にんじん (角川文庫クラシックス)

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制作 : Jules Renard  窪田 般弥 
  • 角川書店 (1962年7月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042214014

にんじん (角川文庫クラシックス)の感想・レビュー・書評

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  • どんな話かは一言で言い表せない。一話一話が2~3ページで収まる短編集のような構成となっている。一見すると、にんじん一人だけが、他の二人の兄姉に比べて母親に冷遇されてひどいことをされるという悲しい話とも捉えがち。しかしにんじんがそのことに関して特別悲嘆にくれ続けているわけではない。日常のことに関して男子のよくある見栄心とかそういった感情が多く書かれている。それに、ではにんじんが聖人君主のような人間なのかと言われれば、ザリガニ捕りのために猫を殺したり、寧ろその対局にあるような行動が多い。そのため、一重に悲劇とは言い切れない。
    この話は恐らくにんじん目線での様々なエピソードを書いているもの。なのでこの話を読んでいくとにんじんの母親に対する心情なんかも段々わかってくる。わかってくるが、物語は特に終始進展も後退もない。一応、最後の話でにんじんは希望を父親に打ち明けるが、これまでどちらかといえば味方だった父親に打ち砕かれて終わる。ここの話で一気に父親に対する読み手の好感度が下がるなぁ。
    このにんじんと母親の関係はどうして生まれたのか、作中では語られない。そこもモヤモヤするし、晴れ晴れとした最後でもないし、読みやすい長さと文章にも関わらず意外とすっきりしない話だという印象を受けた。まぁ何に対しても1つのジャンルにして一言で言い表そうとするほうが無理があるのだろう。

  • 赤毛のアンの男の子バージョンに近い。
    子どもに読ませたい一冊。

  • これは大人が読む本だと今さら気づいた。子供の頃読んだ気がするがたぶん子供向け版だったと思う。赤裸々な自伝である。子供時代の思い出は無邪気なだけではないはずである。両親のいやな面を見たり、残酷なことを楽しんだり(動物だけでなく人に対しても)、異性に性的な感情を抱いたり。みんなが平気で忘れて向き合わない恥ずかしい子供時代。これこそがこの作品の素晴らしさだ。読んだきっかけは大竹しのぶのミュージカル「にんじん」を見たからだが、原作には悪役の母親も正義の味方の女中も純粋な主人公も出てこない。とても人間らしく、時に懐かしく時に失望させられるそんな家族、仲間、知り合いたち、にんじん本人だ。

  • 題名が有名ランキングではかなり上位に来るであろう、しかし実際には読まないよなランキングでも上位に来そう、なんだけども、とりあえずにんじんが何を意味しているかは割とすぐに分かった。母親と息子の関係ってのは今も昔も重要なテーマなんだろうけど、こゆのを心理学的に読み解こうとする現代医学というかカウンセリングの類とか、無い時代には、本を読んで何かを知ろうとしたんだろうか。でもってこれが名作と持て囃されるのは、そこに何がしかの共感を得る人が多いという事なのか。
    しかしガキンチョの頃から銃をぶっ放すような時代を見るに、銃を規制するのと銃犯罪がなくなるのは全く関係ないっていう話か。動物を簡単にぶっ殺せなくなったのが問題という事で、銃犯罪の増加の原因はきっと動物保護団体にあるに違いない。

  • 1998年 読了

  • 日本ブック・クラブ出版のこども名作全集44を読了。同じ本がブクログ上(アマゾン上?)に無いので検索で一番上に出てきたこちらを登録。皆川博子の「空の果て」に出ていて手に取った。
    優しさは他人に与えても自らに返ってくることは稀だ。そうだとわかっても他人に与えることを止めない人間って、そうそういない。でも、世界はそういう人になかなか気付かない。

  • 愛に溢れた家族、愛に乏しい家族という矛盾した二つの家族の形が混在したルピック家。
    その中で、生きる「にんじん」。
    愛されたい、という悲痛な叫びが聞こえた。

    宗左近氏の解説を読み、なるほどと思った。

  • にんじんについて思うことは様々だ。
    ルナールの著書って非常に独特なのだ。
    フランスの作家は概して文章に独特な冷めたところが垣間見える。
    運が悪いと鼻にかけたような部分すら垣間見えることもあるのだが、ルナールのそれはなんというか独特、冷め切っている、いやむしろ異様に残虐な部分が垣間見える。
    前に『博物誌』を読んで私が感じたのは、文学的でも詩的でもない不思議な世界観だった。でもだからといって女性受けしそうなほんわかとした空気を持っている訳でもない。諧謔にとんでいるといえるのかもしれない。
    トゥーサンやギベールのそれだと、非常に近しいものを感じるが、ルナールはなんだか遠い。時代性のものか、と私は常にかたづけてしまっている。


    本著『にんじん』はルナールの自伝的な作品で、幼い頃の日常を描いている。
    こう聞くとなんだか、心温まるものを想像できるがそういったエピソードとしては非常に少ない。
    意地悪の度を超している母親、ひねくれの枠を大幅に超えた残虐性を秘めた少年。
    どちらかといえば、へこんだり気持ち悪くなったりする部分が多い。
    なんとも、


    それで巻末添付の文章を読んで思ったのは、この作品における解釈の違いだ。
    視点の位置の違いによって、これを少年の自我の芽生えと自立の物語と取るか、単なる虐待の吐露と取るか。
    正直それは読み手によって大きくかわるようだった。
    絶対にこっちだ、なんていう断定を私は感じないが、どちらにしろ残虐性に関する素直さというかセンシティブな表現は直質的ではないものとしては秀逸だと思う。


    結局やはりルナールってわからない作家だな、というのが私の感想。

  • 無邪気で強かなにんじんが大好きです。そんな彼なので、ときどき感情を露わにしてるときゅんとします。
    おしっこもらしちゃう話と、寮の話が好きです←

  • いじめられっ子の立場において
    家庭内に居場所を見いだしている男の子がいる
    彼は本当の名前を剥奪され
    「にんじん」というあだ名でしか呼んでもらえない

    家庭内にある歪みの中心に「にんじん」は立っていて
    そこに決定的な亀裂が入らないよう押さえている
    そんな「にんじん」を家族たちはむしろ
    愚図で意気地なしのどうしようもない奴だと考えている
    …そういう形で家族たちは「にんじん」を愛しており
    また「にんじん」も家族を愛してはいるのだが
    ときどきいたたまれなくなる彼は
    自分より弱い誰かを見つけてきて
    自分がされる以上の残酷な目にあわせたりもする

    さて、この家族たち…直接「にんじん」をいじめるのは主に母親だが…
    彼らの家庭生活における幸せはどこにあるのだろう?
    あまり世間体を気にしている風でもないのだけど

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