ファースト・プライオリティー (角川文庫)

著者 :
  • 角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041970126

感想・レビュー・書評

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  • いろんな主人公が出てきたけど、結局全部に作者さんが投影されている感じ。

    不倫を美談のように語るのはあまり好きじゃない。

    バンドと庭が好き。

    最後の話、しょうもないなと思いつつ、ラストは良かった。すこし元気を貰った。

  •  山本文緒「ファースト・プライオリティ」、2002.9刊行、2005.6文庫。31編のエッセイ集と思いきや、31歳の女性を主人公にした31の短編小説でした。11話を読了時点で失速です。

  • 31人の31歳女性の人生を切り取った短編集。でもそのどれもが同じような雰囲気、同じような展開で、心に響くものは何もなかった。

  • 一言で言えば、疲れた。食傷。短編集は好きなはずなのだけど。

    さまざまな設定の31歳。
    31通りの人生の、生活に起こる、ささいな幸せ、あるいは不幸。
    あるいは未来への希望。あるいは絶望。
    何も取り柄がない人も、ある人も、幸せだったり、そうじゃなかったり。
    そしてそれは、本人にとって重要なことではあるが、生死にかかわる
    ような問題ではないし、あるいは個人的な問題だ。

    だから、話を読み終えるたびに、「で?」と言いたくなる。
    「だからどうなの?」という感じだ。

    この31もの中から、共感を見つけ出してください、とでも言うのか。
    色々な人に色々な人生があって、さまざまな幸せや不幸や、感傷が
    あることは、もう僕は知ってるつもりだ。
    わざわざ小説で確認しなくてもいいよ、という気持ちになる。

    しかし31もの短編を並べたのだから、必ず何か意図があるはずだ。

    「女ってどうして恋愛の話がそんなにすきなの?」(「チャンネル権」)

    この言葉を発する以上、山本もただ単に、平板な恋愛の話を並べている
    ことはわかっているはずだ。

    だとするならば。
    これは「あえて」同じような平板な「あなたにとって一番大切なものは
    何ですか」という、今さら小説で聞かれなくてもいいようなことを
    テーマにした小説を並べているとしか、思えない。

    要するに、こういうの書いたらみんな喜ぶでしょ、ってのをわかって
    山本はやっているのではないか、ということだ。
    最後の「小説」で「売れる」「売れない」ということが作家として
    生計を立てるために重視されてることが描写されているし。

    また、あえて最後に「小説」という、まるで自分自身の物語を配置した
    ことにもその巧妙さが伺われる。
    というのも、最後に作者自身と思わせるものを置くことによって、
    それまでの30の作品がぐっとリアリティを増す役割を果たしている、
    と思われるからだ。

    おそらく「小説」という短編は、山本自身の話ではないと思う。
    というか、そういう位置づけになっていると思う。
    何の解説もつけず、また、あえて「小説」を他の短編と同じような
    レベルで並べていることにも、「小説」はあえてフィクションだと
    いう位置づけなんだと思う。

    そう思えば、この平板な、それぞれの一番大切なものを考える31の
    短編を並べ立てた意図は、何が小説として求められているかを知って
    いる山本の巧妙な罠、なんじゃないだろうか。
    それは、「こんなん、しょうもないわ」という批判を許さない。
    だって、山本はそれをわかって、やっているのだから。
    きっとそう批判されても山本はこう答えるんじゃないだろうか。
    「でも、世の中のみんなは、それぞれにこういう物語があるってことを
    大切に思うのよ」と。

著者プロフィール

1987年に『プレミアム・プールの日々』で少女小説家としてデビュー。1992年「パイナップルの彼方」を皮切りに一般の小説へと方向性をシフト。1999年『恋愛中毒』で第20回吉川英治文学新人賞受賞。2001年『プラナリア』で第24回直木賞を受賞。

「2023年 『私たちの金曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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