青の炎 (角川文庫)

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著者 : 貴志祐介
制作 : 角川書店装丁室 
  • KADOKAWA (2002年10月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979068

青の炎 (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 平成29年4月

    なんとなく手に取り、読んでみる。

    超、面白かった。映画になってたんだね。
    一気読みです。

    主人公と母と妹の楽しい生活に母の元夫が住み付き働きもせず、酒ばかり煽って、主人公たちの生活を一変させた。
    いろいろとあって、その元夫を主人公が殺すことを計画する。罪と罰で、殺す側、殺さない側の人がいて、殺す側の人間になる。そして、殺した後は、殺したことを生きている間葛藤する。それを分かっている中で、罪を犯す。
    そして、その後二度目の罪を…。
    そして、その後、それしかないよねって感じで完。

    しかし、二度目の罪は、ちょっと手抜きだね。
    でも、二度目ってそんなもんなのかな。一線を越えた後ってね。

    無敵の大門さんの言葉
    一度火をつけてしまうと、怒りの炎は際限なく燃え広がり、やがては、自分自身をも焼き尽くすることになる。怒りだけはどんなことがあっても抱いちゃいけない。
    悪い人にいいように扱われても、自分の怒りで自滅するよりは、ずっとましな人生だと。

    日本人は、罪と罰のような強迫観念とは無縁だから、完全犯罪の殺人を行うには適しているのではないか。そんなことを考えていたが、殺人者の心を抉るのは、神へのおそれでも、良心でもない、心を締め付けるのは、単なる事実だ。自分が人を殺したという記憶。その記憶からは、一生逃れる事ができない。

    だから人を殺してはいけないとは言えないけど、人を殺すってことは、それだけ自分に返ってくるんだよね。人を殺す事によって、自分をも殺してしまうってこと。

  • 読んでいる間中ドキドキして、ページを捲るのが怖くてたまらなかった。

    一人称が犯人パターンはヤキモキしてドキドキして心臓に悪い(^_^;)
    なのに読むことを止められない勢いのようなものがあり、没頭してしまう。

    この作家さんの小説は妙に感情移入してしまって危険(^_^;)

  • 今年読んだ本で一番!!ゆれ動く主人公の心の描写に引き込まれる。タイトルの青い炎って、本人をも燃えつくす怒りの炎だったんだ!蜷川監督×二宮君主演の映画も小説の世界感を全く裏切ってなく心に残る映画だったが、原作は、登場する文学作品の引用文も物語とリンクして心に染みて、断然いい。全編暗く、切なく、途中息苦しくなるが、一気読み。貴志祐介さん、おどろおどろしいホラーのイメージが強かったけど、ほかにも読んでみようと思った。

  • 貴志作品では一番と思ってる。罪を犯した後の苦しみがリアルに感じられる。「ようやく実感を持って理解することができた。人を殺すというのはこういうことなのか」眠っている間だけ忘れる事ができるが、目覚めた瞬間から悪夢が始まる。人を殺めてしまった事が夢ではなく現実だと悟ってから。

    切ない。

  • 高校生が家族を守る為、完全犯罪の殺人を企てる倒叙推理小説。
    主人公のストレスを濃密なまま体感できる、稀有な作品。
    湘南の海岸線をロードレーサーで通学する爽やかな面とは裏腹に、その心には青い炎が燃えたぎる。

    私も同じ年齢の頃、家族や級友に憎悪を覚えたことはあっただろう。だが、さすがに殺意は芽生えなかった。ではなぜ、17歳少年は実行に移そうとしたのだろうか。その経緯で明らかになる事実に、彼は困惑せざるを得ない。

    主人公の心理が、読者の心理に置き換わる錯覚に囚われる一冊。映像化された作品ですが、キャストを知らずに読めたのが想像力の妨げにならず幸いした。

  • H28.12.20 読了。

    映画版をずっと観たくて興味があった作品。
    映画版を観るなら、その前に原作を読んでみたくて購入。

    このやりきれなさ。
    スカッとするかと思いきや、逆に不安になる日々。
    このリアルな空気が良くも悪くもたまらない。
    タイトルの「青の炎」、まさにその通りで納得。

    他の貴志先生の作品も集めたい。

  • こんなに知力、体力、応用力、計画性、しかも思いやりまで兼ね備えた17歳が今の時代に果たしているのか。私は知らない。見たこともない。そう思いながら読み進めたけれども、人を殺すにいたる心情、殺してからの心境がすごく丁寧に描かれていて、いつのまにかすっかり引き込まれてしまった。これ読んだら人殺そうと思ってた人も思いとどまるんじゃないか、それだけの重みと切実さがあった。『山月記』や『こころ』と重ねて描くのも効果的。だって、主人公はそういう名作を国語の教科書とかで知るんだよ?もっといえば人殺しのトリックだって物理の授業の応用なの。ああやっぱりこの子は高校生の子どもなんだな、それなのにこんな重いものを背負わされて、そう思うと、泣けてしまうじゃないか。ここ数年、YAとかミステリとかをちょこちょこつまみ読みしてきたけれども、そういうのに求められるすべてが端正にそろってる圧巻の1冊なのではないでしょうか。

  • 終始重い話だった。主人公はサイコパスでもなければパラノイアでもない普通の17歳の少年。
    大切な家族の平穏な日常を取り戻す為に、完全犯罪を執行する。

    入念に叩いた石橋は少年の思った以上にもろく
    未成年故の詰めの甘さに(手馴れてたらそれはそれで問題だけど)読者は焦燥感に駆られること必至。
    ラストはもぅ息苦しくて、会話の応酬を追ってくのが辛かった。
    映像より活字の方が切迫感が半端ない。ハッピーエンドなんて最もかけ離れた話だけど、私はこういう作品が好きだったりする。
    “男性作家さんならでは”なディテールですが毎回一気に読ませる文章力は流石です。お陰で今日は食欲が…無い。

  • あまり読後感はよくない小説。
    たまたま、正月に実家に帰省した際、実家の本棚にあったので暇つぶしに読みました。

    家族のために完全犯罪を決意する少年のお話ですが、『悪の教典』を読んだ後なので、「ハスミンだったらもっとうまくやるよ!」みたいなことを考えてしまいました。

    読後感は、「おーぅ……」とアメリカ人のように額に手を置いて天を仰ぎたくなる感じでしたが、ストーリー展開の小気味よさは心地よかったです。
    着々と準備されていく殺人計画にもちょっとどきどき。
    少年ゆえの不完全さや危うさ、大人から見ると明確に経験が足りていない様子、その経験不足からくる思い込み等々が相まって、制止したい気持ちと励ましたくなる気持ちが交錯。

    まぁでも、殺しちゃだめだよ。

  •  サークルの同期の友達に薦められた本。2003年に映画化されていた事実すら知りませんでした。気に入った著者の本しか読まない傾向にあるので、いろいろな本を紹介してくれる友達はありがたいです。
     推理小説の一種(倒叙推理小説)なんだろうけど、従来の倒叙推理小説とは違う趣がある。概ね犯人側に立って「犯罪がバレなければ」という思いを抱きがちな人にとっては、ラスト100頁くらいは「気になってしょうがない」という気持ちで一気に読めるのではないでしょうか。伏線とかもしっかりしていて、ちょいちょい出てくるペダントリーも伊坂ほど気になりませんでした。万城目氏にしてもこの貴志氏といい、京大出身の作家は上手いですね。ポスト島田荘司世代も京大ミス研出身者が多いし。
     ラストもありきたりな終わり方ではなく、多少の余韻を残している。3時間ほどで一気に読んでしまった。読ませる力がある本だと思う。
     舞台が「鎌倉~藤沢」を中心となっているので、こういう場所にゆかりがある人はより一層楽しめるのではないでしょうか。最近のミステリとしてはよく書けていると思います。

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青の炎 (角川文庫)の作品紹介

櫛森秀一は、湘南の高校に通う十七歳。女手一つで家計を担う母と素直で明るい妹との三人暮らし。その平和な家庭の一家団欒を踏みにじる闖入者が現れた。母が十年前、再婚しすぐに別れた男、曾根だった。曾根は秀一の家に居座って傍若無人に振る舞い、母の体のみならず妹にまで手を出そうとしていた。警察も法律も家族の幸せを取り返してはくれないことを知った秀一は決意する。自らの手で曾根を葬り去ることを…。完全犯罪に挑む少年の孤独な戦い。その哀切な心象風景を精妙な筆致で描き上げた、日本ミステリー史に残る感動の名作。

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