった気が個人的にはする。 -
一方、美由紀の婚約者松浦は文部省から高知県に出向。
高知県ではサッカーくじに反対する知事がいて、松浦は意気揚々と仕事をしていたが、
殺されてしまう。
根は戦争にあった。
特攻隊員として終戦を迎えた八幡ゆかりの八人が盟約を結ぶ。
半世紀後には、日本を良くするために立ち上がるという、そのとおりに飯島老人は行動を起こしていたのだ。
愛国心とはなんだろう、戦争とはなんだろう、と少し考えてもいいのかしらと思った。
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なかなか重い話ですが、
戦後の日本を誇り高く生きるためには読んだほうが良い本
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八幡神社については良くわかったけどミステリーとしてはどうだろう?最後に落雷で容疑者を殺すのはなんだかなぁ〜と思った。やっぱり浅見さんはテレビでみるほうがいいです。
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第2次世界大戦後の日本人の描写を含めた推理小説。戦争を生き抜いたじいさんの気持ちが分かるかも・・(下)