リンゴォ・キッドの休日 (角川文庫)

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  • 角川書店
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感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (356ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041616062

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに上っ面読みしちゃった本。
    ストーリーはずっとちゃんと追っていたはずだったんだけど、入っていた2編とも、最後の最後でスルっとどこか逃げられちゃった……、
    そんな感じ。

    矢作俊彦は、雑誌でよく名前を見かけたって記憶があって。なんとなく片岡義男的な、あの頃のおしゃっれーなアメリカン感覚の文章を書く人みたいな…、といっても小説のイメージはなく、どっちかといえばエッセイストかなにかだと思っていた。
    ただ、この『リンゴォ・キッドの休日』タイトルの本自体はずっと知っていたように思う。
    たぶん、角川文庫の本の後ろの紹介で見た記憶なんだろう。

    そんな、『リンゴォ・キッドの休日』。
    中には2編入っていて、一つは「リンゴォ・キッドの休日」。もう一つは、「陽のあたる大通り」。
    上にも書いたように、どっちもちゃんとストーリー追えていたはずだったんだけど、最後の最後でどっちもスルっと逃げられちゃった感じだったこともあり感想は正直イマイチ。
    なんでだろ?
    どっちも、比較的シンプルなストーリーだと思うんだけど。
    事件があり、そこに主人公が絡むこととなって。
    主人公の足の向くまま、ストーリーが地っ味ぃ~に進んでいくんだけど、最後の最後、急にドタドタっと真相が明かされ、終わる。
    そんな感じなんだけど、一つは1冊に中編が2つということで、(ページ数的に)終わりが見えなくて、読んでいてラストの備えが出来ていなかったというのもあるのかな?(解説と本の紹介が比較的多いので2編目もラストのタイミングが見えにくいw)。
    ま、残りのページが見えなくても、読んでいればなんとなく「もうすぐ終わりだな」とかわかるものなのなんだけど(普通はw)。
    でも、この話はどちらも最後の最後まで主人公の地味ぃ~な視点で展開していくもんだから、「そろそろくるぞ、ラスト」っていうのが感じにくいというのがあるのか?

    あと、いわゆるハードボイルド流オヤジギャグ(?)がやたらと多いから、読んでいて気が逸れちゃうっていうのもあるのかな?
    いや、オヤジギャグというより、ここまで来ちゃうとむしろオネーちゃんギャグと言った方が正鵠を射ている気がしないでもないんだけどさw
    ま、ハードボイルドだけに、ハードボイルド流オヤジギャグ(比喩とも言うw)を語りたいその気持ちはとってもわかるんだけど、でも、それをやたらとベタベタベチャベチャ並べられても面倒くさいだけって気はしちゃうかな?
    だってさ、ぶっちゃけダサいんだもん(笑)
    いや、「陽のあたる大通り」の最初の方にある、“瞬間、肩がふるえ、彼女はふっと息を吐いた。辺りを白く、霜降らせてしまえるような溜息だった”みたいなのはいいと思うの。
    読んでいてパーッとその情景が浮かぶし、何よりグッとくるから。
    でもさ。そのちょっと前にある“私は、汐風が女郎蜘蛛の巣みたいな白い網で曇らせた、窓越しにそれを見ていた”みたいなのになっちゃうとねぇ…。
    「なんで女郎蜘蛛なんだよ!コガネグモやオニグモの巣とどう違うんだよ!」なんて、おバカなツッコミ入れたくなっちゃうんだよねw
    ていうか、“女郎蜘蛛の巣”に“白い網”って、くどすぎない?(笑)

    ハードボイルドって、自分では結構好きなジャンルだと思っていたけど、こうしてみると、自分のイメージしていたハードボイルドというのはマイクル・コナリ―等90年代(80年代後半以降?)の物であって。
    古典のハードボイルドは、そんなでもないんだろうな。そういえば、チャンドラーも大して面白くなかったしw
    もっとも、最近はコナリ―もご無沙汰しちゃってるんだけどさ。

    ていうか。
    そういう意味じゃ、この小説(リンゴォ・キッドの休日と陽の当たる大通りの2編)も、それほどハードボイルド、ハードボイルドしているってわけでもないように思うんだけど?
    なんだろ?サラッとしてる?カラッとしてる?
    上手い表現が見つからないんだけど、例のハードボイルド流オヤジギャグがやたら出てくることを除けばw、チャンドラーなんかのそれより夜の色が明るい感じがするっていったらいいのかな?
    (抽象的で申し訳ない)
    もっとも、「陽の当たる大通り」のラストなんかは、まさに王道のハードボイルドって感じで。いかにもハードボイルドな夜の暗さで、もっとも王道だけにベタと言っちゃうならその通りなんだけど、でもそのベタなところが「ハードボイルド読んだ―!」って感じでよかったんだけどなぁー。

    そういえば。
    この著者の文章がどうこうってことじゃないんだけど(これはこれで全然いいと思う)、いわゆる本格物、それも新本格と言われる作家って、ストーリーの進め方(読ませるエンジンとしての謎の出し方)が巧いよなぁーと、これを読んでいてそんなことを思った。
    ま、その読みやすさが至れり尽くせりすぎで鼻についちゃうというのもあるんだけどさw。
    でも、こうしてみると今の新本格人気っていうのは、作家たちのそんな努力があってこそというのもあるんだろうな。

    そうそう、本格物といえば、探偵だけど。
    この本の主人公二村はアイビールックの刑事ってことになっているんだけど、そういえばアイビールックの本格物の探偵っていないよね?w
    ファッション(の世界)にやたらこだわった本格物って意外と新鮮な気がするんだけど、誰か書かない?
    あと、ファッションで思い出したんだけど、『なんとなくクリスタル』のノリで本格物書いたらどうなんだろ?本格ファンはペダントリーなの好き方多いから、結構いけるような気がするんだけど……、!?w

  • 由は永爾がこのくそったれな世界から飛び出さないための最後のバルブなんだろうな-生活環境は違うけどある意味相棒、それを聖女と呼ぶのかもな

    再購入2012/01/14JPN105

  • リンゴォ・キッドの休日、陽のあたる大通り

  • あまりにも正統で古臭く、埃まみれのハードボイルド。
    現代においては、文体としての読みにくさと、現実離れした登場人物たちに感情移入できず、設定に違和感を覚えるのみ。
    古きよきスタイルに浸って楽しみたい人のみオススメか。
    私も少しは楽しめた。

  • 横須賀。アイビーファッション。刑事。70年代。

  • 一日の出来事。この落とし込みがスゴい!

  • 昭和53年7月 早川書房より出版 著者が高卒後書き貯めたシナリオを小説化したうちの一本 当時ハードカヴァーの帯に 〈宇崎竜童氏絶賛!〉と紹介文も載っていました。 二村永爾初登場。

  • 著者の「THE WRONG GOODBYE」で苦労したのを忘れてました。
    ハードボイルド。文章がちっとも頭に入ってこない。

  • 20110427読了

  • 再読。

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著者プロフィール

1950年、神奈川県横浜市生まれ。漫画家などを経て、1972年『抱きしめたい』で小説家デビュー。「アゲイン」「ザ・ギャンブラー」では映画監督を務めた、『あ・じゃ・ぱん!』でBunkamuraドゥマゴ文学賞、『ららら科學の子』で三島由紀夫賞、『ロング・グッドバイ』でマルタの鷹協会・ファルコン賞を受賞。

「2022年 『サムライ・ノングラータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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