死国 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 1053
感想 : 100
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041932025

作品紹介・あらすじ

二十年ぶりに、故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代が十八年前に事故死していたことを知った。その上、莎代里を黄泉の国から呼び戻すべく、母親の照子が禁断の"逆打ち"を行なっていたのを知り、愕然とする。四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡ると、死者が甦えるというのだ-。そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋におちる比奈子。だが周囲で不可思議な現象が続発して…。古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する傑作伝奇ロマン。

感想・レビュー・書評

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  • 高知の風習が描写されていて、いつもながら、高知の山々、自然、川などが目に浮かぶ。登場人物の言動も高知の人間そのまま。リアルと想像をうまく織り交ぜている。
    お盆に松明を木の棒の先にくくりつけて、火をつけて高く掲げる。死んだ人が帰ってくるための目印になる。というのは、祖母から教えられた。
    『死国』という映画は、ずっと気になっていた。今回読んでみて、ホラー小説という感じがしなかった。
    坂東さんの作品はどれも、ひとつのジャンルにはくくれない。

  • やはり★5!!
    新品が売ってたので、新品で再読したいと思い購入。
    やっぱり坂東さんはゾワゾワと怖いです。
    石槌山とか死ぬまでに一目見てみたい。
    サヨリちゃんのお父さん。。無念でござる。

  • 生者も死者も怖い。
    娘を失った母の気持ちはわかるが、母もこの地の呪いのような物に囚われてしまっていたのかもしれない。
    ハッピーエンドで終わるかと思いきやの最後のワンシーンで、誰も彼もみな囚われた小さな世界から抜け出せないのだと思った。
    本当にありそうな話。

  • 『ぼくらの頭脳の鍛え方』(立花隆・佐藤優)をきっかけに本作に興味を持った。読んだ感想として、自分が好きな和風ホラーゲーム「零 赤い蝶」と似た雰囲気や展開で、個人的に読みやすい小説であった。本作は高知県の矢狗村を舞台に、小学時代に過ごした村を訪れた主人公の明神比奈子、かつて主人公の親友で今は亡き日浦莎代里と幼馴染の秋沢文也の三人を中心に物語が進む。この話の見どころは、秋沢文也をめぐっての主人公と蘇った親友の関係性と争いであろう。物語の中盤で判明するが、比奈子にとって、莎代里が小学時代で一番仲がよいと思っていたが、それに反して、莎代里は比奈子を単なる付属物、いいかえると自分にとって都合のいい操り人形にすぎないと、それぞれの心情が食い違うのである。また、莎代里が比奈子と同様に文也が好きだと物語の後半で明らかになり、そこからお互いが文也を取り合うという三角関係が特徴的である。それだけではない。この小説は、所々『古事記』や古代日本の伝承等に言及しており、それによって日本特有の恐怖や観念を醸し出すところが幻想的で虜になる。

  • 自分の住んでいる四国を舞台にこれほどまでの土俗ホラーが繰り広げられるのにまず驚いた。寒風山トンネルとか石鎚山とか馴染みのある地名が出てくるので、自分の住んでいるところがとんでもなく恐ろしい死者の地のように感じた。

    しかし、この死者を甦らせる逆打ちという儀式、これが本当にあるのか、または言い伝えとして残っているのかは寡聞にして知らないが、このアイデアは秀逸。実際、ありそうだもの。
    そして素直にお遍路さんを感心して見る事が出来ないようになりそうだ。

    この逆打ちを中心に、四国が死者と生者が同居する“死国”となる展開、そして比奈子の実家の管理人、大野シゲの若かりし頃の不倫の話、儀式として四国霊場八十八ヶ所巡りを村の男が順番に行う男の話、植物人間状態で入院している郷土研究家の莎代里の父と介護する看護婦の話、これら全てが逆打ちに同調して収斂する手際は見事だ。

    今回読書中、『八つ墓村』とかの昔の日本の映画の雰囲気を思い出した。あの独特の日本人の魂の根源から揺さぶられる恐怖がここにはある。日本の田舎が持つお化け屋敷的な怖さを感じさせる文章力は素晴らしい。

    そして映画は未見だが、恐らく莎代里=栗山千明なのだろう。このキャスティングは見事。イメージぴったりだ。映画も観たくなった。

  • 怖さもありましたが、恋愛要素もありました。

  • 結局は三角関係の話。と思うと陳腐だけれど。
    四国の自然とか古事記の世界と合わせると、情景が豊かに浮かんでくる。
    ちょっと四国が怖くなった。四国の人はどう思ってるんだろう?
    結局男は死んだ女のもとに行ってしまうのだけど、そんな呪縛から逃げれないのは不幸なこと。主人公もせっかく帰省したのに踏んだり蹴ったり。東京の彼も終わってるし。

  • ホラーブームの頃に書かれたとはいえ、このタイトルと内容のせいで四国とお遍路のイメージがとても悪くなってしまった。
    ドロドロとした土着信仰はホラーにぴったりだろうけれど、東京との対比や田舎のコミュニティ等いろいろ後味悪すぎて…。
    死の国なんて言われて…四国の人、嫌だろうな。

  • 設定はよかった。情景の表現もよい。だけ。
    すごくもったいないのにあまりにひどい。
    どこかのアニメで影響を受けたんだろうな、でもその映像を自己満足で完結してしまったためにこんな小説になりました、みたいにw
    文中に出てきた四国の古代歴史?の本の方を読みたかった。
    うん、設定がよかっただけにもうひどい、笑えるくらいに酷いw
    ラスト数ページで何度も寝落ちを食らうのも珍しいwww

  • 都会から帰省してきた主人公が感じた四国の景色や方言に、終始癒やされながら読みました。
    どうなってしまうのか気になってどんどん読み進めてしまった。最後はちょっと個人的にはショックな展開で、なぜ、、、という気持ちでした>.< いつかお遍路行きたいです。

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著者プロフィール

高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築と美術を学ぶ。ライター、童話作家を経て、1996年『桜雨』で島清恋愛文学賞、同年『山妣』で直木賞、2002年『曼荼羅道』で柴田連三郎賞を受賞。著書に『死国』『狗神』『蟲』『桃色浄土』『傀儡』『ブギウギ』など多数。

「2013年 『ブギウギ 敗戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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