狐火の家 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041979082

作品紹介・あらすじ

長野県の旧家で、中学3年の長女が殺害されるという事件が発生。突き飛ばされて柱に頭をぶつけ、脳内出血を起こしたのが死因と思われた。現場は、築100年は経つ古い日本家屋。玄関は内側から鍵がかけられ、完全な密室状態。第一発見者の父が容疑者となるが…(「狐火の家」)。表題作ほか計4編を収録。防犯コンサルタント(本職は泥棒?)榎本と、美人弁護士・純子のコンビが究極の密室トリックに挑む、防犯探偵シリーズ、第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 防犯探偵シリーズ第2弾!
    このシリーズは、防犯ってだけあって、密室殺人ばっかり!
    今回は、4つの殺人事件、要は短編集。
    何か、4作を通して分かったのは、青砥純子さんが、蜘蛛が苦手っこと(^O^)
    重い感じのから、軽いというかコメディータッチのまで様々。
    一応、コメディーっぽいのは、「黒い牙」なんやけど、部屋中に、タランチュラだらけって、逆に怖いかも(ーー;)とか、
    そんな古い純日本家屋も密室になるんやと驚いたり(狐火の家)となかなか。
    榎本&青砥のコンビは、掛け合いも良いし、面白いけど、密室になる度に、非合法な密室を破ってる人を弁護士が呼ぶか?とは思うな。
    小説やしええかo(^_-)O

  • 記録

  •  この作者はとても感情移入し易い文章を書く。

  • '22年7月21日、Amazon audibleで、聴き終えました。シリーズ作品中、聴き終えたのは三作目です。

    「ミステリークロック」、「硝子のハンマー」と聴いてきて…本作は、僕にはパワーダウンと感じられました。

    中では、どうかな…「狐火の家」が、やはり一番聴き応えがあったかな。結末も、イヤミスっぽくて、ゲンナリ。
    「黒い爪」に出てくるオタク(失礼!)が、気持ち悪くて、こちらもゲンナリしました。この辺は、語り手さんの力量を感じました。

    あとの2作は、僕にはイマイチだったかな。まあ、「硝子のハンマー」が強烈だったので、余計そう感じたのかも•́ ‿ ,•̀

    満足な点も…「黒い爪」では、純子さんが最後の解決を!これは、嬉しかったです。いつもお間抜けな純子さん、よく頑張った!アハハ♪~(´ε` )

  • ふふっと笑える

  • 短編集だとどうしても面白みが減ってしまう気がする。
    とはいえ、純子と榎本のコンビが好きになってきた。

    【狐火の家】
    単独犯ではなく、殺人の犯人とそれを隠蔽する父親が絡んでくるので最後まで犯人の予想すらできなかった。
    一家のメンツを守るために兄妹間の殺人を隠蔽する父親の行動は、バレなければ正しいものだったのかモヤっとした。
    ド田舎で起きた殺人だけに、人間関係のドロドロが絡むストーリーが見たかったけど家庭内で完結していて残念。

    【黒い牙】
    榎本が手動で推理していく方が好きなので、榎本が現場にも来ずに最終的に純子が結論を出したのは好みではなかった。
    もしかしたら現場の密室に巨大な猛毒の蜘蛛がまだ放たれているかもしれない状況はホラーのようなドキドキがあった。
    犯人じゃない方の男も癖が強くて面白い人だった。

    【盤端の迷宮】
    ああいう不正は本当に将棋界であるんじゃないかと、闇を見た気分。
    年齢制限がある奨励会に所属している人は犯罪を起こさなくとも物凄いプレッシャーがあるのだろう。
    時間の大半を将棋に捧げないと強くなれないのに、年齢制限を超えたら強制退会でいきなり社会に放り出されるのは少し残酷なのでは。

    【犬のみぞ知る Dog Knows】
    めちゃくちゃ犯人っぽい人が犯人だったという逆どんでん返し??笑
    プロの泥棒からすれば番犬なんてどうにでもなるもんなのね笑
    結局未だ榎本の正体はあかされず、彼に振り回されている純子が一方的に泥棒だの毒蜘蛛だの言っている関係性が面白い。

  • 長野県の田舎で起きた密室殺人を筆頭に4つの短編からなる密室専門のミステリー小説。どれもこれも本格的なトリックばかりであり、物理だけでは無く心理トリックなども駆使しながら密室を作り上げていると言うところが読者として飽きることが無く、読み進めることが出来た。最近出版されたばかりの2冊の短編集も時間を見つけて読んでいきたい。

  • タイトル見て気になり買った一冊。

    4つの短編の話だった。元々短編が好きでないので読んでてもの足りないというか、話の終わりがあっさりしすぎてよくわからない話もあり(自分の理解力のない為)、読んでて面白くなかった。

    防犯コンサルタントのダークな部分がでてなかったのが残念

    この防犯探偵シリーズは短編はもういいかなと思った小説でした。

  • 美人弁護士と防犯コンサルタント(本職は泥棒)のコンビが、密室殺人事件を推理するシリーズもの。

    「狐火の家」「黒い牙」が良かったです。他2篇は貴志祐介作品にしては物足りない。

  •  弁護士純子&防犯探偵榎本第2作。短編小説集。4編納められている。

    「狐火の家」・・・田舎の一軒家で娘が殺害される。強盗と鉢合わせしたらしい。しかし犯人が出て行った様子はなく、周辺では農家の人がずっと作業をしていた。密室だ。家の息子が軽犯罪歴ありだったため、純子が一人暮らしの場所を訪れると女性が殺害されるという事件が起こっていた。実は実家には金塊があった。また、息子が実家に立ち寄ったさい、諍いで妹を殺害してしまい、その息子を父親が殺害したのだった。父親は犯罪の手がかりを隠すために息子の部屋に行くが、そこで息子の友人と鉢合わせし、彼女も殺したのだった。息子はまだ農家の便槽?に金塊とともに沈められている。
    《感想》4編の中で一番前作にイメージが近い。つまりシリアス。むしろ貴志祐介のホラーっぽい。はじめは農家ののんびりした事件かと思っていたが、どんどん内容が薄暗くなった。そしてタイトルの「狐火」というのを思い返してみると、家族間のドロドロした心情というのがそうぞうできる。

    「黒い牙」・・・純子が事件を解決。榎本は電話越しにいくつかアドバイスをするだけでほとんど登場していない。黒い牙というのは大きな毒蜘蛛。タランチュラのような。この本の中ではタランチュラで亡くなった人は1人だけと書いてあったけれど、本当なのだろうか。そのタランチュラよりも、もっと毒の強い蜘蛛を愛する人が被害者。犯人である妻が、生きた蜘蛛を使って着ぐるみを作るというところは、気持ちが悪かったけれども、あまり下品にならないように書いているので読めた。このあたりのバランスは作者の上手いところだと思う。

    「盤端の迷宮」・・・若手の将棋棋士がビジネスホテルで殺害される。将棋にも詳しいのか、榎本。決め手となるのが携帯電話。この作品が発表されたのは2007年なので、少し時代を感じた。

    「犬のみぞ知る」・・・前作「ガラスのハンマー」で登場していた元社長秘書の女性。彼女は小劇団の女優。所属する劇団主催者が自宅で撲殺された。鍵になるのは飼い犬。誰にでも吠えるが吠えない人物もいる。しかし榎本に言わせると、犬を手なずけるのは簡単。結局犯人は初めからみんなが薄々思っていた男性。この
    《感想》このパートは余興?全体的に演劇風のセリフ回しだし、殺人を平然と捉えている様子や、みんなが疑っている容疑者が普通にその場で会話に参加しているというところも小劇場の演劇なんかでありそう。お芝風の一編。

    《感想》バラエティに富んだ作品。例えば、蜘蛛にまつわる蘊蓄や、将棋の話なんかも盛り込んでいて面白い。それに「狐火の家」のようなシリアスさもあれば、「黒い牙」のように意表を突かれた事件もあるし、「盤端の迷宮」は手堅い印象。純子は榎本に協力を仰ぐ割に、ちょいちょい榎本の犯罪者の空気を感じて、「信用できない」と思い直している様子が面白い。榎本もアドバイスしながら完全に犯罪者目線で話しているところも笑える。

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著者プロフィール

1959年大阪生まれ。京都大学卒。96年『十三番目の人格-ISOLA-』でデビュー。翌年『黒い家』で日本ホラー小説大賞を受賞、ベストセラーとなる。05年『硝子のハンマー』で日本推理作家協会賞、08年『新世界より』で日本SF大賞、10年『悪の教典』で山田風太郎賞を受賞。

「2023年 『梅雨物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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