グリム、アンデルセンの罪深い姫の物語 (角川文庫 ま 7-4)
- KADOKAWA (1999年5月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (211ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041859049
作品紹介・あらすじ
「眠り姫」女はマスターベーションをしてはならない、という性教育の寓話。「白雪姫」死体愛好者の変態王子が服と食べ物にしか興味のない頭の軽い白雪姫を見初めた話。「赤ずきん」初体験に憧れる乙女と欲求不満のおばあさんに中年オオカミが殺される恐怖のストーリー。「マッチ売りの少女」階級闘争のマルクス主義者たちが女性差別には寛容だったために死んだ悲劇の女の子。独自の視点とユニークな解釈で描く7編を収録。
感想・レビュー・書評
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読書録「グリム、アンデルセンの罪深い姫の物語」2
著者 松本侑子
出版 角川文庫
P206より引用
“そして言葉狩りは、思想狩りにつながる。「表現の自由」は守
られなければならない。”
テレビ局に勤めた後、小説家に転身した著者による、グリム、
アンデルセン童話を元に大人向けにアレンジを施した一冊。
眠り姫からマッチ売りの少女まで、大人向けに性的な描写を前
面に押し出して書かれています。
上記の引用は、あとがきでの一文。
グリム、アンデルセン童話の差別性についての著者の考え。この
ように表現の自由は大切だと書かれていますが、現代で問題のあ
る言葉を使うには、それなりの解説も必要だとのことです。
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はじめの2−3本はいいのだけれども、だんだんと説教臭さがはなについてくる。おとぎ話のパロディなんだけど、ユーモアがたりないというか、皮肉っぽいだけで愉快さに欠けるのが残念。
本文で勝負するのか、最後のまとめに委ねるのか、どっちかにしたほうが抵抗すくないというか、意図がもっと伝わりやすかったのではないかという印象。
一編ごとに独立したものとして、間隔をあけて読んだら、すんなり楽しめたのかも。 -
眠り姫が性に目覚めるとき/白雪姫の魔女裁判/
おませで可愛い赤ずきん/シンデレラと大足の姉たち/青ひげの失楽園/
男の国へいって死んだ人魚姫/マッチ売りの少女娼婦
ものすごく 人間的な物語と感じるのは、
わたしたちが小さい頃の記憶で知っている童話に
隠されていた、真実でありその社会背景。
単純な物語こそ、多角的な見方で解釈ができる面白さ。 -
なんでこれかりたんだろ
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まず、あとがきにあるようにグリム、アンデルセンの童話を批判しつつパロディ化した小説ということ。
これを頭に入れてから読まないと、とんだ男尊女卑の作品になってしまう。各物語最後にある教訓は笑い所満載。
「マッチ売りの少女娼婦」の教訓にある社会主義者たちはブルジョワジーとプロレタリアートという階級を開放し社会の平等をめざした。しかし、彼らは、男女とう階級の解放はかんがえなかった。という一文はなるほどと唸ってしまった。
グリム、アンデルセンの童話から当時の社会状況が良く見えてくる作品。 -
読んだのはハードカバー版
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エロティックを追求したグリムのパロディではこれが一番好きです。
赤頭巾の少女っぷりには思わずドキドキしましたよ!