藏 下 (角川文庫 み 12-4)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 206
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (395ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041718049

作品紹介・あらすじ

美しい全盲のひとり娘烈。巡礼の途中で病死する母賀穂。相つぐ不幸を打ち消すがごとく若い嫁をもらう父意造。烈を育て上げ一途に意造を慕う叔母佐穂。蔵元田乃内家をおそう数々の悲運にもめげず、気丈に成長した烈はやがて恋を知り、女ながら蔵元を継ごうと決意する-。

感想・レビュー・書評

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  • 新潟の日本酒の蔵元に生まれた盲目の女性の成長と家族の話。

    新潟旅行に行くために読んだ本。子供が全盲になるのを必死に防ごうとする親、盲目ながら家の存続を真剣に考え、女性が禁忌である酒蔵を継ごうとする娘。。明治・大正・昭和と旧家の家長と妻・子供・叔母・後妻などが古いしきたりの中で ”家” や ”子供” を守ろうと己を殺しながら生きていく様を描いた物語。

    期待が大きかった分、拍子抜け。女性中心の心の葛藤やすれ違いなどが中心に描かれていて、期待していた醸造の厳しさ、禁忌に踏み入れる難しさなどはサラッとしている。これでは、蔵元は盲目の女性でも務まる簡単な仕事となってしまう。

  • 映画から入った作品。
    宮尾氏の作品は映画から入るのが多い。多分戦前の日本のイメージが私に乏しいからだと思う。
    女が不遇であるのはわかるのだけど、慎重で賢いと思わせる意造が思いの外身勝手であった。

  • これからという時に、戦争という時代のやるせなさを感じました。
    涼太がいい男で良かった。

  • ハイティーンになった烈が精神的成長をとげ、不幸がてんこ盛りだったのが一転、大団円超ハッピーエンドですっきりしますが、ちょっとラストがトップスピードで走り抜けた感がありまして、もうちょっとたっぷりゆっくり読みたかったような気もちがした。佐穂が北の対に住めなかった紫の上と重ねて読み進んでしまった。源氏というには全編とおしてちょっと色気がなさすぎるが。登場人物全員やたらと我慢が良いところが新潟らしく好ましい。

  • 雪深く、凍てつき、もう何もかも絶えたと思われた大地から、力強く芽吹き大輪を咲かせる烈。それをとりまく意造、加穂、せき、どの登場人物も哀しく、それでいて芯がありどこか凛としている。肉厚な物語だがどんどん読めてしまうのは新聞連載ならではのテンポのよさか。予感のさせ方と主語の切り替え方が見事だと思う。

  • やっと読めたよ…
    昔むかーし見たドラマ版が強烈で、
    いつか絶対読むと思って、はや幾年月。
    うん、すごいよかった。
    本当は誰も、何にも縛られてなどいない
    のだ、ということを烈の姿を通して知る
    ことができました。

  • 俗に 『新潟では杉と男の子は育たない』と言われる。
    そんな感じかな。

  • 大正から昭和にかけて、新潟の大地主で蔵元を営む田乃内家で9人目でやっと無事に育った烈。
    父意造、母賀穂、叔母佐穂、祖母のむらに見守られ成長するが、烈には失明という過酷な運命が待ち受けていた。
    あまりにも多くの死や悲しみを乗り越えて、酒蔵を再生させる烈とその家族の物語。


    この手の本では珍しく、この人が好き!というような登場人物はいない。
    烈の幼い頃の我儘さや傲慢さにはびっくりするし、意造には男の嫌らしさや勝手さを見せられる。せきは言うまでもないし…。でも、不思議なことに最後にはみんな少し好きになっていた。
    佐穂があまりにも可哀想に感じたけれど、こういう、所謂「飼い殺し」の女性たちが珍しくなかった時代。何よりも「いえ」が大切だった時代。
    これは、そういう時代に生きてきた女性たちの物語でもある。

  • 上巻に記載

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    美しい全盲のひとり娘烈。巡礼の途中で病死する母賀穂。相つぐ不幸を打ち消すがごとく若い嫁をもらう父意造。烈を育て上げ一途に意造を慕う叔母佐穂。蔵元田乃内家をおそう数々の悲運にもめげず、気丈に成長した烈はやがて恋を知り、女ながら蔵元を継ごうと決意する―。

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著者プロフィール

1926年高知県生まれ。『櫂』で太宰治賞、『寒椿』で女流文学賞、『一絃の琴』で直木賞、『序の舞』で吉川英治文学賞受賞。おもな著作に『陽暉楼』『錦』など。2014年没。

「2016年 『まるまる、フルーツ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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