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- Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041867044
感想・レビュー・書評
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尾崎豊最後の小説・・・というか「告白」に近いものだろう。
ある種の、地べたに堕ちて生きていかなければならないという感じ、そして孤独との向き合いが痛切なまでに胸に響く。
「あの頃ぼくはただ悩みだけを歌っていたのかもしれないけれど、今度はそれを理解して、その悩みを超えた部分で、自分の本当に伝えたいことを、その気持ちを込めてもっと強く歌うことができるんじゃないか、そういう気がしています」
「毎日がお天気じゃない。今日よりも明日の方が楽しくて、楽しさだけしかなくなっちゃうかっていうと、人生ってそうじゃなくて、毎日違った種類の種を植えつけられるかのごとく、いろんな困難や違った喜びを植えつけられていく宿命も背負っているような気がする。
まさしく十七歳のときよりそれは増えているし、増えているからこそ逆に自分がポジティブにならなければいけない。まだまだ拾っていかなくてはならない原石がたくさんあるし、開けなくてはならないドアもたくさんあると思う。
全部拾うことができるとは思わないけれど、拾ってる最中に前のめりになって死んでいればいいんじゃないかな、その重みと輝きだけをしっかり手に持ちながら。」
尾崎は前のめりに死ねたのかな。
ただ、僕は思う。
「癒しの共同体」の幻想にすがりついてはいけない、と。
哀しみに対して哀しみで癒しを求めてはいけないんだな、と。
愛するならば、自分で自分を立たせなければいけない。
愛するならば、そうして戦い合わなくちゃならない。それも愛しながら。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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