ダリの繭 (角川文庫)

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著者 : 有栖川有栖
  • KADOKAWA (1993年12月31日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041913017

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有効な左矢印 無効な左矢印
有栖川 有栖
有栖川 有栖
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ダリの繭 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 火村・有栖川コンビシリーズの1作。本書はこのシリーズの第1作ではないが、私が読んだのはこれがシリーズ最初の1作だった。
    私は基本的に文庫化されないと読まないというのは先の『マジックミラー』の感想にも述べたが、本書は第1作の『46番目の密室』よりも先に文庫で刊行された。
    というのもこの作品は当時カドカワ・ミステリ・コンペ(通称「ミスコン」)というイベントで文庫書下ろしで発表された作品。確か10人くらいの作家に書き下ろし作品を書いてもらい、読者から優れた作品を選んでもらうといった内容だったと記憶している。この企画は恐らく好評であれば定期的に行われる予定だったのだろうが、結局1回で終ってしまった。また最終的にこの「ミスコン」でどの作品が1位に選ばれたのか寡聞にして知らない。

    サルヴァトール・ダリを心酔する宝飾チェーンの社長が殺された。死体はフローとカプセルの中で発見され、彼のトレードマークであるダリ髭が無くなっていた。この事件に犯罪社会学者火村英生とアリスのコンビが挑む。

    まず私はこの火村・アリスコンビは『月光ゲーム』、『孤島パズル』、『双頭の悪魔』のコンビと勘違いしていた。従ってかなり期待値が高かった。なぜなら両方とも作者同名の登場人物が出るので、この勘違いは私だけではないと思う、絶対!
    そんな大きな勘違いの下、読んでいたせいか判らないが、特に印象は残らなかった。髭が無くなるというのはこの作品の前に読んでいた天藤真氏の『鈍い球音』のトレードマークの髭のみ残して失踪するという逆パターンを想起させ、奇抜さを覚えず、逆に二番煎じだなと思ったくらいだ。
    この作品でミスコンなる読者投票型イベントで上位を獲得しようともし作者が考えていたとしたら、自分の人気に胡坐をかいた行為であるとしか思えないのだが。

    モチーフとなるダリもあまりストーリーに寄与しているような感じではなかったように思う。もう1つのモチーフ、繭を象徴するフロートカプセルは今でも鮮明に覚えている。
    本書を読んだ私は当時大学生であったが、工学部に所属していた私はレポートに追われる毎日で、睡眠不足の毎日を送っていた。そんな中、本書に出てきたフロートカプセルはなんとたった20分浸かるだけで、9時間の熟睡と同じ効果が得られる(確か)という画期的な装置と紹介されており、一読、これはぜひ欲しいと思い、今に至る。またその分読書に時間を当てられると思ったりもした。

    この本を読んでもう15年以上は経つが、今でもあるのだろうかこのフロートカプセル。結婚し、自分の時間がなかなか取れない日々、もしあればぜひとも欲しいアイテムではあるのだが。
    という風にミステリとしての出来よりもこのフロートカプセルに思考が行ってしまう、そんな作品だ。

  • 私的せつない一冊

  • 作家アリスシリーズ2作目。
    火村の33回目の誕生日を祝してフランス料理店で食事をしていた有栖たちは、宝石チェーンのオーナー社長・堂条秀一が若い女性を伴って来店したところを見かける。
    後日堂条は、彼が繭と呼んでいたフロートカプセルの中で遺体となって発見された。
    画家ダリに心酔していた彼が似せていたトレードマークの髭を剃られ、現場には堂条の下着しか残されていない。
    有栖のもとに警察から問い合わせの電話が入る。
    大学時代の知人で、友人の結婚式で顔を合わせたばかりの吉住のアリバイを確認するためだった。
    事件推定時間に友人・吉住には明確なアリバイがない。
    しかも、吉住は堂条の弟で事件現場となった山荘にもたびたび出入りしていたという。
    もともとの犯行計画。
    どんなことをしても手に入れたいもの、他人には譲れないものがあったとしても、人はそう簡単に犯罪に手を染めるとは思えない。
    やはり計画を思いついた時点で、歪んだ感情は狂気に支配されていたのだろう。
    自分の態度がはっきりしなかったからと謝っていた・・・彼らにとっての女神。
    本当に何の計算もなかったのか。
    二人の男の間で、強い意図はなかったとしても、彼女にも事件の責任の一端がある。
    そう思うのは女だからだろうか。
    鳥羽のみやげ物屋にあった手作りの女神像。
    ひとつひとつが手作りのため、よく見れば違いははっきりとわかる。
    計画そのものが杜撰なこともあり、「殺す」という目的だけに目が行き、完璧な計画だと思っていたのは犯人だけだった。
    すべてが思い通りになると、傲慢にも思い込んでいた男の最期を火村はどう受け止めたのだろう。
    誰かを自分だけのものにしたい。
    誰にも渡したくない。
    それは愛ではなくて執着だ。
    正当防衛が認められればいいと思ってしまった。
    過剰防衛だとしても、情状が酌量されればと考えてしまった。

  • 殺されるのは一人だけであるにも関わらず、読み進めていると状況が二転三転。
    その情報の出し方が上手くて、最後までぐいぐい引っ張られた。

  • シリーズを追って読んでいる本。

    繭の話が印象的だった。
    もう、誰もあなたを傷つけない。
    安らかに眠りなさい。

  • 読みごたえがあった。種明かしも不自然さは感じられず、なるほどなと思わされた。全く意味の分からない事象が解き明かされるのは心地よい。

  • 作家有栖川有栖と友人火村による、宝石会社社長殺人事件を解決する顛末。

    とあるフランス料理店で偶然見かけた、ダリ髭の有名社長が、見かけた直後に別荘で殺害される。社長には美しい秘書がおり、また莫大な遺産を持っていたことから、容疑者は関係者に絞って捜査が始まる。

    一応、有栖川本人を「私」として、一人称視点で描かれる部分もあるのだけど、結構ポンポンと視点を飛ばしてくるのは、ひとつ前に読んだ樋口有介の作品と同じ。ただし、あちらよりは文章が練られている分、読みやすいことは読みやすい。

    とはいえ、結構長い話に対して、なかなか核心に届かない展開にはかなりヤキモキされる。

    後半以降の解決に向かうところでも、相当無理のある展開が繰り返されるので、いっそのこと最後の最後で「というのは偽装でした」としてくれたほうが良かった。

    限られた登場人物の聞きこみが中心となっており、ホームズやポワロのようなクラシックな殺人事件ものであり、そういうものだと思って読んでいればそうかなとも思うのだが、もうちょっとダイナミックだったり、トリッキーなトリックでもあるのかと深読みしてしまったので、ちょっともの足りず。

    また、途中に数々挟み込まれる私小説のような部分の意味合いも結局生かされていないため、正直、冗長感がある。

  • なんというかそういう読み方の人は好きな話なんでしょね、という感想です。

  • 石チェーン社長の死体が"繭"の中でトレードマークのダリ髭をなくした状態で発見された事件に火村・有栖が挑む本作。髭の謎に早々と検討がついたものの完答ならず。大阪空港と神戸の山奥の邸宅で交互に明かされるクライマックスの情景とエピローグが美しくて好きよ。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    幻想を愛し、奇行で知られたシュールレアリズムの巨人―サルバドール・ダリ。宝飾デザインも手掛けたこの天才に心酔してやまない宝石チェーン社長が、神戸の別邸で殺された。現代の繭とも言うべきフロートカプセルの中で発見されたその死体は、彼のトレードマークであったダリ髭がない。そして他にも多くの不可解な点が…。事件解決に立ち上がった推理作家・有栖川有栖と犯罪社会学者・火村英生が辿り着いた意外な真実とは?!都市を舞台に、そこに生きる様々な人間たちの思惑を巧みな筆致と見事な理論で解き明かした、有栖川ミステリの真髄。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    最近、有栖川シリーズにはまっております。
    ちょっと前にドラマありましたよね。
    こちらはなぜか火村先生の名前を冠してww

    それを録りだめてあるので、有栖川シリーズを堪能してからじっくり見ようかな~、と。

    (←原作先派)

    それにしても、奇想天外な作品…
    まず、稀代の天才ダリをモチーフにした作品と言うのもおもしろい。

    ダリのことなんてほんとうわべの知識しかないから、Google先生にあれこれ聞いて、ちょっとだけダリ通になった気でいますヽ(^◇^*)/

    とくに、ダリとその妻ガラのことは印象深かったなぁ~。
    ダリが唯一、シュールに描かなかった人物なんですね。
    ちょっとセミヌードとかドキッとする作品もあったり。
    肉体はともかく、ダリの才能を愛して尊敬していたんだろうな…

    あと、アリスと火村先生何事ですか。
    だんだんけしからん感じになっていくじゃないですかww
    「新婚ごっこ」とかいいぞもっとやれwww

    <すみませんここからネタばれあります>

    それにしても、最後までなんとなく長池と鷺尾のカップルが若干胡散臭くて…

    もちろんそんな風にミスリードされてるのかもしれないけれど、最後に感動的?な場面を持ってきていただいても、ほんとに愛し合ってる風にはどうも見えなかったって言う(すみません)。

    あとちょっとかわいそうなのは女装癖のばれちゃった人ね。

    これうっかり見られてなければ絶対にばれてないのにね。
    結局事件とも何の関係もなかったのに。

    まぁ、その性癖について一晩語れる(だろう)くらいだから、もしかしてよかったのかもしれないけど。

    随所に小ネタあり、くすりと出来る部分あり、
    旅情を感じられる部分もあり、
    軽く読めるけどのめり込める、
    そんな不思議な作品でした~。

    ダリのこととか、宝石のこととか、鳥羽の真珠とか、
    近鉄のおしぼりとか、今はなき大阪球場とか
    いろいろ勉強になりました!

    次作も楽しみです♡

  • 火村アリスシリーズ・・・の割と初期のほうなのかな?長編です。
    物語の核となる「フロートカプセル」というものがどういうものなのか今一つピンとこなかったのでネットで検索して・・なるほどこういうものなのか。閉所恐怖症気味の自分にはちょっと怖いな・・とかどうでもいいことを考えながら読了。
    おもしろかったです。1アイデアで勢いで書かれている短編も嫌いじゃないんですが長編の読みこまされる感じが自分好み。
    最後のほうまで真相が「どうなってんだろう?」と悩ませてくれたのも楽しかったです。

  • 福島旅のお供として文庫本。火村英生シリーズ。読み始めて気づいたけど、これもドラマになったやつだ。ところどころしか覚えてなかったから普通に読めたけど。火村とアリスが新婚のような朝食をとる話だった。やっぱ火村と有栖川の関係がいいよな。結局優子がどっちつかずの態度をとるからこういうことになったのではないか。しかし、繭、気持ちよさそうだよなぁ。私も入ってみたいわ。

  • ドラマで見たからあらすじはわかっていたけれど、ずいぶんと雰囲気が違うなと思った。

  • 作家アリスシリーズ#2

  • 火村先生、素敵でした!
    早くシリーズ制覇したい。

  • この度再読。当時読んだときの印象が鮮烈なダリの絵の装丁版で再購入。

    細部は読み返すまで覚えてなかったのにダリ氏の繭であるフロートカプセルへの憧れと、ラストシーンの切なさだけは印象的でずっと残ってたなあ。

    この作品は「繭」ってのがキーワードになっていて繰り返し登場する。
    被害者の、火村先生の、アリスのそれぞれの「繭」。
    「朱色の研究」でも思ったけど著者はメインのモチーフを作品に取り込むのがすごく上手いよね。

    そしてあえてつっこんでおきたいのは、のっけから二人でフランス料理で記念日を祝い、伝説の新婚ごっこを繰り広げる火村先生アリスコンビの夫婦っぷり。公式がすさまじい。笑
    (2016.2.22)

  • 殺人の理由がちょっと強引かな〜、うーん。そんなもんなのかなぁ…私にはわからぬ…!でもアリスの内面がいろいろ書かれてるところは、キャラクター性が出ててよかったです。あと、何より最後の飛行機を見るシーンが素敵すぎた…!「落ちてこい、飛行機。今、彼と私の上に落ちてこい。」胸がヒリヒリします。

  • 初めての有栖川有栖小説……面白かった。
    世界観がしっかりしているのがよかったし、かなりのめり込んで2日ほどで読了。これだけで火村シリーズを語りたくないので、もう少し読んでみたいと思います。読了後のスッキリ感がなかったのがちょっと残念で、★ひとつ減らしました。

  • 画家ダリを崇拝する宝石店の社長が殺害された。繭と称されるフロートカプセル、美人秘書を巡る三角関係。ドラマ後に拝読したので、犯人もトリックも分かっている状態だったが、楽しく読み進めることが出来た。これをよく一時間でまとめたな、と印象もあり、一作目の方が私は好きだったり。ドラマで見た新婚ごっこを文章で読めたのはとても良かった。あの絡みは最高です。個人的に最後の隣人の女性との絡みも良かったです。観光順に読んでいるので次はロシア紅茶の謎を読みます。

  • 推理作家・有栖川有栖は大学時代からの友人で二人の母校である英都大学で社会学の准教授を務める火村英夫は、フィールドワークと称して警察の協力という名目で事件現場に出向き犯罪者を狩る。"人を殺してみたいと思ったことがある"という彼は、そちら側におちるのを踏みとどまった自分が、飛びたっていった人間を叩き落とすのだ、という火村を、私は密かに彼がそちら側に惹かれて一緒に飛び立つことを恐れている。せめて手を伸ばせるよう、彼のフィールドワークに同行する。
    ダリを崇拝する宝石商の社長が別宅のフロートカプセルの中で死んでいるのが発見された。彼は秘書の女性のことで会社の宝石デザイナーと三角関係だった。そして彼には腹違いの弟が二人いる。愛憎のもつれか、遺産争いか。社長のトレードマークだったダリと同じ髭が切り取られ、衣服も凶器も持ち去られた。果たして犯人は?
    作家アリスシリーズ二作目。

    ドラマを見て、前々から気になっていたこのシリーズ、というか有栖川さんの作品についに手を出してしまった。これからこの楽しくて少しひりひりする関係の二人と摩訶不思議なミステリの世界をたくさん歩けるかと思うと、うれしくて踊りだしそう。でも本の置き場にまた頭痛を抱えたな、と。これ有川さんの本を買った時も思ったな。本屋さんで売り切れていたので、二作目から。

  • 【再読】ドラマ#4の予習として。ビーンズ版も持ってるけどまだ一度も目を通してなかった角川文庫で(初読みはハードカバーだった)。キャラ読み党としてはとても大好きな話。それだけに実写化は複雑。新婚ごっこを期待しても、実写ヒムアリでは萌えないだろうな。あと、1時間にまとめるには無理がありそう。嫌な予感……。
    この話(新婚ごっこ)は本当に好きな話なのでコミカライズしてほしいなー。

  • 再読。
    タイトルも表紙もとてつもなく印象的な作品。
    これを手に取った17,8年前の事もすごく覚えている。
    当時住んでいた自宅近くの小さな書店で購入。

    内容も同シリーズのどの作品よりもかなり細部まで覚えていた。
    ダリ髭のジュエリー会社の社長、
    六甲の別荘とフロートカプセル、
    美人秘書を巡る三角関係、
    奇妙な夢、
    真珠の瞳の人魚、、、

    けれどまぁ器用なまでに犯人とトリックは忘れていた。
    さすがに読んでいる途中で思い出したけれど。
    本格ミステリと呼ばれるタイプの小説の好きな所は(例外もあるかもしれないけれど)矛盾点が極めて少なくアンフェアな結末になることはほぼ無いだろう、という安心感。
    今回の様に再読の時や先の展開が気になって考える間もなく読み進めてしまう時などはこの安心感が嬉しいし、余裕があれば自分でも推理しながら読み進めることもあるので、さりげなく、且つ丁寧に手掛かりを提示していく手法が非常に好ましい。
    なかなか自力で解けることは少ないんですが。

    次は同じ時期に購入した次作「海のある奈良に死す」を、と思ったけれど、間を飛ばして「絶叫城殺人事件」を読みます。

  • 作家アリスシリーズ、第二作。前作はあまり面白かった印象が残ってないのですが、こちらはとても面白かった!犯人まで辿っていく推理運びはやはり流石ですね^^ 一番印象的なのは「第八章 生者たちの繭」のキャラクタの作家・有栖川有栖の執筆に対しての想いでした。心の中をまんま覗けたような気がして、より有栖川さんが好きになりました!このシリーズも学生アリス同様、楽しめそうだ(≧∇≦)♪

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