十三番目の人格(ペルソナ)―ISOLA (角川ホラー文庫)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング)
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  • Amazon.co.jp ・本 (401ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979013

作品紹介・あらすじ

賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格「ISOLA」の出現に、彼女は身も凍る思いがした。第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。

感想・レビュー・書評

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  • 何故貴志祐介のオカルトには耐えられるのだろう...。恐れ慄いているので耐えれてはいないのだが、何度も手に取ってしまう。呪い??

    イソラの恐怖は最後まで続く。
    思い返すだけでそこかしこの隙間が恐怖対象になる。カーテン閉めなきゃクローゼット閉めなきゃベッドは脚無しにしなきゃ。

  • 阪神大震災直後の神戸が舞台。
    多重人格の女子高生『千尋』と、人の強い感受性を読み取る能力を持つ『由香里』を中心として展開するホラー小説。
    千尋の中の13番目の人格『磯良』が出現すると、千尋と由香里に関わる人々に不可解な出来事が次々に起こる。
    『磯良』はなぜ現れたのか。そしてその目的とは何か。

    多重人格と怨霊をミックスした、オカルト寄りのホラー。ラストはゾクっとする結末で、その後を想像すると絶望的な気持ちになる。
    『黒い家』『天使の囀り』を読み終えていた為、本書はホラー小説としては全体的にマイルドな印象を持った。

  • この本を読む前に想像していたより、はるかに面白かった。多重人格者の話なのだが、多重人格障害、多重人格者に関する話、は実際、現実感がなくて私は非常に興味深かった。
    小説ではあるが、実在するとしたら…と考えると尚更興味をそそられた。
    臨死体験などで見られる体外離脱現象の事など、専門的な部分も出てきて、そこの理解は難しかった。
    しかしイソラという千尋の中の13番目の人格が非常に恐ろしい。
    終盤の、真部とイソラとの対決も恐怖なのだがおもしろい対話のやり取りが見られ、一気に読んでしまった。
    由香里に関しても実際に、こんな能力があったら気分も悪くなるし大変なのだろうが、人の心が読めるのは羨ましい場面もあるかもと思ったり。ただ、自分がそうだったらやはり、かなり疲れそうだなと思ったり。
    なにより長い長いホラーが詰まったストーリー、ホラー好きな私にとって本当に、大好きな一冊になりました。異次元的な世界が好きな人や、心理学などに興味ある人は読んでみたら面白いのではないかと思います。

  • 貴志祐介さんデビュー作

    主人公の由香里は強い感情を読み取るエンパス。
    震災によりボランティア活動をしている最中に多重人格障害である千尋と言う少女と出会う。

    13番目の新しい人格ISOLAが出現したことにより由香里、千尋、2人に関わる人々の周りで不可解な出来事が起こり出す。

  • 人の強い感情を読み取ることができる、エンパスの能力を持った由香里。彼女はその能力を活かして阪神大震災後、被災者の心のケアをしていた。そして、そこで一人の少女と出会う。少女は多重人格であったが、その中にはある恐ろしい人格が潜んでいた……。

    都合が悪ければ殺してしまえばいい。一度問題を簡単に解決する方法を学習してしまったら、どうしようもない。最後は暗澹たる思いで本を閉じた。

  • 久々の貴志祐介作品を読んで、やっぱり好きだなぁと改めて感じた。

    悪の教典が著者の作品との出会い。

    他の本を読んでいた為、ながらく積読になっていましたが、ホラー小説大賞受賞作はダテじゃない。

    確か日本ではまだ学術的には多重人格は正式に認められてなかったのでは?

    ただ、見事に書ききったって感じです。

    途中少し中弛み感もあったけど、ラスト手前の由香里と真部が千尋を発見するあたり(正確には探していたのは千尋の13番目の人格である磯良ISOLA)からの緊迫した臨場感はさすが!

    そして、真部が自らに注射針を刺すところは予想していたが、まさかその後の千尋に新たな13番目の人格である憧子が現れるとは...

    そしてそこには間違いなくISOLAがいた。

    やはり今後も著者の作品を読み続けていこう。


    説明
    商品の説明
    こちらの商品は2012/10/22にカバーデザインが変更となりました。
    ご注文いただくタイミングによっては、
    お届けする商品のカバーとサイトに表示されている画像が異なる場合がございますが、ご了承くださいませ。

    賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパス。
    あどけない少女千尋の多重人格障害に胸を痛める。
    やがて十三番目の人格・ISOLA・の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
    内容紹介
    こちらの商品は2012/10/22にカバーデザインが変更となりました。
    ご注文いただくタイミングによっては、
    お届けする商品のカバーとサイトに表示されている画像が異なる場合がございますが、ご了承くださいませ。

    賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパス。
    あどけない少女千尋の多重人格障害に胸を痛める。
    やがて十三番目の人格・ISOLA・の出現に、彼女は身も凍る思いがした。
    内容(「BOOK」データベースより)
    賀茂由香里は、人の強い感情を読みとることができるエンパスだった。その能力を活かして阪神大震災後、ボランティアで被災者の心のケアをしていた彼女は、西宮の病院に長期入院中の森谷千尋という少女に会う。由香里は、千尋の中に複数の人格が同居しているのを目のあたりにする。このあどけない少女が多重人格障害であることに胸を痛めつつ、しだいにうちとけて幾つかの人格と言葉を交わす由香里。だがやがて、十三番目の人格「ISOLA」の出現に、彼女は身も凍る思いがした。第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作。

  • 面白かった。多重人格者にうってつけの主人公でワクワクした。主人公もまた大変に辛いものを持っていて共感できた。映画でも見たい。

  • 大御所ながら、あまり読んだことのない貴志祐介作品二作目。
    タイトル通りの内容。舞台は阪神大震災直後の西宮。ボランティアで被災者の心のケアをする由香里は、解離性同一性障害の少女 千尋と出会う。他人の感情を感じとる能力をもつ由香里は、千尋の中の複数の人格の中に、攻撃性の強い十三番目の人格「ISOLA」の存在を知る。

    何となく映画を見たような気がするけど、舞台が震災後の西宮だったことは知らなかった。同じ震災を経験した者としては、それだけで思い入れが強くなってしまう。

    本のレーベルも映画のジャンルもホラーになってるけれど、終盤ISOLAを封じることができるか、日が沈むまでというタイムリミットサスペンスの要素が強い。全体的に予想通りという流れだけれど、ラストはホラー映画のような怖さがある。

  • 阪神大震災の後、人の強い感情を読み取ることができる「エンパス」の力を持つ賀茂由香里は、その能力を活かして被災者の心のケアをしていた。

    由香里が被災者の苦しみを見抜く抜群の共感能力をもっているという噂は、ボランティアの間で広まり、そのことがきっかけで長期入院中の女子高生、森谷千尋を見てほしいと頼まれる。

    そして由香里は、千尋の中に十三人もの人格が同居していることを知る。十三の人格はそれぞれの性格に関係した名前がついており、それらは千尋が経験した辛い過去から彼女を守るために生まれたようだったが、震災後に生まれた磯良という人格だけは明らかに異質で、激しい殺意のようなものを感じた。

    それ以降磯良は表に現れず、由香里は千尋の通っている学校の臨床心理士である野村浩子と協力して、千尋のカウンセリング(人格の統一化)を進める。他の人格たちも協力的で、カウンセリングは順調に進んでいるように思えたが、千尋を苦しめていた父親や学校の教師や生徒たちが続けて謎の死を遂げる。

    由香里は磯良の謎を解くため、精神薬理学の研究をしている大学助教授の真部和彦と出会い、磯良の正体を知ることになるが…





    ホラーというよりは超能力対決感が強かったため、あまり怖い感じはなかったように思う。

    読んでいて磯良の謎だけでなく、エンパシーの能力者と多重人格者という癖のあるキャラクターを通して、人の心についても考えさせられた。

    多重人格者と話す場合は、別の人間と話していると思って接すればイケると思うが、エンパスの人だと心を読まれていると意識してしまい、雑念を抑えられる気がしないと思った。

    どういう結末になるのか、終始楽しみながら読み進めることができた。良い作品だった。

  • 読みやすく中々楽しめた。ただホラーとしては恐怖を覚えるシーンは多くなく、どちらかと言うと謎が解けていくミステリーとしてのおもしろさだった。

  • いやー面白かった!
    多重人格という設定が面白い。
    ラストがハッピーエンドではない終わり方もまたよい!

  • 原点で既に貴志祐介ワールド全開。

    そして長く細かいにも関わらず読みやすいとゆう素晴らしさ。

    ありがとうございます。←

  • おそろしい。読んでいくごとに、あ、もしかして、もしかして…と見えてきて、だいたいその通りに進んでゆくのですが、ラストだけには裏切られました。
    すっきりしないと言えばそうだけど、このような終わり方をされることによって、もやもやが心に暫く留まりつづけ「印象に残った一冊」になっちゃうんだよなーずるい。
    スピード感があってドキドキして、全体的に面白かったです。
    心理学や精神医学に興味があるので、学術用語も交えて詳しめに記述されていた点がリアリティがあって良いなと思います。反面、興味ない人にとっては読み飛ばし箇所かもしれません。一長一短。

    もやもや残った点
    ・悠子の「うれえる」は結局何?最後に実は憂子だったと分かるならともかく…
    ・由香里ちゃんが簡単に恋に落ちすぎ!笑
    ・由香里ちゃんに筆者の理想詰まりすぎと感ずる
    ・結局なにも進展してない…物語の最初と最後で、状況悪化しただけ

  •  貴志作品近々コンプリートできそう。耐えられないホラーだったらどうしようと読むのを控えていたが、『黒い家』が読めた私なら何の問題もなかった。最近あまり聞かないが、この時代辺りによくフィクションで取り上げられていた多重人格障害がテーマのホラー作品。真部はもっと根性のない男性かと思っていたら、意外にも骨のあるキャラだった。読みやすかったが、ISOLAとの対決がかなり物足りない印象。こんな無敵の化け物ならもう少し手こずらないと倒せないはず。

  • ホラー小説で多重人格を持つ少女の磯良の恐ろしさを感じとることが出来ました。個人的には、ホラー小説の中でも、トップ5に入るくらいの怖さがありました。

  • #読了 多重人格、エンパス、体外離脱などなど……面白い要素てんこ盛りで興味津々で読み始めました。主人公があまりにあっさり男性と相思相愛になってその男性のために命を賭けるのは少し疑問が残るけど、おおむね満足の作品。
    貴志さんの本は、人間が人間でないものへ変貌する恐怖がよく描かれていてとても好み。
    結末は明らかにバッドエンドへ向かうのだけれど、その余韻も良い。

  • ★3.5
    相変わらずの怖さ!不気味!
    バッドエンド最高。

  • 貴志祐介デビュー作品。
    この人、経済学部の出身なんですよね?何でこんなに心理学の知識があるんでしょう?(ちゃんと正しいのかまでは分かりませんが)。

    心理学や精神医学、オカルト(心理学もオカルト的なところありますが)が上手に混ぜられていますね。そのおかげか、「生霊が呪い殺す」という一見荒唐無稽な設定を現代でやっているのに、とても説得力があります。凄いなぁ…!
    イソラが醜女な設定とか、人格の名前の由来とか、こうも上手く絡ませるんだもんなぁ。

    あとは、後半のホラー展開が凄く面白かった!
    イソラが目前まで迫ってくるシーンとか、映像が目に浮かんで恐ろしかった。多重人格の話から、まさかこんな展開に持ってくるなんて。話が加速していく感じが堪りませんね。

    ラストですが、かなりのバッドエンドで凹みました。千尋は基本的に良い子だったんだろうし、幸せな道を歩んで欲しかった…。
    ただ、イソラに歪まされた人格同士の会話は寒気がしたし、「憧」の無機質な説明文で終えるセンスにも脱帽だし、このエンディングも中々好きです。

    貴志祐介ほど、読む手が止まらない作家はいないかも。この生理的な嫌悪感も癖になります!

  • すいすい読める筆致の滑らかさや主人公・由香里の能力の特異性などには引き込まれましたが、後半の緊迫感ある展開が少し物足りなかった印象。
    ホラーとしては正解なのだろうラストも個人的には受け入れ難かった。

  • 貴志祐介先生の他の作品と比較すると…って感じ

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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