硝子のハンマー (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 648
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  • Amazon.co.jp ・本 (608ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979075

感想・レビュー・書評

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  • ドラマがめちゃくちゃ好きで、再放送も観てました!大野くんと戸田恵梨香ちゃんが最高でした♪

    硝子のハンマーが1作目というのが意外でした。ドラマ版だと最後だったような。

  •  厳重なセキュリティで守られた社長室で起きた密室殺人の謎を、防犯コンサルタントの榎本径(正体はかなり腕の立つ泥棒!)が解き明かす。
     トリックはかなり良くできていて、これを言うだけでネタバレになってしまうのだが、まさに「タイトルの通り」。さらに、犯人にとってこの犯行は過酷な生活を強いられてきた現状を打ち砕く「硝子のハンマー」であり、それと同時に、彼自身も、壊れやすくそして危険な「硝子のハンマー」だったのだ。

  • ボリュームを感じさせない読み応えがありました。
    このトリックは分からないです。もちろん犯人もわかりませんでした。
    癖のある主人公が、良い感じでした。

  • シリーズ化による本作の続編「狐火の家」「鍵のかかった部屋」を入手してから、シリーズ第1作にあたる本作を入手するのに時間がかかり、ようやく読み始めることが出来ました。

    読み終えたからこそ、弁護士である青砥純子と防犯コンサルタントの榎本径のコンビが今後もシリーズ化され、続編が既に手元にあるワクワク感がたまりません。

    本作は一言で言えば密室殺人の謎解き物語です。

    ただし、作品の構成は見事で、二部構成で描かれた作品の前半は殺人の容疑者となったベイリーフ久永専務の弁護人として登場する青砥弁護士と、謎解きの相棒役となる榎本が主人公として描かれています。

    本作の鍵を握るのは防犯コンサルタントとしての榎本の知識と推理力ですが、裏を返せばこれらは全て著者の取材力の賜物。

    密室殺人の謎を解く為、金で協力を依頼された榎本ではあるが、自ら不法侵入を行なったりと単なる報酬目当て(しかもその報酬自体は決して高額とは思えない)だけとは思えず、このあたりは榎本自身が少なからず青砥に対する何らかの思いがあるように個人的には思えて仕方がない。

    名探偵ばりの推理を実際に検証していくが、真相解明には届かずに第一部は終わってしまう。

    そして後半の第二部では真犯人である椎名章の視点で描かれます。

    しかも、いかにして彼が殺人犯へと変貌していくのかという本作の筋書きとは直接関係しない彼が育った家庭環境とそこから始まる闇金(ヤクザ)からの逃亡劇から描かれます。

    いくら不遇な状況であったとしても、窃盗や殺人などは肯定されるはずはありません。

    しかしながら、本作では章の不遇と、他人の名前を語り、佐藤学としての逃亡生活を丁寧に描くことで本作は一層深みを得たのだと思います。

    ラストのいわゆる種明かし。

    少し唐突な感があったが故の☆4つの評価になりましたが、殺人の手法が明かされるまではタイトルの意味がわかりませんでした(=タイトルがそのまま殺人手法になっていました)。

    最後の最後に描かれた消えダイヤの謎は多くの読者が榎本を匂わせるだけ匂わせて解き明かされることなく本作は幕を閉じます。

    このまま謎を残して榎本の物語が終わるのではなく、私には既に防犯コンサルタント榎本が活躍する続編があることを知っています。

    消えたダイヤの謎が続編で語られるのかどうかはわかりませんが、続編も楽しみに読み進めていきたいです。

    果たして榎本は真の意味で善人なのか?はたまた悪人なのか?


    説明
    内容紹介
    ミステリー界を仰天させた完璧無比の密室トリック、ついに文庫化!

    日曜日の昼下がり、株式上場を間近に控えた介護サービス会社で、社長の撲殺死体が発見された。エレベーターには暗証番号、廊下には監視カメラ、窓には強化ガラス。オフィスは厳重なセキュリティを誇っていた。監視カメラには誰も映っておらず、続き扉の向こう側で仮眠をとっていた専務が逮捕されて……。弁護士・青砥純子と防犯コンサルタント・榎本径のコンビが、難攻不落の密室の謎に挑む。日本推理作家協会賞受賞作。月9ドラマ『鍵のかかった部屋』原作!
    著者について
    ●貴志 祐介:1959年大阪生まれ。京都大学経済学部卒。1996年『ISOLA』で第3回日本ホラー小説大賞長編佳作となる。翌年『黒い家』で第4回日本ホラー小説大賞受賞。著書に「十三番目の人格-ISOLA-」「黒い家」「天使の囀り」「クリムゾンの迷宮」「青の炎」がある。

  • 普段はドラマの原作、と聞いて本を選ぶことはない。
    たまたま原作があることを本屋さんで知り、手にとってどんなのだろうとページを開いてみた。ふんふん、原作では弁護士の青砥さんが新人ではなくもう少し経験を積んでいて、芹沢弁護士はいないんだな。そして、主人公榎本は…、泥棒を本職とする防犯コンサルタント。

    ドラマは1話完結なのだけど、この作品はこの本でひとつのお話。
    トリックもすごいが、人間の作りこみもすごい。
    前半は榎本と青砥が事件の捜査をしていく。可能性を考えては捨て、天然な(青砥の)案を試しては捨てる。犯人はどうやってビルに忍び込み、監視カメラの目を掻い潜り被害者を殺したのか。そして犯人は誰なのか?
    トリックが明かされる前に、後半犯人の独白が始まる。
    この展開も、読者を(というかわたしを)引き込ませる。ただトリックをとくだけでなく、なんで犯人がこんなことをしようとしたのかも明かされる。新鮮です。普通だと、探偵(役)がトリックを暴き、犯人に突きつけて、観念した犯人が話し始める…というのが王道かと思う。でもこの話だと、犯人の生々しい感情が書かれていて、トリックを榎本に解かれて欲しくないような気持ちになってしまいました。

    泥棒なんてことをしている榎本の意外な正義感や、青砥の天然さがとてもいいです。
    どろどろ重たい場面もありますが、不思議に明るい読後感。
    ちなみに気になったのは榎本の好み。これはシリーズ2作目にも出てくるんですが、「知的な美女」に自分の能力をひけらかしたい欲望があるらしく(笑)
    現在第3作まで出てるのですが、もう2作目までは読破済です。榎本のことが明かされる(ことがあるのか分からないですが)のが楽しみです。
    そして原作者の喜志さんがおしゃってたのをどこかで読んだんですが、そのとおり、榎本の神経質そうなところが大野さんにぴったり。青砥は戸田さんをもう少し歳を取らせた感じで想像しながら読んでます。

  • あらすじ
    オフィスビルのフロアを占める介護サービス会社、ベイリーフ。上場を目指し、サービスの開発では、て言ってフサオマキザルという猿を「介護ザル」にすることを研究したり、介護ロボットを使ったりすることを目指している。しかしある日曜日、社長が死体となって発見される。副社長は婿。事故か事件かはわからない。結果長年勤めていた専務が疑われる。弁護人は青砥純子。社長は最近脳の手術を受け、頭蓋骨を開けていて、普通の人よりも頭に打撃を受けると危険だった。青砥は知り合いの弁護士から紹介された、「F&Fセキュリティ」の榎本に協力を仰ぐ。密室と思われた社長室に、専務が入ることは不可能だということを証明してもらうため。ふたりは介護ザルや、介護ロボットを利用した犯行の可能性を検討してはボツになっていく。
     さらに、専務と社長は長年、会社の金を横領していたことがわかる。その横領された金は社長室にあったようだ。しかし現金ではなく、おそらく貴金属のものだったんだろう。結局青砥・榎本は社長の死は事故したと考える。空調用ダクトに宝石を隠していて、それを取る時に転落したのではないだろうかと。ところが、突然榎本は気づく・・・
     第2章「死のコンビネーション」。椎名章。二十歳過ぎの青年。ベイリーフが入っているビルの清掃員。地主だった父親が家を傾かせ、闇金に手を出したことで人生が転落する。十代で、一人夜逃げをする羽目に。逃げる際、タチの悪いヤクザに怪我を負わせたこともあり、身分を偽らねばならなかった。引きこもりの同級生の身分を使って東京に逃げる。しかし、ヤクザは諦めが悪く、ひっそりと生きている章は油断がならない。お金があればもっと逃げることができるのに。もしくはヤクザたちに復讐してやれるのに。そんな時、オフィスビルの外壁の清掃をしていたところ、社長のダイヤモンドを見てしまう。あれを手に入れるために章は殺人を犯したのだった。
     その方法は…結末。介護ロボットに、寝ている社長ごとソファーを運ばせ、頑丈な窓ガラスに頭をひっつける。窓ガラス越しにボーリングの球をぶつけ、言わば窓ガラスで社長の頭を殴打したのだった。
     榎本はほんの偶然からそのことを見抜いたのであった。

     めちゃめちゃ面白かった。2004年に出版された作品。でも全然古びてない。今でも十分ドキドキわくわくした。連絡手段はFAXとかは懐かしいな。途中まではよく、エンタメミステリーかと思っていたが、二章目の犯人章のエピソード部分が、この作品に厚みをもたせていると思う。少し読み進めた時、「もしかしてこれ榎本のこと?」ドキドキしてしまった。ビルメンテナンス青年の犯人も頭がよく、サバイバル能力に長けている。この犯人の部分を読んでいて作者の『悪の教典』の主人公、頭脳明晰パーフェクトの犯人のことを思い出してしまった。本作の犯人は、親が作った借金取り立てから、必死で生き延びるためにいろいろ知恵を使っているから切迫感がある。確かに生き延びるために社長を殺害するというのはやり過ぎだったけれど、ここまで背景がしっかり書かれているのがこの作品の中身を濃くする要素になっているよ。肝心のトリック部分も全く予想できなかった。セキュリティ対策や、鍵の説明部分はちょうどいい量で面白かった。

  • 完全密室殺人の謎を暴く、女性弁護士と防犯コンサルタントの男。前半と後半で全く違うストーリー展開になっていて、違う作品を読んでるかのよう。防犯知識が詳しく述べられていて、普段いかに防犯に対して甘く考えてるか、泥棒がここまで駆使してるのかと思うと怖い。‬

  • おもしろい!

    犯人も犯行方法もそうだったのか、と思ったらそうじゃない!という事が数回
    現役の泥棒(?)じゃないと解けないトリックに感嘆した
    シリーズ物なので他のも読むのが楽しみです

  • ドラマ『鍵のかかった部屋』をきっかけに読んでみた。
    ドラマとは掲載の順番も違っていて、謎解きまでの流れがより複雑になっていて楽しめた。
    青木弁護士のイメージが戸田恵梨香さんがドラマでやっていたものと違っていて、そこの違和感だけ残念だった。これは小説のドラマ化などで、見る順番によって起こりうるものなので仕方ないが、個人的には評価が下がってしまう。

  • 前半はセキュリティに関して難しい話が度々あり嫌になってきたりしたが、後半はとっても面白く感じるようになったヽ(^。^)ノ

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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