青の炎 (角川文庫)

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著者 : 貴志祐介
  • 角川書店 (2002年10月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979068

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青の炎 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

  • 秀才で冷静、頭脳派な主人公の計画する完全犯罪と心の機微

  • 高校生の秀一が完全犯罪に挑み炎に焼かれていく。感情移入しすぎて犯行当日の朝からは焦りが止まらず、犯行後は動悸で息が苦しい。事実は死ぬまで離れないわけで、悲しい切ないというより、とても正気を保てない自分にとってはホラー小説です

  • 平成29年4月

    なんとなく手に取り、読んでみる。

    超、面白かった。映画になってたんだね。
    一気読みです。

    主人公と母と妹の楽しい生活に母の元夫が住み付き働きもせず、酒ばかり煽って、主人公たちの生活を一変させた。
    いろいろとあって、その元夫を主人公が殺すことを計画する。罪と罰で、殺す側、殺さない側の人がいて、殺す側の人間になる。そして、殺した後は、殺したことを生きている間葛藤する。それを分かっている中で、罪を犯す。
    そして、その後二度目の罪を…。
    そして、その後、それしかないよねって感じで完。

    しかし、二度目の罪は、ちょっと手抜きだね。
    でも、二度目ってそんなもんなのかな。一線を越えた後ってね。

    無敵の大門さんの言葉
    一度火をつけてしまうと、怒りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くすることになる。怒りだけはどんなことがあっても抱いちゃいけない。
    悪い人にいいように扱われても、自分の怒りで自滅するよりは、ずっとましな人生だと。

    日本人は、罪と罰のような強迫観念とは無縁だから、完全犯罪の殺人を行うには適しているのではないか。そんなことを考えていたが、殺人者の心を抉るのは、神へのおそれでも、良心でもない、心を締め付けるのは、単なる事実だ。自分が人を殺したという記憶。その記憶からは、一生逃れる事ができない。

    だから人を殺してはいけないとは言えないけど、人を殺すってことは、それだけ自分に返ってくるんだよね。人を殺す事によって、自分をも殺してしまうってこと。

  • きっかけは、やはり重松清「疾走」が好きならこの小説もおすすめです。って感じでググったら出てきました。評価も高いし、私の求める条件である、少年が主人公、閉塞感がある、やりきれない、切ない、哀しい、後味が悪い、が満たされていそうだったので読んでみました。



    結果、読書感想は人それぞれ。

    主人公が少年ってところだけで、それ以外は外れていました。

    殺されるのはどうしようもないオヤジ、読者の誰もがコイツを殺したくなるようなろくでなしです。設定上は実母の再婚相手で同居しています。コイツさえいなければ母親と妹と三人で幸せに暮らせます。

    主人公でこのオヤジを殺害する男子高校生は、割とどこにでもいそうで、推定かっこよくて、少し影があるのですが、そこがまた魅力的でヒロイン役の女子高生も出てきて、エエ感じになります、青春です。羨ましくて同情出来ません。



    この絵に描いた様な悪人のオヤジさえいなければ、絵に描いた様な幸せな家庭で、絵に描いた様な青春学園生活なのに。綱渡りな完全犯罪、読んでいて心配になります。やはりボロが出てしまい第二の殺人。悪人オヤジを殺す切実さに較べると第二の殺人は少し安易ではないだろうか?

    案の定、足が付きそうになり、八方塞がり。ロードレーサーでトラックに突っ込む自殺行為でバッドエンド。



    そこにやりきれない閉塞感はなかった。

    なんとなく展開も予想できて、サクサク読み進む。表現が難しいのですが、グイグイ押されて読み進めるのではなくて、ストーリーに引っ張られ読み進める感じなにですよね。

    第二の殺人の時には行間から血が滲んできました、この筆力は評価できます。

    が、私は行間から焦りが欲しいのですよ、行間に挟まれる閉塞感とかね。この小説にはそれがなかった。



    「疾走」とか吉田修一の「悪人」が好きな読者さんにはお勧めできない小説です。



    この著者の作品はあと「悪の教典」が直木賞候補になったのでそのうち、読んでみてもいいかなと思います。今度は「良い意味で期待を裏切って」ほしいものです。

  • 今年読んだ本で一番!!ゆれ動く主人公の心の描写に引き込まれる。タイトルの青い炎って、本人をも燃えつくす怒りの炎だったんだ!蜷川監督×二宮君主演の映画も小説の世界感を全く裏切ってなく心に残る映画だったが、原作は、登場する文学作品の引用文も物語とリンクして心に染みて、断然いい。全編暗く、切なく、途中息苦しくなるが、一気読み。貴志祐介さん、おどろおどろしいホラーのイメージが強かったけど、ほかにも読んでみようと思った。

  • 個人的点数:85点

    17歳高校生の櫛森秀一は母と妹の三人で暮らしていた。
    そんな中、母が再婚してすぐに別れた元夫、曽根が突然現れて平和が崩れていった。
    傍若無人にふるまう曽根に対し秀一は自らの手で曽根を葬り去ることを決意したのだった。

    読み終わった後、久しぶりに喪失感みたいなものを感じることができました。
    それだけ物語の中に入り込んでいたということだと思います

    秀一が緊張してるときには読んでるこっちも緊張してきて、どうなってしまうんだろうとドキドキしていました。

    何か一つタイミングだったり、考えが変わっていたら秀一の人生は全く違ったものになっていたのではないかと思います。



    2017.3.15  読了

  • 「青の炎」。このタイトルは本当に象徴的だ。
    主人公・秀一の心象風景が描かれている場面では、不気味で無機質な熱さが伝わってくる。
    家族のために殺人を計画する秀一。
    もちろん逮捕されることなど前提にはなく、いかに罪を免れるかを考えながら準備は進められていく。
    特別変わったところなどない、友だち付き合いのいい普通の高校生だった秀一。
    犯罪にはたいていどこかに穴があるものだ。
    綿密に練ったはずの殺害計画にも、思いもかけない落とし穴が待っていた。
    憎むべき相手を殺したために、憎しみも怨みもない人間を殺さなければならなかった秀一の哀しみが切ない。
    たった一人の人間が現れたために壊れていく幸せな空間。
    必死にそれを守ろうとした秀一が哀れでたまらない。
    若さゆえの暴走と言ってしまえばそれまでだが、もしも・・・と何度も考えてしまった。
    母親がもっと早くに真実を秀一に告げていたら。
    二度目の犯罪に手を染める前に思いなおしてくれていたら。
    秀一がした最後の決断が哀しすぎて、たまらない気持ちになった。
    純粋な思いだけが彼を支え、彼を動かし、そして彼を追いつめた。
    年齢を問わず一度は読んでほしいなぁと思った物語だった。
    文庫本の表紙にも写っているロードレイサー。
    物語で最も重要な役割を果たしているアイテムだ。

  • 高校生が家族を守る為、完全犯罪の殺人を企てる倒叙推理小説。
    主人公のストレスを濃密なまま体感できる、稀有な作品。
    湘南の海岸線をロードレーサーで通学する爽やかな面とは裏腹に、その心には青い炎が燃えたぎる。

    私も同じ年齢の頃、家族や級友に憎悪を覚えたことはあっただろう。だが、さすがに殺意は芽生えなかった。ではなぜ、17歳少年は実行に移そうとしたのだろうか。その経緯で明らかになる事実に、彼は困惑せざるを得ない。

    主人公の心理が、読者の心理に置き換わる錯覚に囚われる一冊。映像化された作品ですが、キャストを知らずに読めたのが想像力の妨げにならず幸いした。

  • 綿密に練られて、上手くいくように思われた櫛森の計画が最終的に破綻してしまう。最初に犯人の手の内を明かして、そこからどんどん暴かれていく様は、見ていて痛快。しかし、櫛森に対する同情も同時に湧いてくるという、いろんな心情にさせられた小説だった。

  • 普段はのほほんとしたお話ばかりだけどたまにはミステリーも読んでみようかしら、という軽い気持ちで読むのは間違い。名探偵コナンのトリック解説を飛ばして読む人間には向かない本だった。そもそもミステリー・サスペンスを好まないので良し悪しなんてわからない。とにかく合わない。

  • H28.12.20 読了。

    映画版をずっと観たくて興味があった作品。
    映画版を観るなら、その前に原作を読んでみたくて購入。

    このやりきれなさ。
    スカッとするかと思いきや、逆に不安になる日々。
    このリアルな空気が良くも悪くもたまらない。
    タイトルの「青の炎」、まさにその通りで納得。

    他の貴志先生の作品も集めたい。

  • 殺人を犯した後の罪の重さに苛まれていく様が、何とも恐怖心を煽る。警察や世間を欺いても、自分の良心まで騙しきることはできなかったのだろう。青の炎にその身を焼かれた、少年の哀しい物語。

  • すごく切ない… 最後の章で、すべてを知っても秀一の味方でいた紀子にうるっときた。
    秀一は、母と妹を守りたい思いから人を殺してしまう。けど、背景に色々な思いがあっても、殺人は殺人で、殺してしまったらもう取り返しがつかないし、人を殺したら、その事実・人を殺した記憶からは一生逃れられない。
    曾根が病気であったことを知っていれば、秀一も曾根を殺す計画なんてたてなかっただろう。けど実際にはそのことを知らないまま、知恵を絞って完全犯罪の計画をたてる。
    最後に秀一が選んだことは、悲しいけれど秀一らしいと思う…。この選択も、母と妹を守るためのもの。それと、秀一自身が人を殺したという事実に大分まいっていたと思う。
    秀一は、一部不気味で殺人者っぽいと感じる描写もあったけれど、殺人以外の部分で、普通の高校生にみえた。頭が良くて、家族思いの。

  • (犯罪をたくらんでいる)主人公を応援したくなる。ミステリー色よりも人間ドラマな感じが強いかも。まさに青い炎。悲しく儚いストーリー。

  • 青の炎は、儚く淡い青春の葛藤が度を超えた環境に侵食された上での漂い。
    秀一は果てなく純真で優しいやつ。

  • 人の心が変わっていく怖さを書くのが上手い

  • どうして?と悲しい。
    秀一は悪くないと思ってしまう。
    環境違えばすごい大人になっていけるのに本当に残念でなりません。

  • 人生初・倒叙推理小説。
    序盤は話がどこへ向かっているのかよくわからなかった。
    が、読み進めるうちに義理の父だった曽根への憎悪、恐怖、殺意。そして殺人に至る経緯や計画が緻密に語られていく……。

    そうか、倒叙推理小説とはこういうものなんだと初めて知った。
    スピード感はないものの、主人公の心理状態などが痛いほど感じられて、読み進めるうちに疲労感が溜まって行く小説だった。
    まるで自分も罪を犯してしまったかのような倒錯感も同時に味わった。

    おもろかった。ただ、本当に心が疲弊した。
    本の内容全体的に、題名のとおり青いイメージの落ち着いた物悲しさが残る本でした。

  •  湘南の高校に通う17歳の主人公、櫛森秀一が、母と娘を守るために殺人を犯し、完全犯罪を目論むミステリー小説。

     高校時代に仲間内で流行った小説。懐かしくなり十数年振りに本書を手に取ってみたのだが、驚くほどにその鮮烈さは色褪せていなかった。
    本書は「倒叙推理小説」と呼ばれるジャンルらしい。物語前半部分で犯人が完全犯罪を計画する形で手の内を明らかにし、実行。それが成功したと思われた時点で後半部分、警察や探偵が真相に近づき犯行を暴く、というものだ。

     おそらく私は本書以上に胸に迫る「倒叙推理小説」をまだ知らない。何度読んでも抗えない程の力で心を揺さぶってくる。それは特に、「真相が暴かれてしまうのではないかという胸を焼くような焦燥感」と、「読後に思わず呆然としてしまう程のやるせなさ」である。著者に心を焙られていると言っても過言ではない程、この二つは読者の胸に刻まれる。

     この二つの感情の起因となるものはおそらく一つのこと。それは秀一が完全犯罪を、殺人を犯そうとする「理由・動機」である。秀一は決して猟奇的、快楽的な殺人者ではない。秀才で論理的思考に優れているが、それは殺人者の要素とは言えない。彼が「人殺し」を実行したのは愛する家族を守るため、そして彼が「人殺し」に「ならない」ために完全犯罪を計画したのも、その家族のためなのである。愛する者たちを守るための自己犠牲、駄目なことだとわかっていながらも主人公の幸せを願わずにはいられなくなる。それが焦燥感とやるせなさを生むのだ。


     主人公の心に宿った瞋りは、ゆっくりと、静かに、際限なく彼の心を燃やし尽くしていく。その「青の炎」はいつしか読む者にも燃え移り、その胸を焦がすのだ。

  • 緻密なトリックよりは主人公の心情に重点を置いたお話。
    そのわりにはトリックのうんちくが長い・・・ちょっと疲れる。そこ以外はとても読みやすいです。
    読んでいるときは、高校生だからこそ悩む心情に切なくなるかな?結局自分勝手とも思えるけど。そこらへんは高校生だから仕方ないのか?
    邪魔な奴は「強制終了」という極端な考え方は
    恐ろしいですが・・・そこを突っ込んでると話が進まないので。
    学校の教材がトリックに使われたり、物語の引用に出てきたりして、そういや習ったなと思いだしました。
    山月記ってちょっと印象的な話だったな。

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青の炎 (角川文庫)の作品紹介

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

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