Zの悲劇 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042507178

作品紹介・あらすじ

黒い噂がつきまとう州上院議員の刺殺事件。アルゴンキン刑務所を出所したばかりの元受刑者が逮捕され、死刑判決が下された。サム元警視の魅力的な娘で鋭い推理の冴えを見せるペイシェンスと、元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンは、無実を訴える男を救い、真犯人をあげることができるのか?刑執行へのカウントダウンが始まった!最高の新訳が名作の隠れた魅力に光をあてる疾走感溢れる傑作ミステリ。

感想・レビュー・書評

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  • Zの悲劇という題が適切か疑問に思った。面白かったけど、Yの悲劇には届かないな

  • 面白かったけど私が求めていたドルリーレーンはこれじゃない感。XとYが楽しすぎたのかな。

  • ☆4.0

    『Yの悲劇』から十年、ニューヨーク市警を退職したサム元警視は私立探偵として今も犯罪事件と戦っている。
    長年ヨーロッパ各地を旅した娘のペイシェンスが帰国し、父娘の生活を楽しめるようになった頃、ある依頼を受けて州北部へと向かった。
    調べようとしていた黒い噂を持つ医師アイラ・フォーセットには、同じく黒い噂ばかりで選挙を控えた州上院議員の弟ジョエルがいる。
    難しい調査になるかと思われたが、ある夜、ジョエルが刺殺されてしまい、捜査経験をかわれたサムとペイシェンスも呼ばれ、事件に関わることとなる。
    ジョエルに脅迫の手紙を刑務所から送っていたエアロン・ダウが捜査線上にあがり、しかもダウは事件当日にアルゴンキン刑務所を出所していたことも判明する。
    容疑者となったダウが発見されそのまま逮捕されてしまうが、ペイシェンスは鋭い推理でダウの無実を導き出す。
    しかしその推理は物証がなく、受け入れられなかった。
    ペイシェンスとサムの二人は、無実を訴えるダウを救うためドルリー・レーン意見を聞こうとハムレット荘へと向かう……

    ペイシェンスの一人称で書かれているので、前二作と少し雰囲気が違うかもしれない。
    前半はペイシェンスがどんな人なのかがわかるようになっている。
    客観的にも美人で頭の回転が速く、生意気に思われようとも言うべきは言う気概を持つ女性で、レーンの存在感に負けない輝きを持っている。
    七十歳になり、少しだけオーラの勢いに衰えが見えたかに思われたレーンも、また事件に関わることで目のきらめきを取り戻していく。
    のだけども、レーンさん、ここで大失敗をしてしまうんです。
    精彩を欠くレーン、やはり寄る年波には勝てないのか。
    ペイシェンスも頑張りますが必要な物証が見つからず、ついにはダウに死刑判決がくだってしまう。
    ここからはタイムリミットサスペンスの如く、死刑執行までに真実を解き明かすことができるのかとスピード感が出てくる。
    ここからが今作一番の見せ所ですね。
    レーンの行う消去法推理の綺麗で見事なことったら。
    端的に容疑者を減らす指摘をし、そこに疑問を挟ませない。
    熟練の技を見せられた感じ。

    前作の終わりから私の中で、もにょもにょしてるところがあるので、『Zの悲劇』でもちょっともにょもにょしてるんです。
    レーンがしてしまった大失敗、あれ本当に失敗だったの?って。
    わざとじゃないよね?って。
    だって、エアロン・ダウって、殺してはいないけど、脅迫はしてたじゃん。
    ちゃんと事件は解くからちょっとの間くらいヒヤヒヤしてなよ、って思ってなかったかなぁって。
    ペイシェンスの一人称のせいか、いつもにも増してレーンの思いがわかりにくい。
    もにょもにょする。

    次はついにこの四部作の完結編。
    『レーン最後の事件』に向かおうと思う。

  • 元シェークスピア劇俳優の「探偵」ドルリー・レーンが難事件に挑む。「Yの悲劇」につづく、シリーズの3作目(ちなみに、本作では、レーンが現場に合流するのは作中の途中から。)
    NYPDの警部だったサムは、その後市警を退職して探偵事務所を開業しており、探偵として登場。
    さらに、その娘パティも登場。父の「捜査」を手伝う。ちなみに、シリーズ前2作と異なり、本作はパティの一人称で語られる。

    小説の舞台はアメリカNY州の北部。刑務所がある小さな町だ。ここで連続殺人事件が起こる。上院議員と、悪徳医師の兄弟が凶刃の犠牲となる。

    このつまらなさは、なんだろう。

    真犯人の意外性は十分で、終幕の真相解明のパートに少々のカタルシスはある。
    だが、この部分の醍醐味をもってしても、全編の冗長さ退屈さの読後感は依然として残る。

    犯人の動機もまた納得のいくものではない。これがありなら、誰でもありという気がする。

  • 探偵ドルリー・レーン四部作の内の三作目。前二作(Xの悲劇、Yの悲劇)とは趣を異にする作品。

    この終わり方では解決したとは言えないのでは?レーンらしくない。

    解説の最後の一文が我が意を得ている。

  • X、Yほどの面白さはなかったものの、犯人を突き止める消去法的推理は面白かった。

  • バーナビー・ロス(=エラリー・クイーン)によるシリーズ3作目。
    ドルリー・レーンによる推理が光る『Zの悲劇』

    X・Yに比べ、とてもスラスラ読め、分かりやすい印象でした。
    というのは、レーンのいつもの、シェイクスピア云々の引用が少なめだったのが原因のひとつ(私にとってはw)
    もうひとつは、サム警視の娘のペイシェンス・サムが語り手となり、一人称で物語が進んでいくという所にあるようです。

    舞台はアルゴンキン刑務所。
    サムは警視引退後、私立探偵業に従事していた。
    エリヒュー・クレイという実業家から、共同経営者の不正を暴いてほしいという依頼を受ける。
    サムとサムの娘ペイシェンスは、彼の家に泊まり込み捜査をするが、捜査対象の悪徳議員ジョエル・フォーセットが何者かに殺害される。
    残された手がかりから、刑期を終え釈放されたばかりのエアロン・ダウが容疑者に。
    どうしても彼が犯人だと思えないサムとペイシェンスは、レーンに捜査の助言を依頼する。

    『Yの悲劇』から10年後の話で、レーンは70歳の年齢で登場する。
    以前のような若々しさは衰えて見るからに身体が弱ってしまっているが、洞察力は変わらない。
    ペイシェンスはレーンを敬愛する、聡明で洞察力に優れた美しい探偵。
    『レーン最後の事件』にも出てくるのかなぁ。

    年老いたレーンも、魅力は変わらないです!
    安定の面白さでした♪

  • サム警視の娘が語り手となるストーリー。
    古い小説だから古風な女性になるのは仕方ないけど、やっぱり現代の感覚ではイライラする…
    そして前回に引き続きどころか更にダメダメになっていくレーン…かっこよくない。
    利き手と利き足の関連性ってそんなに正確に分類できたっけ?と謎解きにもモヤモヤ残る。

  • 元警視サムは引退、ブルーノ検事は知事になり、レーン氏は老い。
    X,Yからかなり時間がたった今回の事件は語り手がサムの娘ペイシェンス。
    殺された上院議員の事件を追って、ペイシェンス、サム、レーンが動く。無実の男を処刑の電気椅子から救えるのか。

    というあらましなんですけども、うーん、X,Y,Zを読み終わりましたが、面白さの順位を個人的につけるなら、X,Y,Zでした。
    作者であるエラリィ・クイーンは二人共著のペンネームで、どういう風にかき分けていたのかははっきりしないらしいがX,Y,最後の事件とこのZはメインで書いた人が違うという説があるらしいです。その説に一票です。
    内容が違い過ぎる。完成度とか文章の表現とかそういうことではなく、手掛かりの公平さという部分で。

    順番に読んだった!という征服感は味わえました。
    「最後の事件」をどうするかなー・・これも評価がわかれるみたいなのでぇ・・・。(悩)

  • 久しぶりに古典的なミステリー読んだ。越前先生の翻訳も、翻訳本らしくて良い。

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著者プロフィール

エラリー・クイーン。フレデリック・ダネイとマンフレッド・B・リーの合作ペンネーム。従兄弟同士で、ともにニューヨーク、ブルックリン生まれ。1929年『ローマ帽子の謎』で作家としてデビュー。ラジオドラマの脚本家やアンソロジストとしても活躍。主な代表作に『ギリシア館の謎(32)、『エジプト十字架の謎』(32)の〈国名シリーズ〉や、『Xの悲劇』(32)に始まる〈レーン四部作〉などがある。また編集者として「エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン」を編集、刊行した。

「2021年 『消える魔術師の冒険 聴取者への挑戦Ⅳ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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