葛橋 (角川文庫 は 17-4)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 197
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041932056

作品紹介・あらすじ

それほど俺を憎んでいたのか……男と女の心に潜む官能と亀裂が、深い闇から浮かび上がる。郷愁ゆたかな土俗的風景を舞台に繰り広げられる、傑作中編小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 妖しい雰囲気が漂う、3篇からなる中編集。
    1番好きだったのは『一本樒』。
    またたび酒がメチャクチャ美味しそう。

    露骨なエロではなく、ほんのりと香るエロさが良かった。
    少し何か読みたい時に丁度良い長さ。

  • 高知の村人の特性、山の風景、すべてがリアルに描写されている。誠実で良心的な人間の心の奥に潜む、憎悪や復讐心。良い人間が虐げられて、でも死んでからちゃんと復讐する。気分がいい。高知の女は気が強い。

  • 初めて読んだ著者の作品が、今まで読んだことのない類だったので、別の作品も読んでみようと思って手に取った。
    前回のものは単なるエロ小説だと思ったが、今回は違った。読んでいる間中、ずっと後ろを確認したくなるような恐ろしさがあって、話にも引き込まれた。
    でも、どの話も読後感が良くなく、「イヤミス」ならぬ「イヤバナ」(読んだ後、イヤな気持ちになる話)だなーと。
    ただ、これは好みの問題。私は楽しく本を読みたい派なので評価が低いが、きっとすごく好きな人もいると思う。

  • 面白かったです。
    暗すぎず、怖すぎず。一本樒が一番好きかな。またたび酒の虫の話は、わ〜!と思ったけど。梅酒とかつけてみたい。
    そういうまめまめしい女性の暗い話がかなりツボでした。
    葛橋も、あの世につながる話ですごく魅力的。性的描写がなければもっと好きだな。

  • 『一本樒』は菜穂の身勝手さに腹が立った。浩一郎にもいずれ飽きるのだろうなぁ。

  • 徳島県は祖谷渓にあるかずら橋を2度ほど訪れたことがあり、書店で本作を見かけたときにそれを思い出して購入。しかし本作はそんなノスタルジックな気分をかき消すような、少し陰鬱な気分になる中編三作が納められた作品。

    「一本樒」「恵比寿」は地方での安寧な暮らしぶりが、外界の異物ーー坂上と鯨の糞ーーによって歪まされてしまう様子が描かれている…んですかね。どちらも地方の主婦が主人公で、“香気”が意味有りげに登場するところが共通しているように思います。

    「一本樒」は昼ドラや二時間サスペンス的な印象。ストーリーの面白さよりは、樒の香気が“美しいもの”から不気味な印象に変わってしまうところが不思議と強く記憶に残っています。

    「恵比寿」はダークなおとぎ話というイメージ。欲に翻弄されて願いはかなうけどその代償に… こちらは樒の香気と同じく、恵比寿様の笑顔が不気味に感じられる、薄ら寒い気分になるお話でした。

    「葛橋」は妻を亡くした男性が主人公。ここで登場する葛橋は徳島のそれではないようですが、作りは同じく蔦のみで編み上げられた橋。イザナギ・イザナミの話と関係があるのは創作なのか分かりませんが、それを知ると葛橋の存在そのものが少し不気味に感じられてきます。

    いずれの作品も人物描写がしっかりしていて、久々に人の顔が分かる小説を読んだ気がします。ただ後味はあまり良くなく、うなだれてしまうような読後感。いつかまた葛橋を訪れる際は、本作を思い出してよりいっそうのスリルを味わうことが出来そう…

  • 読んだのはハードカバーで。

  • 表題作を含む中篇小説が3本収められています。
    ミステリーでもホラーでもないけれど、人間の心の奥深くに潜んでいる説明のできない“不思議さ”のような部分がどの話の中にも書き込まれています。

  • じっとりと嫌な感じの(誉め言葉)、なんといえばいいのか……情念に満ちた小説です。ホラー、というには少し違う気がするけど。生々しい恐怖に満ちています。
    お気に入りは「一本樒」。「悪しき実」という響きからして恐ろしいです。亡霊も怖いけれど、ありきたりながら、生きている人間、生きて「いた」人間ってのが怖いですね。

  • 中編3作。
    どれも秀作。さらりと読めるので長編作品よりいいかもしれない。
    後味の悪さはさすが。

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著者プロフィール

高知県生まれ。奈良女子大学卒業後、イタリアで建築と美術を学ぶ。ライター、童話作家を経て、1996年『桜雨』で島清恋愛文学賞、同年『山妣』で直木賞、2002年『曼荼羅道』で柴田連三郎賞を受賞。著書に『死国』『狗神』『蟲』『桃色浄土』『傀儡』『ブギウギ』など多数。

「2013年 『ブギウギ 敗戦後』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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