くるぐる使い (角川文庫 お 18-5)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (268ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041847053

作品紹介・あらすじ

妹の麗美子が二人暮らしの兄の時夫に、宇宙人にさらわれたとある日突然主張する「キラキラと輝くもの」。神がかり的な"力"を持ったがために大道芸をやらされていた少女の哀しい恋物語「くるぐる使い」。少女に憑いた霊とエクソシストとの戦いを通して、憑依現象は現実逃避の妄想だとする「憑かれたな」。-青春の残酷と、非日常の彼方に見える現代のリアルを描く傑作短編集。

感想・レビュー・書評

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  • 世にも奇妙な物語的な短篇集。オカルトで怪奇でドロドロしていて・・・登場人物の誰もが痛みを抱えていて、でもその中に微かな希望が合って。その希望が客観的に見ると全然希望ではなくむしろ絶望なのだけれど、なぜだか”生”を感じて感動する。

    とにかく現実離れしているのに、リアルを感じさせられて、人間臭さにあふれた短篇集。どの話も切なくて泣きそうになって、悲しくて苦しくなる。

    「人生楽すぃぃぃ!」というタイプの人にはまったく響かないけど、響く人には響く本。自分のことをどちらかというと、マイノリティーだと思っているの人におすすめ。

  • 狂った若い女の子がこの人はとても好きなんじゃないかと勝手に邪推してしまう短編集。筋肉少女帯の方なんですよね。小説も巧いなんてすげぇな。そこはかとなくエロく、薄っすらグロイ。くるぐる使いが切なくて好きです。「おにいちゃん」ってのにこの本で初めてときめいた。いいな、妹!

  • 「この世なんて、白黒写真にゴテゴテ色をぬりたくった程度のシロモノだと思っていた」

  • 大槻ケンヂの初期短編集。大槻ケンヂの著作を読むのはものすごく久しぶり。持ってはいるんだけどね…。大学の頃以来か。

    病院に入院していた老人が、「実は昔、くるぐる使いをやっていて、人を殺したことがある」と告白する。くるぐる使いとは、気の触れた、しかし未来や真実を見通す能力を持つ女性を連れて各地を巡り、予言などで儲ける職業である…。

    1作め『キラキラと輝くもの』は読みかけて、ああ、大槻ケンヂだ。こういうのがずっと続くのは苦手だナアと思ったのだが、2作目以降は楽しかった。筋肉少女帯の歌詞やPVにも表れる、江戸川乱歩的なアナクロニズムと退廃をまといつつ色彩に富んだ作品群である。

    昭和初期の乱歩時代にはよく見られた、「狂う」という感覚が段階的に、または突然現れる作品は、1990年代前半を最後にタブー化されている。一方で、「芥川龍之介の母親は狂死した」なんていうのが文献として普通に残されているわけで、単純に医学の進歩で別の表現になっただけではなく、やはり目をそらせようとする社会的抑圧があるのではないか。この本では、そういった物を正面から捉えようとしているように見える。

    低年齢の主人公の作品では、狂気と復讐というところが重複しており、『キラキラ』はその間くらいに挟んでほしかったなあ。読後感からいえば。まあでも、この本で面白いのは、その狂気と復讐の2作である。『グジグジ』は、ナンセンスなギャグも交えた名作だ。

    筒井康隆の読者あたりなら、もう当然のように読んでいるのだろうが、最初に読んだ『グミ・チョコレート・パイン』の印象があまり良くなかったので避けていた。もう一度読み直そうかと思っている。

  • 【由来】
    ・星雲賞受賞作品が2つも収納されてるってことで。

    【期待したもの】


    【要約】


    【ノート】

  • 超常現象に出会った少年少女の精神異常と青春を描いた短篇集。どれも筋が通っていてオチであっと驚かされ、かつ大槻ケンヂの言語的センスが炸裂している傑作。長編も読みたい

  • オモイデ教とセットで

  • 2013.09.23 読破。

  • 古本で購入。

    大槻ケンヂの言葉のセンスと小説のもつ雰囲気にやられた。
    “ミュージシャン”大槻ケンヂの曲はあまり数を聴いたことはないけど、「再殺部隊」「風車男ルリヲ」あたりはちょっと尋常じゃない。
    この短編集も、気の狂った少女「くるぐる」の発する予言や過去透視を芸として見せる「くるぐる使い」だった男が己の外道の所業を告白する表題作を始め、独特の世界観がみっしりと詰まってる。たまらん。

    意外と重要な1編と思えるのが、現実世界と妄想世界の狭間でぐらついている少年を描いた「春陽綺談」。
    少年から異常体験を聴かされた男が彼に言う

    「ヘラヘラ生きるコツを教えてやる」

    という言葉は、収録作品のすべてに共通する、精神の平行棒に立つ脆く危うい少年少女への、大槻ケンヂの想いなのかもしれない。
    その一方で、この短編には作者の敬愛する江戸川乱歩へのオマージュが溢れてる。少年・春陽(はるひ)からして、江戸川乱歩文庫を出版している春陽堂書店が元ネタっぽい。

    他の作品も想像以上にすごかった。
    特に「くるぐる使い」のやるせなさやエグさ、どことなく漂うエロスがすごい。
    “作家”大槻ケンヂはエッセイの評価も高いそうなので、1冊読んでみよう。

  • ★1.5だがおまけで。
    大槻ケンヂって好き嫌いがはっきり分かれると思うが、当方はどちらかというと後者。
    ラジオとかもちらっと聞いた記憶があるが、何か詰まらんあんちゃんだなぁと感じていた記憶あり。
    この本も大槻ワールド全開かな?当方には何か合わないな、理由を説明しろと言われても難しいのだが。

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著者プロフィール

1966年東京都生まれ。82年ロックバンド「筋肉少女帯」ボーカルとしてデビュー。その後もロックバンド「特撮」でも活動。その特異なキャラクターは音楽だけにとどまらず、映画、テレビ、小説やエッセイなど多岐にわたる分野で人気を集める。著作「くるぐる使い」「のの子の復讐ジグジグ」は2年連続で星雲賞を受賞。また『グミ・チョコレート・パイン』シリーズのほか『ロッキン・ホース・バレリーナ』『縫製人間ヌイグルマー』『いつか春の日のどっかの町へ』など著書多数。

「2022年 『夜の夢こそまこと 人間椅子小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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