ナンシー関の記憶スケッチアカデミー (角川文庫 な 30-9)

著者 :
制作 : ナンシー 関 
  • KADOKAWA
4.01
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本棚登録 : 953
感想 : 126
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041986097

作品紹介・あらすじ

「記憶スケッチ」とは、提示されたお題を記憶のみに頼って描くこと。「カエル」「パンダ」「鉄腕アトム」「ランドセル」など、お題は一見簡単に描けそうなものばかり。ところが全国から寄せられた大量のサンプルが、「人間の記憶」のあやふやさを暴き出してしまう。「何でこんなになっちゃうワケ」と笑っているあなた。「カマキリ」を何も見ずに描けますか…?一度読み始めたら止まらない、抱腹絶倒の「症例」の数々。「天才」ナンシー関の最高傑作、待望の文庫化。

感想・レビュー・書評

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  • 最近『変な絵』という本が人気だが、本書の絵は"変"という表現を超越したものばかりだ。

    3歳~94歳まで幅広い年齢の人に、何も見ずに記憶だけで絵を描いてもらっている。
    お題は「カエル」「ペコちゃん」「エビ」など20個。

    とても上手いものから、何を描いたの?という酷いものまでイロイロ。
    まあ、ひと癖もふた癖もある絵を選んだのでしょうが、ナンシー関さんがそれらの絵にコメントを書いている。
    素晴らしい絵は絶賛しているが、酷い絵に対してはボロクソです。

    こいのぼりの絵では「重たそうだし生臭そう」、鬼の絵では「近所のバカのよう」、サンタクロースの絵では「この人は盗人で背中の袋の中は盗品」など言いたい放題です。
    歯に衣着せぬコメントを読んで再度絵を見直すと実に的を射ており面白い。

    面白いので他にも幾つか紹介しておくと、
    小便小僧の絵では「単に小便をする一般の小僧」、自由の女神の絵では「場末の金髪ストリッパー」、フランケンシュタインの絵では「何か悪い病気にかかった人」といった感じ。

    酷い絵には笑ってしまうが自分も同類だ。「金太郎」を描けと言われたら……「んっ?どんなだっけ?」となる。

    第二部は考察で、第一部で紹介した絵をもとに、「画年令」や「眉毛問題」「擬人化」「自分化」「余白」など絵から読み取る人間性?について掘り下げている。
    第三部は、押切伸一氏といとうせいこう氏を交えた座談会。

    孫のためなら何でもするじいさんも、「じいちゃん、絵描いて!」と言われると「ばあちゃんに頼みなさい」となる。
    これは字が下手と絵が下手は異なるからだ。大人は絵を描かなくても生活していける。絵は嫌なら避けて通れる。

    パソコンではテキストは少ない容量で済むけど、画像になると急に容量が増える。
    ちゃんと絵が描けないのは、多くの人は画像をテキストで記憶しているのではないかと考察している。
    確かに「金太郎」を描けと言われたら、姿はぼやっとしているが、お腹に金という字が書いてありマサカリを持っていると特徴は文字で記憶している。

    絵では顔のあるものは左向きになりがち、自転車なども進む方向(前)が左になりがちという傾向がある。
    そういう絵が多いし、自分もおそらくそのように描く。これは利き手が右のせいかな?
    普段から見慣れているからかも知れない。よく見ている「野鳥図鑑」の鳥も左向きだ。
    右向きで描けと言われたら難易度が増すな。

  • 先日読んだ平松洋子さんのエッセイに登場して
    面白そう!と借りてみました。

    「〜記憶のあやふやとスケッチのうやむや〜」
    雑誌で1996年に始まったというこの投稿企画。
    お題があって記憶だけを頼りに絵に描く。
    今ならすぐに検索しちゃうところでしょうが
    まだインターネットも普及していなかった時代。

    いやはや…
    その、はちゃめちゃな絵(失礼!)にビックリ。
    でも実際やってみたら、わたしも全然描けないだろうなぁとは想像がつきます。
    「カエル」「ぺこちゃん」「小便小僧」「スフィンクス」とお題を出されても、果たして線さえ描けるのだろうか。。。たぶん全くダメでしょう

    投稿された絵に添えた
    ナンシー関のコメントがまた超・面白い!
    細かい所まで観察。ばっさり、痛快です。

  • 抱腹絶倒というのはこういうことをいうのだろうと、この本を読みながら思った

    提示されたお題を記憶だけに頼って描いてみることを
    「記憶スケッチ」というのだそうだ
    『通販生活』に投稿されてきた絵から厳選したものにナンシー関さんがコメントをつけられたもの

    今回のお題は
    カエル、ぺこちゃん、海老、ウルトラマン、小便小僧・・・と20にもおよぶ

    自分が描けもしないのに、投稿されてきた絵を見て、お腹を抱えて笑わせてもらった
    涙まで出して・・・本当にごめんなさい

    お題とは似ても似つかぬ不可解な絵のおもしろさと相まって、その人一つ一つに添えられたナンシーさんのコメントが最高なのだ

    例えば「ぺこちゃん」に投稿された一枚の絵に対して

    「これは大空真弓さんです。そっくりです。『週刊朝日』の山藤章二の似顔絵塾に出したら入選するかもしれません
    ぺこちゃんじゃないことに関しては、もはや言うまでもありませんが」
    とのコメント

    なるほど、本当だ!大空真弓そっくりと唸ってしまい、最後のバッサリ一言に吹き出してしまう

    また、「カエル」の絵に対して

    「上手く見せようとか、少しでもカエルに近づけようとか、そんなことより元気が一番。子供のうちはそれで十分、と思ったら45歳!? 何という大人気なさ。奇跡かもしれません」

    ページをめくると、次から次へと楽しい絵とコメントが続く
    何か肩の力が抜けて、心の底から笑わせてもらった

  • かなり笑える。

    出されたお題を、記憶だけに頼って書くことを「記憶スケッチ」と本書では呼んでいる。お題は、例えば、カエル・ペコちゃん・海老・ウルトラマン、等。読者の「記憶スケッチ」の投稿を、ナンシー関がコメントをつけて解説している本。
    実際に、例えば、海老を記憶だけに頼って書いてみて欲しい。私も書いてみたが、とても海老とは思えないものしか書けなかった。人間の映像記憶が、すごく曖昧であることが、よく分かる。
    読者の投稿した絵も笑えるが、ナンシー関の解説も同じくらい笑える。

  • シュールな笑いが好きな人には、聖書のような一冊。
    作者のような鋭い返しができたら良いなと思って、たまにこれ読んで勉強してます。

  • 産経新聞のビブリオエッセーに紹介されていたので、読んでみようと思いました。提示されたお題を記憶のみに頼って書くこと。なのでこちらの本を読むときはすっと笑いながら紙とペンをご用意ください。思い込みって怖い。あれここ、こんな感じだったかななどいろんな人とコミュニケーションを取るのにいいかも。このご時世ズームとかでもお互いにお題を出して遊べそうですね。

  • なんでこうなっちゃうの~!?と思いつつ、
    自分で描いた絵も似たようなものだったり。

    投稿作品のヘロヘロぶりと理事長の絶妙なコメントに笑いすぎて息ができなくなり、
    休み休み読みました。
    そんな理由で、薄いのにやたらと読むのに時間がかかった一冊です。
    笑って免疫力アップできそう☆

  • 最高!
    笑いがとまらない。
    絵もおもしろいけど、添えてあるコメントのセンスのよさよ。

  • 本当におもしろい。

    きちがいじみた作品が並びますが、それだけではただの「ファニー」。そこにナンシー関の絶妙なコメントが加わることで「インタレスト」に昇華しています。

    ゲラゲラしますので、電車など旅の友にはなりません。

  • 購入した当時、めちゃくちゃ笑った記憶がある
    たぶん今引っ張り出してきて読んでも笑うと思うw

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著者プロフィール

1962-2002 青森県生まれ。法政大学中退。消しゴム版画家。雑誌のエッセイや対談でも活躍中。著書に『ナンシー関の顔面手帖94夏』『信仰の現場』『小耳にはさもう』ほか多数。

「2014年 『語りあかそう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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