最後の恋 (角川文庫 き 22-7)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (331ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041966075

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  • 『最後の恋』

    名門医大生の夏目と、身寄りがなく病気を患う弟の面倒を見ているアキが惹かれ合う。

    境遇の違いから身を引こうとするアキに、一途に愛を貫く夏目。北川悦吏子さんのドラマの中でも、シリアスかつナイーブなお話。


    北川さんの作品に、私がこんなにも心が打たれるのはなぜだろう?

    その感情を、私の拙い言葉を集めて、言語化するとしたら?

    それは、いつだって彼女が、私の心を見透かしたように、私の思いもしなかった、それでいて一番欲しかった愛のぬくもりや、形を、"はい、どうぞ" と、両手を差し出し、掌を広げるように見せてくれるような気分になる。
    時代も、世代も、境遇をも越えて、多くの女性が探しているものを北川さんは作品を通して届けてくれる。
    私はそれに出逢う度に、身体が震え、胸に熱い気持ちがこみあげ、あぁ泣きそうだと、実感する。

    この作品の、夏目という青年は優しい。

    人はみな、人に優しくありたいと思っている。

    相手や関係によって、その強さや表現の仕方は違うかもしれないけれど、大切な人であればあるほど、

    優しくなりたい

    優しくありたい、と。

    優しさを、素直に受け取って欲しい、そう思うものだと思う。

    夏目は、アキに優しい。

    それは人としての部分はもちろんだけど、

    それは……

    アキのことを、深く、想ってくれているから……。


    〝気付いて〟

    〝寂しい〟

    〝苦しい〟

    〝私を見て〟

    〝私を心配して〟

    〝甘えたい〟

    〝傍にいたい〟

    〝愛してほしい〟

    独りでたくましく生きてきたアキが、夏目と出会うことによって生まれたのは彼女の心の変化だった。

    境遇という言葉によって、
    夏目と自分を、遠くさせてるのは、アキ自身だったのだ。




    最後のシーンが、"伝えたかったこと"

    嬉しくて

    泣きたくて

    苦しくて

    夏目が好きで、言葉を探すのをやめたアキ。

    伸ばした手は

    すぐに...確かめるように触れて

    指を絡めて、彼女が引き寄せられた。

    言葉以上に、最後のあのキスが、

    きっと二人の想いを、未来を、
    互いに注ぎ合っているものだということを。

  • ドラマみたんだろうけど、記憶がない。
    1997年放送って。
    中居くんのラブストーリー、想像できんから、TSUTAYAでレンタルして、もう一度観たい。
    強気な女の子の役、やっぱり、常盤貴子が1番上手い。

  • ドラマ「最後の恋」のノベライズ。
    真面目で優しく、繊細な心を持ったごく普通の青年・夏目。
    弟思いで、自分よりも弟のことを優先して考えてしまうような優しさを持つアキ。
    弟を助けたい一心でギリギリの選択をしてしまうアキだけれど、それがとても哀しい。
    塗り潰された写真を除光液できれいにしていく夏目・・・。
    何気なくやったことかもしれないけれど、アキにとっては救われる思いがしただろう。
    まっすぐな思いだけでは容易に乗り越えられないことだってある。
    相手を思うがゆえに負担になってはいけない、大切な人の未来を閉ざしてはいけない。
    そう考えるのも自然なのかもしれない。
    でも、潤を何とかして救いたいという純粋な夏目の思いが、残り少なかった潤の人生を明るいものに変えたのは事実だ。
    未来に夢を持つ。
    未来を夢見ることができる。
    それは本当にしあわせなことだろう。
    優しいからこそ互いに惹かれあい、優しいからこそ互いに傷ついていく。
    潤が残していった思いが、遠ざかっていた二人の背中をそっと後押しする。
    哀しく切ない物語だったけれど、結末にホッと救われる思いがした。

  • 主題はラブストーリーだけれど、恋のすれ違いの切なさやときめきよりも姉と弟の互いを思う心に感動。孤児院で育った姉弟、アキと潤。潤は重い心臓病を抱えていて、アキは弟の治療のために必死でお金を稼ごうとする。当たり前のように自分の事は二の次にして生きてしまう「姉の心情」は読んでいても痛々しいくらいなのに、温かくてまっすぐ。守りたい家族がいる人には堪らない言葉がたくさん出てきます。いとしくなる。
    ドラマは、当時まだ子どもだったので観たことありません。同じく北川さん脚本、常盤さん出演の「ビューティフルライフ」は観ていたから、なんとなく同じ雰囲気の映像を思い描きながら読み進められました。別物かもしれないけれど。ドラマからのノベライズだったせいか所々脚本ぽいな、というか場面の移り変わりに違和感を感じたけれど、素敵な雰囲気の、いい小説です。

  • 北川さんの本はどれも好きですが、特に「愛しているといってくれ」が好きです。「最後の恋」と「愛して・・」は少し似ていますね。互いに愛し合っていて、相手を愛するあまりに心の葛藤を繰り返し、一度は別れてしまう。でも、ある期間を経て結局は互いに離れられないことがわかるのです。「最後の・」は女性が孤児であり、「愛して・・」は男性が聾唖であり、ハンディキャップをどちらかが抱えているという設定です。それを克服して愛し合っていくのはとても大変だろうと思うのですが、愛し合う二人が純粋な心を持っているからできたことなのでしょうね。
    きれいな恋愛小説でした。

  • 中居くん主演のドラマ「最後の恋」のノベライズ。

    「それ、俺、篠崎だと思うんだ」
    「姉ちゃんが泣いた時雨が降ってたらそれは僕の涙です」(うろ覚え)

    じんっときたりきゅんときたり、そんな印象的な台詞がけっこうある。
    こんな恋愛したいなーって思う作品です。

  • 「・・・それ、俺、篠崎だと思うんだけど」
    印象的な台詞がいっぱいあるんですけど
    曖昧なので書けない・・・
    潤くんの手紙に号泣です
    夏目の優しさに号泣です
    北川作品の中で一番好きなドラマでした

  • ドラマのノベライズです。

    こんときの常盤ちゃんと中居くんがかわいーったら 笑

    身分違いの恋・現代版みたいな内容です。

    亡くなった弟からの手紙がステキです。

    それと、あたしは正ちゃんも好きです。笑

  • ドラマのノベライズ。
    夏目くんのピュアさがとってもよかったなあ。
    今はあんな男の子、あまり見なくなりました。

  • べたなのに弱いのか。泣いたなぁ。

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著者プロフィール

シナリオライター。早大卒。作品に「愛していると言ってくれ」「ロングバケーション」「ビューティフルライフ」「最後の恋」「たったひとつの恋」「半分、青い。」など。

「2023年 『夕暮れに、手をつなぐ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北川悦吏子の作品

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