苦悩の英雄ベートーヴェンの生涯 (角川文庫 赤 ロ 4-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042035114

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  • ロマン・ロランの伝記三部作のうちの一つ。

    ベートーヴェンの偉大さは音楽だけにあらずというのを改めて認識した。
    不幸が束になって、次から次へと降りかかってくる。それでもベートーヴェンは屈しない。人生から「何くそ、何くそ」という音楽が聞こえてくる。リングに沈んでは立ち上がるファイターのように、見る者の胸を打たずにはおかない。不幸で、貧乏で、障害があって孤独な彼を、励ましたいとか、寄り添いたいとか、救いたいとか、そんな気持ちは沸かない。見る者はただ畏敬の念に打たれ、「何くそ」という灯火をうつされる。それが偉大な生き方の証なのだと思う。
    ロマン・ロランはそれを読者に見せたかったのだと思う。偉大な人生も、見出し、書き残す人がいなければなかったことになる。
    今を生きる偉大な誰かの人生もどうか見出されますように。

  • 作者のロマン・ロランが自分のベートーヴェンに対する熱い思いから書き切ったと記す伝記。父や甥との関係、聴力の悪化、作品を発表しても楽にならない暮らし、大恋愛と失恋、道徳感…「狭き門」を読みながらも思ったが、昔の人の潔癖さと生きにくさ、みたいなのは時代のせいなのか。手紙でしか繋がれなかった時代ならではのフラストレーションも相まって、切なくなってくる。もしも彼に支えてくれる家族があったなら、もっと穏やかな人生が送れたのか、でもこの人生だからこそ数々の作品が生まれたのか。今また別の意味で生きにくい世の中、命を絶つ人も少なくない中で、何が正解なんだろうかと考えてもどかしい。

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著者プロフィール

1866年、フランスの中部クラムシーに生まれ、1944年に没する。作家、音楽史家。第一次世界大戦中は反戦論を唱え、第二次世界大戦中も反ファシズムをアピールした。文学や芸術の領域で活動するだけでなく、現代社会の不正と戦い、人権擁護と自由を獲得するために政治的・社会的論争を起こし行動した。1915年、ノーベル文学賞受賞。主な作品に、大河小説『ジャン・クリストフ』、『魅せられたる魂』をはじめ、『ベートーヴェンの生涯』や『戦いを超えて』、『インド研究』などがあり、そのほか、小説、戯曲、伝記、自伝、評論、日記、書簡などの膨大な著作がある。

「2023年 『ジャン・クリストフ物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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