Forsyth Collection II 囮たちの掟 (角川文庫 フ 6-23 Forsyth Collection 2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784042537236

作品紹介・あらすじ

タイ・バンコク発ロンドン行きの飛行機中と、ヒースロー空港の税関を舞台に密かに繰り広げられる麻薬取引を巡る攻防を描く表題作ほか、著者初挑戦のラブストーリー「時をこえる風」を収録。傑作短編集第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 「フレデリック・フォーサイス」の『囮たちの掟―Forsyth Collection〈2〉』を読みました。

    先日、「阿川弘之」のエッセイ集『エレガントな象 ―続々 葭の髄から』に収録されていた『アメリカ憎悪』で「フレデリック・フォーサイス」作品が紹介されていたので、久しぶりに読みたくなりました。

    「フレデリック・フォーサイス」の作品を読むのは『騙し屋』以来なので約1年振りですね。

    -----story-------------
    圧倒的な筆力と、驚異の結末。物語の醍醐味が十二分に凝縮された作品集。

    これぞ、物語の醍醐味、華麗なるサプライズエンディング。
    天性のストーリーテラーが放つ、珠玉の物語集。
    バンコク発ロンドン行きの英国航空10便。
    バカンスを終えた家族客らを乗せた機内で繰り広げられる麻薬組織とM15の闘いを描く『囮たちの掟』、西部開拓時代を舞台に、ネイティブ・アメリカンの娘と騎兵隊の男の一途な恋の逃避行を描く、著者初挑戦のラブストーリー『時をこえる風』の二編を収録。

    キング・オブ・ストーリーテラーが放つ、物語の真髄を極めた至高の短編集。
    -----------------------

    本書のタイトルにもなっている『囮たちの掟(The Citizen)』と『時をこえる風(Whispering Wind)』の二篇が収録されています。

    『囮たちの掟』は、僅か50ページほどの内容ですが「フレデリック・フォーサイス」らしい内容で、まんまと囮作戦が成功したと思われた麻薬組織が、エンディングでは一網打尽にされちゃいます。

    まさか、機内で関係していた四人全員がグルだなんて、、、

    『囮たちの掟』は、そこそこ愉しめる作品でしたが、本書で量的にも内容的にも中心だったのは『時をこえる風』… こちらがタイトルでも良かったんじゃないかと思うくらい。

    「フレデリック・フォーサイス」作品としては意外や意外で… ファンタジー(SF?)要素のある恋愛モノで、ネイティブ・アメリカンの娘「ささやく風」とフロンティアスカウト(西部開拓の最前線で開拓民や軍隊のために周辺の状況やインディアンの動向を探る役割)の男「ベン・クレイグ」の100年の時を超えた恋愛物語です。

    物語は西部開拓時代(1876年~1877年)と、現代(1977年)に跨るのですが、、、

    「ベン」の直向きな「ささやく風」への想いに共感し、

    「ベン」の自然の中で生き抜く力に尊敬し、

    「ベン」が愛馬「ローズバッド」に跨り、結婚式会場から「ささやく風」を奪い去るシーンに拍手喝采し、

    「ベン」が愛馬「ローズバッド」とともに「ささやく風」を連れて山中を逃亡する際は、ハラハラドキドキしながらページを捲り、

    と、いつの間にか「ベン」に感情移入していましたね。

    西部開拓時代にシャイアン族と騎兵隊から追われ逃げ込んだベアテュース山脈… そのベアテュース山脈に、現代でも保安官と「ブラドック」一家(「ささやく風」の婚約者一味で、西部開拓時代に嫌な上官として登場する「ブラドック」軍曹の子孫)に追われて逃げ込み、運命に導かれるように同じ洞窟に到着し、二人(と一頭)は一夜を過ごします。

    そして、「ベン」は愛馬「ローズバッド」とともに、子孫を残して元の時代に還ります。

    なかなか感慨深いエンディングでしたね。

  • バンコク発ロンドン行き英国航空10便。バカンスを終えた家旅客らを乗せた機内で繰り広げられる麻薬組織とMI5の闘いを描く「囮たちの掟」、西部開拓時代を舞台に、ネイティヴ・アメリカンの娘と騎兵隊の男の一途な恋の逃避行を描く「時をこえる風」の二編を収録。キング・オブ・ストーリーテラーが放つ、物語の真髄を極めた至高の短編集。


    他の方々の評価は高いようです。
    「囮たちの掟」はテンポがよく、意外な結末が面白かったのですが、「時をかける風」はダラダラ感があり展開もあまり好きではありません。
    途中で何度も眠ってしまいそうになりました。
    やはり、この作家さんは長編向きだと思いました。

  • これも、フォーサイスさんにしてはめずらしく、スパイものではありません。
    あっと驚く、エンディングの”切れ”は最高です。
    美術ものの話が、いかにもイギリスっぽい感じがでていて好きですね。

    ラブロマンスものの話がありましたが、
    わざわざフォーサイスさんでなくとも、といった感じだったので
    わたし的には☆1つ減点です。

    2014.04.30

  • フォーサイスというとスパイ物とかの緻密な小説というイメージがありましたが、今回のは愛しい人を思って死んでも魂が残るという不思議な物語が意表をつかれた感でいした。

  •  タイトル作品は、まあいつものフォーサイス節。「あのパターンかな」と思わせておいて外してくるのが、この作品の目玉かと思う。冒頭など、何ともないことをさりげなく書いているだけなのに、なぜか目を離せなくなってしまうあたりがすごい。ただ、落ちはもうひとつぱっとしなかった。

     もう1作のラブストーリーが秀逸。長さも短編というより中編である。
     最初のアメリカ開拓時代のエピソードが、中盤でびっくりするような展開になるあたり、そして最終的にはランボーのようなマンハントになっていくあたり、一見トリッキーな展開なのだけど、心がびしっと通っているからついて行けるし、じんと心にしみてくる。いい作品だと思う。
     確かにフォーサイスっぽくないのは確か。こんな小説も書けるんだね、ってびっくりした。彼の物語を作る力が、ふわっと空に向かって離陸していった感じ。お勧めである。

  • 09/07/23 フォーサイスの恋愛モノは初めて。”ささやく風” ラスト2行の勝負。

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著者プロフィール

1938年イギリス生まれ。空軍のパイロットなどを経て、ロイター通信、BBC放送の記者を勤めた後、作家に。71年ドゴール暗殺をテーマに書いた長編『ジャッカルの日』で小説家としてデビュー。綿密な取材とストーリーテリングの天賦の才で世界をわかせ続けている。著書に、『オデッサ・ファイル』『戦争の犬たち』『神の拳』『アフガンの男』『キル・リスト』、小説のような半生を描いた自伝『アウトサイダー』など多数。

「2022年 『ジャッカルの日 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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