ソー・ザップ (角川文庫 い 32-1)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041886014

感想・レビュー・書評

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  • 93年に初版。2008年に再版。それだけ出て埋もれてしまっている癌で亡くなった稲見さんの第二作である。初期の作品は正統ハードボイルドだったと聞いていたが、まさしくビターな味付けだった。

    命を賭けた戦いをしないか。

    荒くれ者の集まるパブでそう切り出された四人の男たちが、
    「死ぬ気なんだな。撃ち殺されても文句ないんだな。人を撃てる、こんな機会を誰が断るか。」と即決で受ける。

    稲見さんの得意な狩猟の智識、サバイバル、ガン、そして「男の理屈」が満杯の作品である。もっとウェットなラストかと思っていたが、最後まで命のやり取りは本物だった。

    「遊びはな、真剣にやるもんだ」
    たぶん、女には絶対にわからない一作。私も、基本わからないけど、狩猟を趣味として、西部劇ばっかりを見て、ガンの専門誌などを十年読んでいたならば、おそらく「即決」しただろうと思う。

    稲見さんの本で読み損なっているのは、後二冊になった。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    人を撃てる、こんな機会を誰が断わるか―。「パブ・パピヨン」の広い店内で、自分の命に三千万円もの賞金をかけたレッドムーン・シバと名乗る謎の男。挑戦をうけたのは、素手の格闘では無敵の元レスラーのベアキル、手裏剣と小太刀の名人ハヤ、大型獣のハンターのブル、元警察官の金久木。そして、五人の男は、舞台として指定されたK山脈系の山野に分け入り、最も危険なゲーム“マンハント”がはじまった。男の散りぎわのダンディズム、武器への思い…。男の中の眠るものがうっすらと目をあける。

  • 2011年3月1日読了。「このミステリーがすごい!」1991年度版の第15位の作品。刀・格闘・狙撃と狩猟の技術にそれぞれ優れた4人に、謎の男レッドが持ちかけた狩猟ゲームの勝者と結末は・・・。一流の技術と哲学を持った男たちが死力を尽くし、命がけの勝負に挑む、そこに理由など不要(あるにはあるが)!ということか、まさに「男が男に惚れる」、うっとりするようなダンディズムの世界。銃や刀剣などの武器の描写やサバイバル・狩猟・野生動物の知識など、濃密なディテール・薀蓄も「男のこだわり」を感じさせるものだ。ページ数は少ないが、それゆえテンポよく緊張感を切らさず読め、楽しめた。

  • ハンティング・ハードボイルド。
    戦うときは正々堂々1対1。
    男の、男による、男のための小説。
    とにかく、カッコいい。

  • 匂いがする一冊。登場人物の素性が説明でチラリと出るのですが、もっと会話の中でそれぞれの人物の人生を想像させてもよかったと思います。

  • 再販したんですね!!
    とりあえず喜び勇んで本屋に行きました。

    自分は狩猟とか争いとかは作り物の世界でも見るのはあまり好きではない人間です。でも自分が普段口にしている魚や肉、野菜はそれを収穫し、殺傷してくれている人たちが居るからこそ食生活が成り立っていると言う事を忘れてはいけないとは思ってはおります。(普段はあまり考えませんが)食うために狩る。本当はそれが原点なんだよなあ、なんて思いました。

    この話は人狩りの話だし、男と男のぶつかりあいが(精神的・肉体的に)一番のお話の本筋だとは思います。が、自然に対する敬意や他者から押し付けられたルールではなく、自分のルールとモラルを持って世界と向き合う姿勢と言うことも語られていると思うのです。人から押し付けられた正義ではなく、自分のルールを貫くことに人生を見出す。そう言う事なんじゃあないかな、と思うのです。

  • 稲見作品はハズレがないはずなので4点評価。確か長編だった記憶が…。

  • これも長らく絶版の憂き目に遭っていたが、一度復刊された稲見氏の数少ない長編。

    夜な夜な歴戦の猛者たちが集うパブ「パピヨン」。そこに現れたレッドムーン・シバと名乗る男がその中の4人の男に勝負を持ちかける。自分と戦って勝てば三千万円を支払うと。
    その男達は己の強さと賞金のために勝負に乗り、シバの待つ山へと向かう。

    本書はギャビン・ライアルの長編『もっとも危険なゲーム』の本歌取り作品。
    勝負に挑む男達はそれぞれ手裏剣の名人、射撃の名手、怪力を誇る元レスラーと、実に戯画化された人物たち。
    ブルース・リーの映画にもなっていそうな設定で、この手の内容に荒唐無稽さを感じ、のめり込めない人には全くお勧めできない作品。

    しかしこれほどシンプルな設定も昨今では珍しく、確かページ数も300ページもなく、すっと読めるのが特長だ。つまり色んなことを考えずにただ目の前に繰り広げられる戦いの物語に身を委ねるのが正しい読み方といえよう。
    一応それぞれの登場人物の行動原理、人生哲学、生い立ちなども書かれており、ただの戦闘小説に終っていないとだけ付け加えておこう。

    個人的にはこの手の物語は大好き。映画化されてもいいくらいのエンタテインメント性があるので、物好きな監督が映画化されたら再び復刊されるのではと思っているので、ひそかに期待しているのだが。

  • 己の信念と技術に誇りを持っている男達の、殺し合いのお話し。

  • 濃いい、濃いい男の小説。かなり突拍子もない話だけど、いつの間にか読まされてる。 かなり濃いい描写も、いつ間にか読まされてる。 ハードヴォイルド満開。

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