青の炎 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979068

感想・レビュー・書評

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  • 母と妹とともに暮らす高校生の秀一。
    その家には母の元夫である曾根が住み着いていた。
    曾根におびえながら暮らす日々のなか、秀一は母と妹を守るため、曾根を殺害する方法を考えるのだが……

    ていねいな文章で書かれており、情景やキャラの心情がとてもわかりやすく、感情移入しやすい。
    気になって一気に読み進めたが、この本の最も素晴らしいところは本を閉じた後に訪れる読後感だろう。
    解説を含めて読み終えた後に、この物語について、とりわけラストシーンについて思いを馳せると、自然と目頭が熱くなる。
    紀子や大門といった同級生たちのあたたかさも魅力的だった。

  • 主人公が感じていた、奥底から滲むような静かな怒り。どうしてこうなってしまったのか考える程こちらも苦しい。
    展開や読後感も、とにかく苦しい物語でした。

  •  10年前に母と離婚した男が、家に転がり込んできたことでささやかで幸福な生活は壊された。法律も何も味方してくれない中で、愛する家族を守りたい、前のような生活を取り戻したい一心で高校生の主人公は男を病死に見せかけて殺す完全犯罪を目論む。
     家族のために企てる犯罪は、何一つ露見してはいけない、バレたら自分だけではなく家族さえも窮地に立たされるが故に見ていて息苦しくなるほどハラハラするものだった。主人公の葛藤や、少しだけ垣間見える高校生活の中の青春も、どれも主人公の完全犯罪を思わず願わずにはいられないもので、とても読み応えのある作品だった。
     この作品に合う切ない結末にも胸が締め付けられた。

  • あぁー、こんなに犯人の苦しい思いが伝わってきて、
    最後は読んでて辛かったよ。

    嵐のニノが映画でやってた、ということは知ってたけど、
    あらすじも、すっごく簡単にしか知らなかった。
    家族を殺す高校生、ってイメージだった。
    だから、早い段階で曽根が殺されて、
    「えっ!?あと残りのページは何があるの!?」って
    思いながら、読み進めていけたよ。

    最後の方で櫛森秀一(主人公)に対して、刑事さんが
    「君は、本当に、いい友達に恵まれてるじゃないか?」
    って、言葉にドンドン引き込まれていく感じがしたよ。

    すごく読んでて辛かった。
    幸せになってほしかった。

  • ハラハラドキドキ…!面白かった。
    すっかり主人公の秀一の気持ちになって読み進めていました。動機から犯行過程、その後の心理描写がすばらしい。

    最初から最後まで大切な人を守るための選択でしかなかった秀一。他に方法はなかったのだろうか、悔しい、切ない、悲しい、やり切れない思い。

    ただ最後、トラックの運転手のことも考えてほしかった。
    その人にも人生がある。

  • まったく何の予備知識も期待もなく読んでいました。
    ただ、貴志祐介さんだからおもしろいんだろう、ってだけで(笑)
    ああ、そういうお話だったの!って感じでしたが、心理描写がしっかりしていて、リアルであるかどうだろうかというのは置いといて、ああ、犯罪者ってこういう苦労があるんだ、、
    どうしてこうなったんだろうねぇ。
    っていう感じでしみじみと共感しながら読みました。
    苛立ちと、切なさと、甘酸っぱさと。それから、懐かしい、過去に勉強した内容とかも・笑
    自分の中のたくさんの感情が引き出される内容でした。
    その時代・まあ世代は違うにしても、若い時という意味では、共有できるものがあったりして楽しめました。

  • 紀子が決め手になるか
    と思ったけど
    切ねえ

    でも読み手にも
    こうだったら
    ああだったら
    こんな事には
    と擁護しちゃう気持ちにさせるんだから

    ほんと
    愛深き故に
    だわ

  • 学力優秀な高校生が家族を守るために元義父と元親友を殺害し、後悔と逮捕から逃れるために自殺する話。
    とにかく最初から最後まで暗い。迷惑+大柄な元義父を完全犯罪で殺害した時点では納得。しかし、そのことを脅迫した元親友をあっさり殺す辺りから「家族想いというより短慮でしょ」と共感できなくなった。そこからは最後まで暗い気持ちを引きずりながら読みことに……。
    それでもページをめくったのは、文章が読みやすく、海など自然の描写もリアル、そしてほんの少し出てくる学園ドラマが瑞々しかったから。そこだけ切り取れば☆4。
    だが、読後感は重い気持ちになるだけ。最後の一文に目を通し終わった瞬間「やっぱり読むんじゃなかった」と思ってしまった。

  • 好きな作家である貴志祐介さんの代表作ともいえる今作。
    私の周りで貴志祐介というと、この作品が挙げられることが多いです。恥ずかしながらやっと読むことが出来ました。
    作品の内容的に、私には星五つ付けることが憚られました。私自身主人公と歳も近く、変に気持ちが入ってしまい、かなり感情を揺さぶられ…。一気に読みましたし、とても良い作品であることには変わりないです。ですが、どうしても満点は付け難いかなと。悲しい作品でした。

  • 秀一の気持ち、紀子の気持ち、遥香の気持ち、母親の気持ち…。
    誰の立場になってもみんな、辛く切ない。
    もう少し待っていれば…。そんな後悔もツラい。
    ストーリー自体は暗めだけど、青春要素と湘南の情景が、少し緩和してくれます。
    これまでいろいろ読んだけど、ミステリー小説で泣けたのは初めてでした。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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